2024.01.15

お客様のビジネス成長・変革に寄与。生成AIを新たなコアコンピタンスに

その汎用性の高さからビジネスへの浸透が急速に進む生成AI。最新技術として話題になることの多い生成AIですが、NTTグループでは日本語での自然言語処理を40年以上前から実施してきました。また、NTTデータでは、このように古くから蓄積されてきた自然言語処理技術を生成AI技術にも適用し、「積極的なAI活用の推進」と「AIガバナンスの徹底」という両輪を軸に、研究開発やお客様業務への技術適用を進めています。
本記事ではNTTデータが考える生成AIのビジネスへの活用事例や、その実現に向けた取り組み、そして生成AIを活用した今後の展望について、イノベーションセンタ長の古川洋が語ります。

Index

古川 洋
技術革新統括本部 技術開発本部
イノベーションセンタ センタ長

NTTデータ入社後、開発、営業職を経験した後、3年間ドイツへ赴任しクラウドデリバリセンタを欧州で立上げ。2022年4月より技術開発本部イノベーションセンタのセンタ長に就任。各国と協調しながら当センタの方針を決定し、グローバル規模のイノベーション活動を主導している。

世界6カ国の拠点で連携し、生成AIを含めた先進技術の強化を推進

「先進技術活用力とシステム開発技術力の強化」を目的として、世界6カ国に設立されたイノベーションセンタ。5~10年先に主流となる先進技術を見極め、お客様との共創(コ・クリエーション)の推進と新たなビジネス創出に取り組んでいます。各センタそれぞれが異なる技術テーマを掲げていますが、各拠点のプロセス標準化と協力により、複数の専門性を融合させたイノベーションの促進も可能としています。

イノベーションセンタの目的は高度な技術を世界中から獲得し、先進的なお客様と一緒にR&D(研究開発)を推進することです。各地のイノベーションセンタで先進技術の成熟度を確認・評価し、その技術がお客様に事業価値をもたらすかどうかを検証します。お客様との共創と最大の効果を発揮するために、各地域のイノベーションセンタの協力、すなわち各センタのイノベーションプロセスの標準化は欠かせません。

また、生成AIは幅広い専門知識を読みこませることにより、弁護士をはじめとする専門家の業務の補佐が可能なレベルにまで達しています。このため、ユーザが生成AIを専門家の代わりとして会話形式で活用するという使い方も考えられます。お客様だけでなく、われわれも伴走者として、とにかく使っていかなければならない新たな技術だと認識しています。

NTTデータの生成AIの強みとして、「業界特化型」が挙げられます。NTTグループは、Google が開発した「BERT」という汎用自然言語処理モデルをもとに、日本語版の BERT(NTT版BERT)を開発。NTTデータではそれをベースに、業界特化型のデータを学習させることで、2020 年には金融業界に特化した「金融版 BERT」の提供も開始しています。さらに同年にはテキストデータから知識を抽出する文書読解AIソリューション「LITRON®」を開発。業界固有の表現や専門用語をすばやく学習できるため、さまざまなビジネスシーンへの適用が可能です。

こうした業界特化型のデータを生成AIに学習させていくところが、われわれの強みであり、グループとしてのコアコンピタンス(他社に真似できない核となる能力)になっていきます。

社員19万5000人の利用に向けた、盤石な土台づくり

NTTデータでは、生成AI活用によるお客様の共創とビジネス革新を実現するための体制づくりとして、2023年6月に生成AIの活用をグローバルで推進する「Global Generative AI LAB」を設立しました。本ラボでは、生成AIのソフトウェア開発分野への適用、各国拠点の関連ソリューションの展開やラボ活動、生成AI活用のためのガイドラインの策定について、イノベーションセンタを中心にグローバル全体で取り組んでいます。

■「Global Generative AI LAB」の4つの柱

特に自社Value Chainの変革でもある「生成AIを利用したソフトウェア開発の変革」に力を入れていきます。金融業界で多く使用されている「COBOL」など、技術者が不足しているレガシーな言語をベースとしたシステムから新システムへの移行(マイグレーション)にも生成AIの適用を進める予定です。ソースコード生成に限らず、ガバナンスにも生成AIの技術を活用しながら、ゆくゆくはグローバル社員19万5000人が利用できるように進めていく方針です。

並行して、お客様とともに生成AIの活用に必要な技術検証や、ビジネスでの具体的な活用方法を生み出すラボ活動も実施しています。

ラボ活動ではお客様との共創を目的として、各拠点のノウハウ共有、今後登場する新たな生成AIに対する調査・検証、NTT研究所が開発する生成AIモデルの活用に取り組みます。さらに倫理やセキュリティの観点からガイドラインを策定し、お客様に最新の生成AI技術を安心安全、かつ迅速に活用いただくことを目指します。

「生成AIソリューションのグローバル共有・展開」においても、整備が進んでいます。具体的には、ソースコード自動生成やチャットボットである「eva」、文章検索ソリューションである「Dolffia」などの生成AI関連ソリューションもグローバルで展開し、自然文検索を含むコンテンツ検索の高精度化のほか、ナレッジの自動要約や自動分類、画像検索等への対応を進めます。

当社ではこのような生成AIの特徴を生かし、ソフトウェア開発や、専門職(高度人材)、営業・事務・企画・経営など多岐にわたる職種での支援を通して、ビジネスをサポートできると考えています。

グローバルなイノベーションが生み出す、生成AIとNTTデータの未来

既存の技術を活用した新サービスの開発も積極的に行っています。具体的には、文書読解AI「LITRON®」と生成AIを連携した新サービス「LITRON® Generative Assistant」の提供を開始。社内規定や業務関連資料、外部の公開データなど、多様なデータを生成AIとセキュアに連携させて回答文を作成するAIサービスであり、性能・構築難易度・柔軟性・信頼性の4点に強みを持っています。

本サービスの大きな特徴として、回答根拠の明示が挙げられます。質の高い回答とともに回答の根拠となった参照元のデータを示すことで、生成AI活用において懸念されるハルシネーション(もっともらしい嘘)の発生を抑止し、回答の信頼性を担保します。
また、複雑な社内規定や大量の業務マニュアルから、対話形式で必要な情報が簡単に得られるようになることで、作業の大幅な効率化が見込めます。

■LITRONⓇ Generative Assistantとは

NTTデータは、先進技術のノウハウの蓄積、お客様との共創活動、そして生成AI技術の活用によりお客様のビジネス革新を実現すべく、本体制をグローバルに拡大していきます。さらに、生成AIを活用できる人財の育成を全社へ展開する予定です。生成AIを活用した文章生成だけでなく、画像や音などマルチモーダルなFoundation Modelに対する取り組みも推進しています。

最終的な目標は、革新的なお客様とともにR&Dの共創を実現することです。お客様のビジネスの成長や変革に寄与する新しいテクノロジーを提供できるよう、今後も各産業の専門性を一層磨いていこうと考えています。イノベーションセンタをハブとしてさまざまなステークホルダーをつなぎ、グローバルにイノベーションを推進していきます。

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軌道に乗り始めたNTTデータによる生成AIのビジネスへの活用や、それに向けた取り組み。それは今後、幅広いお客様の業界の未来を支えていくことになるはずです。古川を筆頭に、技術とお客様双方への深い理解を持つNTTデータがグローバルにイノベーションを推進していくことで、さらに動きが加速していくことでしょう。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです