Value Stream Managementとは
アジャイル開発における悩みを解決し、その効果を最大化するための有力な選択肢として、「Value Stream Management(以下、VSM)」という考え方が米国を中心に注目を集めています。
米国ではアジャイル開発が一般的な手法となっています。その一方で、アジャイル開発をすること自体が目的化してしまい、それによって顧客にどのようなアウトカムを届けられているのかを説明できないケースが散見されています。VSMはこうした課題を解決し、アプリケーション開発において顧客に対して真に価値を提供できているかを管理する手法です。
VSMを導入するために
VSMを実現するためには中長期的なロードマップを設定し、順序を踏んでいく必要があります。NTTデータグループではVSMの導入ステップを以下のように定義しています。
最終的なゴールは、提供価値の最大化を実現することです。そのためにまずは、ステークホルダー間での「価値」の定義、プロダクトを中心としたフロー(価値を作る流れ、開発においては開発フロー)の可視化・見直しを実施する必要があります。(Step1)
ここでは価値・フローに焦点をあてて可視化を行っていくことになりますが、VSMの重要な考え方としてデータドリブンであるということがあげられます。つまり、改善するためにはデータによる可視化・フローの透明性を担保する必要があります。フローの透明性があることでボトルネックの特定や、リスクの予測ができ、それらが洗い出されることで課題を優先度付けしながら対策がうつことができます。そして、そうした組織作りをすることで最終的に市場への価値提供を最大化する、ということがVSMの重要な考え方です。
こうしたデータをもとにStep2以降で改善を行い、さらにはデータをリアルタイムに計測しながら素早い対策をうちます。それにより、より迅速に時代の変化に対応できる組織を形成し、市場への提供価値を最大化することこそがVSMの目的です。
Value Stream Mappingの実践
このVSM導入に向けた第一歩であり、最も重要な位置づけとなるのがValue Stream Mappingです。Value Stream Mappingとは、主にリーン生産方式やプロセス改善の手法として使用される手法であり、開発プロセス全体の可視化と分析を可能にします。主要なステークホルダーを一同に集めてこのワークショップを実施することで、フロー全体の可視化、各プロセスにおける定量的・定性的な情報の収集、ボトルネックの特定、無駄な作業の特定、改善提案、チーム間をまたがったコラボレーションなどを可能にします。
一方で、この活動を行う上では、忙しいステークホルダーの予定を数日間確保してワークショップを行う必要があり、日程調整が難航したり、出席者が当日のワークショップに集中できなかったりするという課題がありました。そこで、NTTデータグループでは、ワークショップ外で実施するプロセスを整理し、ワークショップ自体を半日で実施するフレームワークを作成しています。
また、こうした開発プロセス可視化の取り組みと並行して組織・チーム自体の状態を可視化することも推奨しています。どんなプロセスも最終的には人間が行うものであり、その組織・チームの状態に依存して課題も変わりうるためです。
ADM技術部ではツールベンダーと連携し、チームレベル・組織レベル・ロール別などあらゆる単位でのアセスメントを提供しているほか、VSMの分野で進んでいるUSのメンバーと連携し、VSMに特化したアセスメントを作成しています。これらを活用して、組織の状態を定性的に評価し複合的に現状の可視化・ボトルネックの特定を実施しています。
まとめ
NTTデータグループでは、VSMの活用によるアジャイルの効果の最大化を支援し、アプリケーション開発の生産性向上と顧客への迅速な価値提供の実現に貢献します。
本稿ではVSM導入の第一歩として、Value Stream Mappingの取り組みを紹介しました。このワークショップを通して開発プロセス全体の現状の可視化・問題把握を行い、NTTデータグループのオファリングを活用した長期的な改善ロードマップのご提案、さらには、お客さまを伴走支援しながらVSM導入の支援を行っています。
Value Stream Management & SAFeの詳細はこちら:
https://www.nttdata.com/global/en/services/adm/vsm-safe
アプリケーション開発・管理の詳細はこちら:
https://www.nttdata.com/jp/ja/services/adm/
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