進化する価値が既成概念の転換を促す
自動車、機械、家電などのモノがインターネットに接続されるようになったことで、買い替えることなく、機能追加や性能の向上などを享受できるようになってきました。自己学習機能のあるAIを搭載したロボットのように、使用することで進化するモノも増えてきています。
これまで、モノは生産と消費に時間的な差があり、完成した時点で価値が確定し消費により価値が減少する一方、サービスは生産と消費が同時で、生産者と消費者が共同で価値を創出するという特徴があるとされてきましたが、進化するモノが登場したことで、モノとサービスを区別することが意味をなさなくなってきました。産業分類や会計における減価償却の考え方にも影響を与える可能性があります。
今後は、AIを搭載した自動運転車やドローン、ロボット等(スマートマシンと総称する)が自律的に行動することが増加すると考えられます。一方で、スマートマシンが自己学習した機能が原因で事故を起こした場合の責任や補償の問題など、AIと共生する社会に向けた環境整備が急がれます。
図1:情報社会トレンド3
フィジカルとデジタルの融合が生活やビジネスの可能性を広げる
歩きながらスマートフォンを使いショッピングやゲームをする人たちは、もはや自分がフィジカルな世界にいるのかデジタルな世界にいるのかを意識しなくなりました。
会話型アシスタントとの会話も、近い将来、自然言語能力が向上し、相手がフィジカルな存在なのかデジタルな存在かを意識しないようになると考えられます。コミュニケーションロボットが、音声パターンから感情や体調の変化を察知して苦痛を緩和するように誘導したり、ヘルスケアスタッフに連絡したりすることもできるようになると予想されます。
今後は、触れたり話したりする中で、指紋や声紋などから個人が自然に生体認証されるようになり、自動運転車のように操作方法がわからなくても使える機械や家電などが増加するでしょう。ヒトが機械に合わせる時代から、機械がヒトに合わせる時代への転換が始まっていると考えられます。無意識のうちに時間、空間、能力の制約を超え、デジタル化の効果を享受できるようになると期待されます。
図2:情報社会トレンド4
まとめ
社会は転換点を迎えています。あらゆるモノがインターネットに接続され、ヒトに代わってAIやロボットが判断したり作業したりすることが増えてくると、社会のしくみも産業界の秩序や慣習等も変化すると考えられます。
技術革新の効果を十分に活かすためにも、制度や規制などの見直しが必要になってきました。将来あるべき情報社会(※1)像に向け、具体的な議論が求められています。
- ※1 「NTT DATA Technology Foresight」特設サイト
http://www.nttdata.com/jp/ja/insights/foresight/sp_2017/index.html