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2015年2月5日技術ブログ

ロボティクスの進化の歴史と今後のあり方

現在ロボット業界には「第三の波」が来ていると考えられ、大きな盛り上がりを見せています。ロボットは今後どこへ向かうのか、歴史を振り返りながら考察します。

ロボティクスの歴史的位置付け

最近はIoT(Internet of Things)の流れとともに、ロボットを活用したニュースを多く目にするようになりました。あらためてこれまでの企業や国の施策状況を紐解いていくと、今のロボット業界の流れは「第三の波」と言えるのでは、と考えられます。

「第一の波」は産業用ロボットに始まり経済成長を支え、「第二の波」はサービス分野へのロボット適用を推進し、愛・地球博の前後を軸にした期間。この期間は残念ながらIoT的な幾つかの技術要素が揃っていないことと、社会的なニーズとのアンバランスから、どちらかというとショー的要素も大きかったように感じます。その後、技術的要素の面でCPU処理能力の飛躍的向上、センサーの多様化、ネットワークの広帯域化やカバレージ、オープンハードなどのブレイクスルーが多数存在し、今回IoTがあらためて加速している中で、当然高度なデバイスとしてのロボットあるいはロボット技術を活用したソリューションが多く出始めている状況が、今の「第三の波」を形成していると言えます。特に今回の盛り上がりは海外の流れも大きく、これまでの日本が波を作っていた状況ともまた違うトレンドとなっています。

【図】

図1:ロボット業界の流れ

ロボットの定義の変遷

ロボットの定義の変化から、これからのトレンド、今後の方向性を考察してみたいと思います。経済産業省のロボット産業政策研究会参考1では、「センサー」「知能・制御系」「駆動系」の3つの要素技術があるものをロボットと広く定義し、「知能化した機械システム」全体を指していました。また、これとは別に特許庁の定義参考2があります。特許庁が平成19年に特許出願動向の調査をした際のロボットの定義は、

  1. (1)マニピュレーション機能を有する機械
  2. (2)移動機能を持ち、自ら外部情報を取得し、自己の行動を決定する機能を有する機械
  3. (3)コミュニケーション機能を持ち、自ら外部情報を取得し、自己の行動を決定し行動する機能を有する機械

のいずれかを満たすものをロボットとしています。特に上述(3)は以前には無かった定義であり、まさに第二の波と同期した産物だったと考えられます。この他にも定義の歴史を紐解くと、国内外含めいろいろな変遷があります。ここではそれぞれの定義を細かく解説することはしませんが、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が発行しているロボット白書参考3にも纏められているので、興味がある方は一読をお薦めします。

今後のロボティクスの存在の在り方

今後重要となってくる定義に目をむけてみましょう。いわゆるロボットを軸にした定義で考えると前述したような定義が業界的にも馴染むと考えますが、一方で、今後起こりうるサービスを実現する観点から言えば、ロボティクスの存在のあり方は以下のような定義が馴染むと思われます。ビジブル、アンコンシャス、バーチャルと呼ばれる分類です。

【図】

図2:サービス観点でのロボティクス分類

  • ビジブル

    掃除ロボット、人型ロボットなど一般的にイメージされる、あるまとまった形があるロボット。

  • アンコンシャス

    センサー、空調制御など、気が付かないうちにロボット技術を利用しているシステム全体。部屋、建物など環境全体がロボット技術を活用しシステムインテグレーションされた形。

  • バーチャル

    仮想的なロボットであり、ユーザーがアバターなどを通じて認識、サービスを教授するタイプ。例えて言えば、NTTドコモの「しゃべってコンシェル参考4」のようなサービスが該当する。ここは実空間へのアクチュエーションが必ずしも存在しなくても良いため、ロボットとしての定義から言えば賛否がある。

実はこの分類は、すでにネットワークロボットの定義参考5として、総務省のプロジェクトを通じて何年か前から存在しているものですが、今後出現するロボット技術を活用したサービスの大枠を示す上であらためて着目しています。また、これらが個々に存在するものではなく、透過的にデータ共有、あるいは協調できるITインフラの存在も必要にもなるでしょう。デジタル時代において人を中心としたサービスに情報を共有しながら利用者状況に応じたそれぞれの形態でサポートするうえで、この分類とITインフラは、ロボティクスのあり方に重要な意味を持つと考えます。

ビジブルなコミュニケーションロボットに伝えた情報を元に、バーチャルなロボットが自律的に情報収集や整理を行い、その結果を元にアンコンシャスなロボットと協調し、リアルとバーチャルを継続してサービスを提供してくれる、そんなことが遠くない未来に実現できるでしょう。

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