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2022.5.27イベント & レポート

自宅が美術館に様変わり!~メタバース時代のデジタルコンテンツ活用~

世界各地に保存されている貴重な文化財を、誰でも自宅に居ながら手に取るようにじっくりと鑑賞できる。それを可能にしたのが、NTTデータのデジタルアーカイブ事業「AMLAD(アムラッド)」だ。それまでになかった新たな体験や価値の創造に貢献してきたAMLADの事業推進リーダーが「メタバース時代」を見据えた今後の展望と次なるステップを紹介する。

目次

デジタルコンテンツとの新たな出会いを提供するAMLAD

NTTデータが提供するAMLADは、様々なコンテンツのデジタルデータを3Dスキャナーなどを用いて作成し、独自のシステムに保存、公開するデジタルアーカイブ事業です。WEB上に公開されたコンテンツは世界中どこからでも閲覧可能で、手元のデバイスで作品の細かな部分までじっくり鑑賞することができます。

代表的な事例の1つが、バチカン市国にある16世紀の天文台、グレゴリアンタワーの3Dデータ化事業です。NTTデータは2021年にバチカン市国から依頼を受け、グレゴリアンタワーの内部を3Dカメラで撮影しデータ化しました。このデータは2022年3月末まで開催された「ドバイ国際博覧会」で公開され、センサーの前で手を動かしながら、グレゴリアンタワーの中を自由自在に見て回れるバーチャル体験として披露されました。

図1:3D化されたグレゴリアンタワーの中から講演

図1:3D化されたグレゴリアンタワーの中から講演

AMLADで扱うコンテンツは文化遺産や芸術作品だけに留まりません。例えば、製造業者がグローバル拠点間で製品情報や広告素材を共有する仕組みとして利用したり、官公庁が組織内の活動記録や文書を記録し、外部に公開するツールとして活用しています。また、研究機関が作成した研究データを公開し、そのデータを必要とする人とマッチングするシステムとしても使われています。

AMLADは検索方法にも工夫を凝らしています。地図検索では、コンテンツをマップ上にプロットし、地理的関係性が一目でわかるように表示します。同様に年表検索では、歴史上の出来事と、その時どのようなコンテンツが作られたのかを時系列で表示し、コンテンツ同士の関係性も学べるようになっています。

図2:地図や年表を用いた検索方法

図2:地図や年表を用いた検索方法

図2:地図や年表を用いた検索方法

現在は、AIによるコンテンツ解析や検索システムの開発にも取り組んでいます。コンテンツの見た目や、そこに紐づけられたテキスト情報などのメタデータをAIで解析することで、類似するコンテンツをデジタルアーカイブの中や連携している外部サービスから探し出し、レコメンドする機能を開発しています。また解析機能を応用して、コンテンツの自動分類(クラスタリング)を行うことも可能にしました。

図3:AIによるコンテンツ解析機能

図3:AIによるコンテンツ解析機能

さらに一部の案件では、「セマンティックWEB」(※)のコンセプトに基づき、メタデータを提供する仕組みも開発しました。RDF(Resource Description Framework)を使って、デジタルデータに機械が理解できる“意味”を記載することで、アーカイブ上のメタデータを外部サービスでも活用できるようにオープンデータとして提供する仕組みです。

このように、AMLADは単にデジタルデータを作成するだけではなく、ユーザーとデジタルコンテンツの新たな出会いを提供し、そこからコンテンツの様々な活用を見出すプロジェクトなのです。

(※)セマンティックWEB

WEB上の情報に“意味”を付加することで、コンピュータが自動的に情報を収集したり、処理することができる仕組み

バチカン図書館やASEAN各国の文化遺産・美術品をデータ化しWEBに公開

冒頭で紹介したグレゴリアンタワーの3Dデータ化事業を実施する以前から、NTTデータはバチカン市国で重要な事業を展開しています。それが、2014年から行われているバチカン図書館の手書文献のデジタルアーカイブ化事業です。

