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2025.5.7業界トレンド/展望

デジタルでつなぐデータセンター構築とFM業務

昨今非常に注目度が高いデータセンター。NTT DATAでは長期にわたり、信頼性の高いデータセンターサービスを提供してきた。近年のデータセンターの建設需要の増大や、大規模化、設備の複雑化等の外部要因を背景にして、データセンターサービスの核となるファシリティマネジメントの難易度が上がっている。NTTDATAではデジタルツイン等の最新技術を活用し、より高度なファシリティマネジメント業務を実現し、より信頼性の高いサービス提供を進めている。今回、構築から運用をデジタルでつなぐため、いくつもの課題に挑戦し成功に導いた「NTTDATA三鷹ビルEAST(二期棟)BIMを使ったFM業務変革」の取り組みについて、大切なポイントを紹介する。
目次

NTT DATAのデータセンターの取り組み

NTT DATAは、世界第3位のデータセンター事業者として、数多くの運用実績と変革を続けています。データセンターのファシリティは、多くのプロフェッショナルメンバによりインフラ設計、構築、運用を多様化するお客様のニーズに柔軟にお応えし提供しています。
また、「寄り添う」「つなぐ」「挑む」をコンセプトに、スマートビルやデータセンターを通じて新しい価値の提供に取り組んでいます。

BIMとFM

BIM(Building Information Modeling)はデジタルツインを活用して、建物の設計・施工の最適化を図る仕組みです。各オブジェクトの情報をデータベースとして利用でき、主に設計・施工フェーズでの活用が進んでいます。
FM(Facility Management)は、社会や環境の変化に対応しながらファシリティを適切に構築・維持・運用・管理する取り組みです。
NTT DATAでは、データセンターの専門家が、その知見を活かしBIM(※1)とFM(※2)を効果的に融合させることで、効率化、品質改善を進めサービス品質の向上に努めています。

(国際標準化機関(ISO)定義)

(※1)

BIM:意思決定のための信頼できるベースを形成する、設計、建設及び運用プロセスを円滑にする目的の建設資産の共有デジタル表現の使用。

(※2)

FM:企業・団体等が組織活動のために、施設とその環境を総合的に企画、管理、活用する経営活動。

データセンターの構築から運用をデジタルで「つなぐ」

データセンターの複雑で多岐にわたるファシリティを適切にマネジメントしていくためには、デジタル技術を活用した業務効率化や省人化が必要です。これまでデータセンターの設計、施工フェーズではBIMの活用により、仮想空間で見える化させることで施工性等の向上が実現できていましたが、維持管理フェーズでは必要な情報粒度のミスマッチ、操作性等がネックとなり、そのデータはうまく活用されていませんでした。
そこで、NTT DATAでは、今までFM業務で個別に作成・管理している施設管理台帳とLCC(ライフサイクルコスト)について、BIMを活用した作成・管理の自動化を目指しました。自動化することで様々な情報が登録されているBIMデータが活用でき、シームレスになることで様々なメリットが生まれます。それをまずは使う人に便利だと感じてもらえるために、UI・UX向上を第一に生産性向上、業務品質向上に取り組みました。
これによりビル竣工時からのFM業務経験と建築設備の専門知識を持つ岩元氏は「BIMをFM業務へ活用することで、これまでの更改・修繕計画の立案や各設備情報の確認などに大きな生産性向上が見込まれます。特にLCCの管理において、昨今の物価高などの影響も踏まえた最新化が容易になり非常に有益です。また、デジタルツイン(3Dモデル)を活用することで、直感的に設備の配置や状態を把握できるようになり、現地で見えない箇所でも現地確認前におおまかな事前検討の対応が可能となりました。」と述べています。

経験と新たなアイディアで複雑な課題に「挑む」

図1:フロー図

BIMをFMで活用する事例は、様々なところで取り組みが増えつつありますが、高性能の端末が必要なことも多くFM業務への展開は容易ではありません。NTT DATAは、NTTDATA
三鷹ビルEAST一期棟から継続的にBIMを維持管理に活用してきた様々な経験を踏まえ、標準的なクライアント端末で、端末操作に慣れない方でも簡単でスムーズな操作を可能としました。

図2:構成図

FM BIM(維持管理用BIM)では、FMに精通するメンバーが「要件定義」し、UI・UX(応答レスポンス、わかりやすい3Dモデル、必要情報の網羅)を向上するために、図面情報の最適化、属性情報の最適化を行い、応答レスポンスに影響のあるBIMモデルのデータ容量は98.8%の削減を実現しました。それにより、標準性能のクライアント端末で円滑な利用が可能となり、3Dモデルでも高いアクセス性と操作性が実現できました。

図3:モデルの軽量化(例)

使う人に「寄り添う」FM BIM

データセンターに留まらず、FM業務では多数の機器管理が求められます。NTT DATA三鷹ビルEAST(二期棟)では、デジタルツインを活用し、部屋単位で把握したい機器は部屋単位で、個別に管理したい機器は個別に管理できる新しい仕組みを採用しました。これにより、管理の粒度を柔軟に調整し、使う人が効率的にマネジメントを行えます。

設備の管理は目的により管理粒度も異なるため管理する内容や管理項目の整理については、専門家でなくては難しいものでもありましたが、ITとFMの知見を活かし大項目、中項目、小項目ごとに情報を整理しデータ化することで最適化を図りました。
そして使う人が使いやすいツールとするため「ストレスのない動作」「簡単な操作」「低コスト」に対応しています。

図4:2階断面図(例)

FM BIMで作成できるLCCに関しては、データセンターの核になる設備や金額が大きい設備について、過去の実績等に基づいたコストや修繕周期・更改周期を反映、設定することでOUTPUTの精度向上を図っています。

図5:LCC アウトプット(例)

今回の取組を踏まえ西森氏は「FM BIMにより、より高度なファシリティマネジメントの実現が可能となり、この取り組みをさらにブラッシュアップさせていくことで、我々のデータセンターが将来的にどのように進化していくかが楽しみです。」と語ります。
上田氏からは「三鷹ビルEASTを深く知らない私でも、FM BIMのデジタルツイン(3Dモデル)を活用することで、まるで施設を見学したかのような体験をすることができました。今後検証を重ねていき、FMに従事する我々だけではなく、エンドユーザー様にも同様の体験をして頂けるよう、FM BIMの可能性を最大化していきたいです。」とお話し頂きました。

今後は、二期棟での事例を基にNTTDATA三鷹ビルEAST全体へFM BIMを展開しビル一体としての運用を開始します。
また、本取り組みを始めとして、NTTDATAでは最新技術の活用を通して更なるFM業務の高度化・省力化を進めることで、より高品質なデータセンター運営を推進してまいります。

データセンターについてはこちら:
https://www.nttdata.com/jp/ja/services/datacenter/

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