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2021.8.27技術ブログ

医師の診断を効率化する画像診断AIへの期待と狙い

医療分野では、医療機器の技術革新によって患者の診断に医用画像データを活用することが期待されている。しかし、データが増える一方でこれらの情報から診断する放射線科医は不足しており、業務負荷は増大傾向にある。本稿ではその負荷を軽減する画像診断AIの利用形態を紹介する。

目次

国内の医療機関では放射線科医が不足

現在、国内の医師の総数は増加傾向にある一方で、地域や診療科によって医師が偏在していることが問題となっています。特に、都市部等の一部エリアに医師が集中し、地方は医師不足に陥っています。
対して、日本における放射線画像診断装置(X線、CT、MRI、超音波診断装置、内視鏡、眼底画像など)の台数は先進国の中でも多く、人口100万人あたりの台数および単位人口当たりの撮像回数もトップの水準を誇っています。(人口100万人あたりのMRI台数は55.2台、2017年、OECDレポートより(※1)
しかし、これらの撮像機器で大量の医用画像を得ることができるようになっても、放射線画像を読影し、所見のレポートを作成することは、放射線科医でないと難しく、専門的な知識や経験を要します。その放射線科医は、微増傾向にあるものの、医療機器の進歩に医師数が追い付かず、人手不足も課題の一つとなっています。(※2)

図1:各国100万人あたりの放射線科医の数

図1:各国100万人あたりの放射線科医の数

(※1) OECD Health Statistics(Magnetic resonance imaging(MRI)units(PUBLICATION(2019)))

https://www.oecd.org/els/health-systems/health-data.htm

(※2) 厚生労働省(平成30(2018)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況より)

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/18/dl/gaikyo.pdf

放射線科医が行う読影業務

放射線科医が行う業務のひとつである画像診断は、さまざまな診療科の医師から依頼を受けて実施されます。
依頼を受けた放射線科では、放射線技師が、X線を用いたコンピュータ断層像(CT)や磁気共鳴コンピュータ断層像(MRI)、核医学検査等の機器を使って撮影し、検査を行います。
放射線科医は、主治医から撮影依頼時に提供される患者の臨床情報(前回検査や臨床所見を含む)をもとに、画像診断を行います。画像診断業務では、主に(1)読影と(2)レポート作成を行います。読影は、検査によって得られる大量の医用画像データを1スライスずつ隅々まで丁寧に確認し、所見を抽出します。続いて、読影によって得られた所見をレポートとしてまとめます。主治医は、受領した読影レポートを参考にして、最終的な診断や治療方針を決定します。
このように、放射線科医は、各分野の医師が適切な診断や治療方針を決定していくうえでとても大切な役割を担っていますが、業務の負担も大きいため、ワークフローの見直しだけではなく、AI導入による作業効率化も期待されています。

図2:一般的な診断業務の流れ

図2:一般的な診断業務の流れ

画像診断AIに期待する効果

画像診断AIは、放射線科医の読影業務を支援することで、疾患の見落とし防止や読影精度の向上だけではなく、読影時間の削減などの業務効率化も期待されています。
現在では、当社を含むさまざまな企業(医療機器メーカーやAIベンダー、SI企業等)で開発および社会実装化が進められています。
参入や開発が活発化している背景には、ディープラーニング技術による画像認識技術の向上があります。近年では、放射線画像から「異常所見の抽出」、「病変の識別」、「疾患名候補の提示」、「各臓器・部位のセグメンテーション」等をAIで行い、さらにこれらの情報をもとにした「レポーティング支援」等を実現する技術が各社から発表されています。
最近だと、新型コロナウイルス肺炎の画像診断を支援するAIシステムが日本国内で医療機器として承認され発売されたことが話題となっています。(※3)

図3:画像診断AIの機能例(CT画像からの各臓器・部位のセグメンテーション:大動脈)

図3:画像診断AIの機能例(CT画像からの各臓器・部位のセグメンテーション:大動脈)

(※3) 医薬・生活衛生局 医療機器審査管理課(COVID-19 肺炎の画像診断支援プログラムの承認について(富士フイルム株式会社申請品目)令和3年5月26日)

https://www.pmda.go.jp/files/000240929.pdf

画像診断AIの利用形態と将来的な期待

画像診断AIを含む、コンピュータで画像処理を行い異常所見の抽出や病変の検出・解析を行うシステムは、一般にCAD(Computer Aided Detection/Diagnosis)と呼ばれています。
CADは、目的(機能)に応じて2つに分類され、CADe(Computer aided detection)が「病変部位の検出」による支援のみ、CADx(Computer aided diagnosis)は「鑑別診断」による支援が行えるものとされています。

図4:コンピュータ診断支援(CAD)の分類と表示例

図4:コンピュータ診断支援(CAD)の分類と表示例

また、CADは医師がどのように使用するかの利用形態に応じて「Second Reader(セカンドリーダー型)」「Concurrent Reader(同時リーダー型)」「First Reader(ファーストリーダー型)」に分かれます。
現在承認を受けているAIは、ほとんどセカンドリーダー型であり、医師はまずCADなしで読影し、次にCADありで読影をします。
一方で、最も業務効率化の効果が高いファーストリーダー型は、CAD単体が医師よりも先に読影し、病変候補を特定した後に、医師はCADが提示した病変候補のみを読影するというスクリーニングに近い利用形態です。しかし、ファーストリーダー型は、薬事承認(※4)の難易度もあがり、実現が難しいのが実情です。
また、CADの利用形態は、ディープラーニング技術の発展に伴うAIを使ったCADの出現により多様化しています。今後は、AIの特性を活かした市販後学習型CADや遺伝子情報などの画像以外のデータを取り入れたラジオミクス(Radiomics)CADの活用も期待されています。

図5:コンピュータ診断支援(CAD)の代表的な3つの利用形態と診断への効果

図5:コンピュータ診断支援(CAD)の代表的な3つの利用形態と診断への効果
(※5)を参考に補足を追加)

(※4) 医療機器製造販売承認のこと。医薬品や医療機器などの製造販売を行うために、厚生労働大臣の承認が必要です。
厚生労働省(医療機器の薬事承認等について)

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/zaitaku5.pdf

(※5) Beyer, F., Zierott, L., Fallenberg, E.M. et al. Comparison of sensitivity and reading time for the use of computer-aided detection(CAD)of pulmonary nodules at MDCT as concurrent or second reader. Eur Radiol 17, 2941–2947(2007).

https://doi.org/10.1007/s00330-007-0667-1

NTTデータの目指す画像診断AIの形 - 医師の効率化に資するAI -

前述の通り、医療分野へのAI適用が加速し、特に近年では、医療画像から特定の疾病をAIで診断する方法が広がっています。この方法は、致命的な疾病の見逃しを減らす効果が期待できます。
それに対して、NTTデータでは主に診断の効率化による放射線科医不足の解消を目指して、特定の疾病にとどまらず、患者の異常所見を拾いあげる画像診断AIソリューション群「Maestro AI🄬(※6)を開発しています。
(参考:アクティブラーニングの医用画像分析における活用事例:
https://www.nttdata.com/jp/ja/data-insight/2021/022502/
Maestro AI🄬は、特定部位のCTまたはMRI画像データを入力として、「Ⅰ.トリアージ」「Ⅱ.位置特定」「Ⅲ.異常分類」の3つのフェーズを経て、医師に異常所見を提示します。
コンセプトの一つとして、放射線科医の既存ワークフローへの影響を最小限に抑えた形で円滑なAIの組み込みを目指しています。なおかつ、さまざまな部位への網羅的かつ総合的な診断支援を行うことで、将来的には「全身スクリーニング可能な画像診断AI」を実現することができると考えます。
医師による診断をAIで効率化し、医師不足等の課題の改善を目指し、今後も検証を進めていきます。

図6:Maestro AI🄬による画像診断支援で対象とする臓器および器官

図6:Maestro AI🄬による画像診断支援で対象とする臓器および器官

(※6) 医師の診断効率化に資する画像診断 AI「異常所見の有無と位置をAIで判定しスクリーニング」

https://www.nttdata.com/jp/ja/-/media/nttdatajapan/files/services/ai/ai_diagnostic_imaging.pdf

- NTTデータは、「これから」を描き、その実現に向け進み続けます -
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