バチカン図書館は15世紀にローマ教皇ニコラウス5世により設立された世界最古の図書館の1つで、世界各地から収集した110万点以上の蔵書を有しています。世界で最も美しいといわれる「ウルビーノ聖書」や、ボッティチェリが描いたダンテの「神曲」の挿絵、伊達政宗がローマ教皇へ送った親書など、歴史的に価値の高いコンテンツも数多く存在し、NTTデータはこれらのコンテンツをデータ化して保存し、WEBサイトに公開する事業「DigiVatLib」を2014年から開始しました。

図4:デジタルアーカイブ化された「ウルビーノ聖書」

図4:ボッティチェリが描いたダンテの「神曲」の挿絵

図4:デジタルアーカイブ化された「ウルビーノ聖書」と、ボッティチェリが描いたダンテの「神曲」の挿絵

デジタルアーカイブ化されたコンテンツは、「DigiVatLib」のWEBサイトで誰でも自由に閲覧可能で、高精細なビューアー機能を使えば、コンテンツを拡大して美しい装飾や紙の劣化の様子といった細かい部分まで見ることができます。

スぺシャルゲストとして登壇したバチカン図書館のチェーザレ・パッシーニ館長は、「所蔵品を専門スタッフによって保全し、それを基にした研究を通じて、世界中の人々に貢献すること」が図書館のミッションだとしたうえで、AMLADについて「極めて重要で価値ある所蔵品を、損耗させずに長期保存することに貢献している」と評した。また、コンテンツはインターネット上で容易に閲覧できるため、コロナ禍で研究者が図書館を訪れることができない中、この取り組みは「バチカン図書館の継続に重要な意味を持つことにもなった」と振り返った。

図5:バチカン図書館のチェーザレ・パッシーニ館長

図5:バチカン図書館のチェーザレ・パッシーニ館長

NTTデータとバチカン図書館は現在、XRやNFTといった最新技術を適用することも議論しており、パッシーニ館長は「NTTデータは、新たなサービスを最新技術を通じてユーザーに提供するアイデアをダイナミックに提案してくれる。検討作業は常に刺激的で、私自身、我々のさらなる発展をこの目でみることを楽しみにしている」と期待を寄せる。さらに、「NTTデータの革新的な価値は先進技術だけではなく、我々の要望を尊重するプロフェッショナルとしての姿勢にもある。彼らはどのような顧客でも、要望をかなえるために全力投球で最適な手法を提案してくれると確信している」と高く評価した。

AMLADの対象は2次元の画像や動画だけではありません。立体造形物の3Dデータを作成し、保存することも可能です。その事例の1つが「ASEAN(東南アジア諸国連合)文化遺産デジタルアーカイブ(ACHDA)」です。このプロジェクトは、ASEAN10か国の文化遺産やアートを横断的に集約するデジタルアーカイブを構築するもので、2次元の作品だけではなく、立体造形物にも対応する新たな取り組みです。データ化にあたっては、3Dスキャナーや3Dフォトグラメトリーなど、各コンテンツに最適な手法を用いて作業を進めてきました。

図6:対象物にあわせて最適な手法を採用

図6:対象物にあわせて最適な手法を採用

作成したデータはバチカン図書館の「DigiVatLib」と同様に、ACHDAのWEBサイトで公開しており、2022年3月末時点で、インドネシア、タイ、マレーシア、カンボジア、ミャンマーの5か国のコンテンツを公開しています。もちろん、年表検索や地図検索といった機能も有しています。

さらに2021年11月には、コンテンツをキュレーターの解説と共に紹介する
「e-EXHIBITIONS」ページも開設しました。実際にミュージアムでキュレーターの話を聞きながら鑑賞しているような気持ちになってもらいたいと始めた取り組みで、ASEANの文化や歴史に造詣の深いキュレーターが特定のテーマに沿って選んだコンテンツを掲載しています。

図7:ACHDAの3Dビューアー

図7:ACHDAの3Dビューアー

各コンテンツは3Dビューアーを用いて360度自由に見ることができます。実際のミュージアムではガラスケースの中に展示されていて動かせないものも、3Dデータなら様々な角度から見たり、拡大して見ることができます。これは、デジタルコンテンツの醍醐味の1つだと言えるでしょう。

他にも、デジタルの世界だからこそのユニークな楽しみ方があります。例えば、3D空間で再現したバチカン市国のグレゴリアンタワーの中に、インドネシア国立博物館にある石像を表示して2つを同時に鑑賞したり、複数のコンテンツを並べて大きさや質感の違いを比較するといった楽しみ方です。

