2020.03.30

データ至上主義から距離を置くことで見えてくる お客様に寄り添った提案を続けるコンサルタント

一般的に「AIは万能」というイメージがあります。NTTデータが業務改善・改革を支援する幅広い業界のお客様も、そう捉えているケースは少なくありません。R&D部門でデータ分析の知見を培い、現在は、AI分野のコンサルタントとしてビジネスの最前線に携わっている村上裕一は、どのようなスタンスでAIをはじめとした情報活用に向き合っているのでしょうか。AIビジネスの最前線で活躍する、村上のお客様に対する真摯な姿勢に迫りました。

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R&D部門から、ビジネスの現場へと飛び込む

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村上 裕一/ビジネスソリューション事業本部 AI&IoT事業部 コンサルティング担当

2018年に発足したAI&IoTビジネス部(現 AI&IoT事業部)。村上は、その前身であるビッグデータビジネス推進室に参画し、現在、AIをはじめとする情報活用の立案から定着まで、コンサルティング業務全般に携わっています。

もともと村上は入社後の1年間、製造ビジネス事業本部(現 製造ITイノベーション事業本部)で開発を経験したあと、2年目から技術開発本部(現 技術革新統括本部)に異動しました。技術開発本部とは、NTTデータグループのTechnologyとInnovationを支える専門家集団を多数抱える組織横断型組織。そこで3年間、統計解析/BI/DWH系のR&D部門で実案件のサポートを行っていました。ビッグデータビジネス推進室が立ち上がる際、上司から「ビッグデータビジネス推進室に異動するか、技術開発本部にとどまるか」と打診され、迷わず異動を選択。様々な業界のお客様に向き合える実案件に楽しみを見いだしていたから、というのがその理由でした。

村上「BIやDWHを導入することで、お客様のビジネス上の課題を解決するのが私の仕事でした。でも特定の業界ではなく、多種多様のお客様と向き合えることに私は面白さを感じていました。業界が違えば課題も違いますが、同じ業界でも会社が違えば課題も変わってくる。R&D部門で培った知見を生かし、その一つひとつに対応していきたいと考えるようになりました。そこに上司からの打診が来たので、異動に迷いはありませんでした」

異動後は、R&D部門からの延長線上で統計解析/BI/DWH導入案件にも携わりながら、情報活用のためのコンサルティング業務に従事。R&D部門で培った知見をアドバンテージに、様々なプロジェクトで経験を積んでいきました。

例えば、大手飲料メーカーグループ全体に対する、需要予測などの情報活用サポート。大手通信キャリアのWEBマーケティング、大手金融機関に対する、エンドユーザーのデータマネジメントの構想立案、など。村上が希望していた通り、携わるプロジェクトは毎回業界はもちろん、解決すべき課題も異なっていました。お客様の業務や業界全体のトレンドなどについては、その都度勉強することでキャッチアップしていったそうです。

村上「勉強が大変だとは思いません。むしろ、つねに新しい情報をインプットしながらプロジェクトに携われるので、楽しくて仕方ないんです。飽きっぽい性分の私には、現在の環境は向いていると感じています(笑)」

数々のプロジェクトを経験した結果、最近では、お客様の業界が違っていても同じフレームワークを当てはめられるケースが出てきた、と語る村上。お客様に向き合う部門へ、という選択が身を結び始めていると感じているそうです。

初めての大規模データマネジメント案件、初めてのPM

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R&Dの知見とビジネススキルでお客様をサポートしている村上にも、大きな壁が立ちはだかったことがあります。

AI&IoTビジネス部が発足したばかりの頃。村上は全国展開をしている大手金融機関のデータマネジメント案件のPMに抜擢されたのです。これまでにもコンサルタント3〜4名をメンバーに持つ、小規模なプロジェクトのPLは経験していました。しかし、このときのメンバーは倍以上の10名。お客様の規模が大きいうえに、データマネジメントという案件の中に4つの異なるテーマが設定されていたのです。村上にとって、すべてが初めての経験でした。

実はお客様にとっても、コンサルティングを外部の企業に依頼することは初めてでした。そのため、お客様内にデータマネジメントに関する専門家は不在。この領域に不慣れな担当者とコミュニケーションをとることが大前提でした。

村上「エンドユーザーのデータを適正に管理する方法や管理を維持するための規約のつくり方。データを分類するインデックスの必然性。こういった一つひとつのテーマについて、『なぜそれをやらなければならないのか』といったところから説明しなければなりませんでした」

お客様との話し合いがまとまらない。あると想定していた資料が存在していない。このような状況が続き、思ったように仕事が進みません。スケジュールを横目で見ながら10名のメンバーを動かす村上は、大きなプレッシャーを感じていました。それでもメンバーたちが専門知識を持ち寄り、有意義なディスカッションを行ってくれたことが支えになった、と村上は当時を振り返ります。

一方で、メンバーたちの専門知識をベースにしたマネジメント案は、ときにお客様のビジネスの現実と乖離することもありました。そこで村上はディスカッションを重ね、メンバーに対して徹底したお客様目線での修正指示を出したのです。

村上「『データ管理の粒度が細かすぎないか』『こういう進め方にしたほうがお客様の業務がスムーズにいくのではないか』といった具合に、運用が始まったときにお客様の負担が大きくなりすぎないよう、メンバーの提案資料は相当細かくレビューをしました。メンバーも大変だったとは思いますが、お客様に提案して通ったときにメンバーから感謝の言葉をもらったとき、少しだけ恩返しができた思いがしました」

最終的には将来の情報活用についての構想を立案し、9カ月にわたる大規模かつ複雑な案件が終了しました。10名のメンバーの専門知識を持ち寄りながら、未経験の領域に向き合った経験が、村上にとって大きな糧となっています。

あえて分析を信じない、というスタンスでお客様に向き合う

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R&D分野からビジネスの現場へと異動し、専門知識を翻訳しながら、お客様の業務に寄り添う。このような経験を通して、村上は今、データ至上主義に対して距離を置くようになったと言います。もちろんデータは重要視しているものの、「あえて分析は信じないようにしている」と村上は語ります。

村上「仮にデータ分析で『今日は100個売れる』という売上予測が出ても、絶対にそうなるわけではありません。実際には、店舗周辺でイベントがあって120個売れることも、悪天候で80個しか売れないこともあるわけです。100%的中させることは現在のテクノロジーでは無理、という意味では、AIはまだまだ発展段階にあります。しかしAIを万能だと思っているお客様は、予測が当たらなかったとき、AIを遠ざけるようになる。それは危険なことだと、私は考えています。発展段階とはいえ、今後あらゆるビジネスがAIを軸に進んでいきます。その途中でAIを遠ざけてしまうと、ビジネスで遅れをとることになるため、お客様にとって不幸です。そして私たちにとっても不幸なのです」

そこで村上はお客様からご相談をいただいた際に、現段階でAIは万能ではないこと、人のケアが必要な領域は大切にすべきであることを、はっきりと伝えていると言います。例えば、商品の発注業務。担当者が長年培った勘と経験をもとに行っていて、何の問題もない場合は、その業務を完全にAIに置き換えるような提案はしないそうです。無理にAIを導入し、品切れやクレームが多発してしまったら、店舗やエンドユーザーに迷惑がかかる、という判断からです。

村上「そういうケースでは、AIで行う予測は、あくまで人が行う業務をサポートするためのインプットの一つにとどめ、発注業務の最終確認は人が行った方がベターです。『最終的には人が面倒を見てください』と提案することも私の仕事だと捉えていますので、お客様にネガティブな反応をされても、私は譲りません。もちろん、AIに完全に置き換えてしまっても良い業務もありますが、人が面倒を見る領域とAIに任せる領域を見極めることも、私の大事な仕事だと思っています」

このような提案を通して、データ至上主義に対して距離を置きながら、お客様の業務改善/改革のためのコンサルティングを行う村上。NTTデータは「もはやITだけをやっている会社ではない」ということを身をもって感じ、そこに自身の楽しみも見出しているそうです。

「この範囲の業務しかやらない、ではなく、何でもやります。という人こそ、当社で活躍できるのではないでしょうか」と語る村上の言葉には、強い説得力があります。

R&D分野からAIビジネスの最前線へと飛び込み、様々な分野でのコンサルティング業務に身を投じてきた村上。時にはAIの導入を見送る提案も厭わないという強いスタンスからは、真摯にお客様と向きあう姿が浮かび上がってきます。そんな真摯な姿が、日本のAIビジネスをリードすると信じて、今日も村上はお客様の声に耳を傾け続けます。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです