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2018.4.17技術トレンド/展望

技術トレンド「人工頭脳の浸透」NTT DATA Technology Foresight 2018シリーズ~Vol.3

NTTデータが導出した2018年の情報社会や技術のトレンド「NTT DATA Technology Foresight(※1)」を全10回で紹介。第3回は技術トレンド「人工頭脳の浸透」。

低減されるAIの利用障壁

近年の技術発展によって、驚異的な速さでAIの進化は続いています。AI自身が試行錯誤を繰り返すことで事前の学習データなしで自律的に学習する深層強化学習や、ある特定の領域で学習した知識を別の領域に適応させることで少量のデータでの学習を実現する転移学習等によって、大量の学習データを有していなくても高精度な結果が出せるようになってきています。

また、クラウド上でGPUマシン等の強力な計算機パワーを初期投資なしで利用可能になってきたことや、プログラミングなしでの学習モデルのネットワーク設計、自動でのパラメータ最適化が可能なフレームワークの登場も多くの企業でのAI活用を促進させます。将来的にはタスクを設定し僅かなデータを用意するだけで、誰でも簡単に個別の用途に特化したAIを作成できる時代がくるでしょう。

求められるAIの透明性

近年のAIの飛躍的な進化に伴い、AIの開発や利活用に関する倫理面の議論が活発化しており、AIの透明性を求める動きも見られます。「アシロマAI原則(※2)」や「国際的な議論のためのAI開発ガイドライン案(※3)」では、AIの透明性に関する原則を含んでいます。問題が生じた場合にはAIの判断理由を説明できるように留意するべきとしており、AIの判断根拠を説明するための取組みは活発化しています。判断理由を説明する技術の発展は、より一層AIの活躍の場を広げると考えられています。

エッジでのAI活用の拡大

技術の発展は、AIの利用障壁を容易にするだけでなく、活用される場所にも変化を起こしています。モバイル端末やIoT機器等、いわゆるエッジで得たデータを処理する際には、そのデータを一旦クラウドに渡し、そこで処理した結果をエッジで受け取る方式が一般的です。この方式では、ネットワークにつながる場所に利用シーンが制限される上に、データの往復による処理遅延の発生、プライバシー情報の流出の懸念といった問題があるため、エッジで直接処理することが求められています。

この問題を解決すべく、近年、蒸留やモデル圧縮と呼ばれる、学習済みのモデルを軽量化する技術が注目されています。軽量の学習モデルを生成・実行するためのフレームワークや高速な処理を可能とするAIチップの登場は、場所を限定せずに、どの機器でも高度な処理を可能にします。近い将来、エッジでの高度な学習も可能となり、個人が自身のデバイス上で自由にAIを構築し利用できるようになるでしょう。

技術トレンド「人工頭脳の浸透」

図1:技術トレンド「人工頭脳の浸透」

AI活用における競争力

前述した技術の発展により、どの企業でもAIを活用した高度なサービスを提供可能になりつつあります。では、今後の他社との差別化要素は何になるのでしょうか。

今後の他社との差別化要素の一つは、AIを適切にビジネスに応用する能力です。機械学習の専門知識よりも、各最新技術の特性を理解し、どう適用すればビジネス課題を解決できるかを設計できる能力が求められます。例えば、深層強化学習では行動結果に対する評価方法の設計が重要となります。また、AIの進化は速いため、ビジネスの企画からサービス開始に1年を要しては、既にその技術が陳腐化している可能性があります。そのため、開発サイクルの高速化や、運用時の最新モデルへの迅速な更新が重要となっていくでしょう。

もう一つの差別化要素は、データを継続的に蓄積可能な仕組みを整えることです。大量のデータを保有していない領域にも参入できるようなりましたが、多くの企業が参入した場合にはやはりデータ蓄積量が他社との差別化要素となります。そのため、提供サービスを通じて、ユーザの行動データやフィードバックを蓄積し、そのサービスの質を継続的に向上させていくことや蓄積されたデータから別のサービスを生み出すことが、企業の継続的な発展に必要となっていくでしょう。

  1. ※1 「NTT DATA Technology Foresight」特設サイト
    http://www.nttdata.com/jp/ja/insights/foresight/sp_2018/index.html
  2. ※2 「アシロマAI原則」
    https://futureoflife.org/ai-principles/
  3. ※3 「国際的な議論のためのAI開発ガイドライン案」
    http://www.soumu.go.jp/main_content/000499625.pdf
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