図8:バーチャル空間では実際には別の場所にあるものを“共演”させることも可能

図8:バーチャル空間では実際には別の場所にあるものを“共演”させることも可能

これらのアイデアの基となったのは、「AMLADバーチャルミュージアム」という構想です。バチカン図書館やASEAN事務局が所有するコンテンツのデジタルデータや、日本各地から収集した高精細なデジタルコンテンツを集めたバーチャルミュージアムを作り、実際のミュージアムではできない展示で、今までにない体験を提供する。それがNTTデータだからこそ提供できる新たな価値になると考え、このデジタルアーカイブ事業を発展させてきました。

そうして事業を進めるなかでわかったことは、デジタルコンテンツの新たな表現や鑑賞の方法、事業としての活用方法について悩みを抱えているお客様は、美術館や博物館だけでなく、様々な業界の、多様な企業に存在するということです。このことを前提として、これからのAMLADについてお話します。

メタバース時代を展望し、新たなデジタルコンテンツ活用を拓く

「メタバース」という言葉が広く聞かれる時代になってきました。我々が日常生活で行っている活動は、バーチャル空間上で行われるようになっていきます。人と人とのコミュニケーションや社会生活のすべてがバーチャル空間上で解決でき、そこに様々なデジタルコンテンツが活用されるようになります。すでに現実世界でも、スマートフォンやVRゴーグル、ARグラスといった様々なデバイスを通じて、日常生活の中にデジタルコンテンツをより深く、多方面に活用する時代に突入しつつあります。

そうした「メタバース時代」だからこそ、NTTデータはAMLAD事業を通じ培ってきたデジタルコンテンツを作成し公開する仕組みと、それに組み合わせる最新技術、コンテンツホルダーや利用者との連携を促進し、デジタルコンテンツの活用の幅を無限に広げていきたいと考えています。

図9:長谷部が描いた「AMLADメタバース構想」

図9:長谷部が描いた「AMLADメタバース構想」

ここに描いているのは、次にAMLADが進むべき道筋を描いた「AMLADメタバース構想」です。例えば教育分野では、XR技術を用いて、様々なデジタルコンテンツをリアルに近い雰囲気で体験できるサービスを提供し、学習効果を高めることに貢献します。同様に、XR技術を用いた新たな鑑賞体験はエンターテインメントの分野でも展開でき、ミュージアムやクリエーターが作るデジタルコンテンツと、エンタメ事業者とをつなぎ合わせるマッチングサービスを提供することも可能です。

モノづくりの現場では、過去に造られた製品や部品、金型などのデジタルデータと設計文書などの情報をアーカイブとして残すことで、培ってきたノウハウや知見を将来のモノづくり現場で効率的に活用することができます。そうして造られた製品を売り買いする現場では、バーチャル空間でのショッピングを可能にし、遠く離れた場所にいる顧客に対してデモンストレーションを行い、商品を購入してもらうといった仕組みを提供することもできます。

こうした様々な事業や業界でデジタルコンテンツを活用してもらうためには、そのコンテンツを確実に保護し、流通させるための仕組みが必要で、AMLAD事業で培ってきた検索や保存の技術が活きてきます。さらにブロックチェーンやNFTを適用し、コンテンツの来歴や所有権を改ざんできない形で保存するための仕組みも提供できるでしょう。

これらは次のステップの一部に過ぎません。我々は、かつてインターネットが日常生活を大きく変えたように、メタバースによる空間が日常生活の基盤となる未来がくると考えています。NTTデータは、デジタルコンテンツの活用を検討している多くの方々と連携しながら、メタバース時代における新たなデジタルコンテンツ活用の道を無限につくっていくことをめざしています。

本記事は、2022年1月27日、28日に開催されたNTT DATA Innovation Conference 2022での講演をもとに構成しています。

当講演はNTTデータ公式YouTubeでもご視聴いただけます

日本語版:https://youtu.be/GNNUgG9L0zc
英語版:https://youtu.be/n1Izkl15TrY

AMLAD公式アカウント

Twitter:@AMLAD_nttdata
Instagram:amlad_nttdata

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