「アクティブリビング」-人手不足でも、人に寄り添う介護を実現する
HITOWAグループの一員として、全国に140以上の有料老人ホーム「イリーゼ」を展開するHITOWAケアサービス株式会社。同社は「プラスワンのサービス提供を通じてあらゆるお客さまのQOL(生活の質)向上を実現する」という理念のもと、高齢者が安心して暮らせる環境づくりに取り組んでいる。
社会環境の変化、高齢者のニーズの多様化、労働人口の減少が進む中、同社が経営上の重要テーマとして掲げたのが、“サービスの付加価値による施設の魅力向上“であった。特に2025年夏に開設する新施設では、入居者が前向きに、日々を楽しく活動的に過ごす「アクティブリビング」という新たなコンセプトをデザイン。その実現に向けた重要なキーファクターとして導入したのが、NTTデータが提供するAmazon Alexaを活用した音声コミュニケーションサービス『ボイスタ!』である。
『ボイスタ!』は、入居者の“声”による会話や操作を通じて、生活支援や心の交流を促すコミュニケーションプラットフォームである。話しかけるだけで家電の操作や情報提供が行えるほか、“声かけ”を中心に入居者の自立支援を行うことで、スタッフや家族とのつながりを保ち、安心して自分らしい生活を続けられる環境づくりを目指している。
この取り組みをリードするオペレーション本部 運営サポート部 次長の丸山具視氏は、導入の背景をこう語る。
「私たちが目指したのは、介護の本質を損なわずにテクノロジーを活用する『人とテクノロジーが支え合う介護』です。そこで着目したのが『声』でした。このサービスの最大の特長は、2つの『声』にあります。
1つ目は、入居者自身の声です。『おはよう』と話しかければ、『おはようございます、今日は〇〇の日ですね』と返答があり、家電操作はもちろん、体操やレクリエーションなどの動画・コンテンツが流れ出し、居室にいながらもアクティブな生活を楽しめます。これにより、自らの意思で活動する“アクティブスイッチ”を入れることができます。
2つ目は、スタッフに代わる声かけです。多忙な現場では、継続的な声かけが難しい場面もあります。ボイスタ!は、一人ひとりに合わせたメッセージを事前に設定することで、呼びかけや個々のニーズに合わせた注意喚起、日課のアナウンスなどを自動で行います。完全な人の代わりではありませんが、スタッフを支え、入居者様の行動スイッチをONにするサポーターとしての効果を期待しました。」
図1:「ボイスタ!」の利用イメージ
ケアの常識を変える、「ボイスケアプラン」
導入にあたり同社が最も重視したのは、介護現場で大切にされてきた「声かけ」を、いかにテクノロジーで再現・強化するかという点であった。そこで生まれた独自の取り組みが「ボイスケアプラン」である
図2:ボイスケアプラン
「従来のケアプランが『いつ・どのようなケアを提供するか」という生活支援計画であるのに対し、ボイスケアプランは『どのタイミングで・どんな言葉をかければ、その方の自立が促されるか』という視点で設計されます。
職員は入居時にご家族へ『どのように過ごしてほしいか」『どんな声をかけたいか」をヒアリングし、その内容をボイスタ!に設定。入居者のADL(身体機能)や認知レベル、嗜好に合わせて「アクティブレベル」を分類し、生活リズムに溶け込むような自然な声かけを調整します。」(丸山氏)
日常的な定型のアナウンスや声かけをボイスタ!が担うことで、スタッフはより深い対話や、人にしかできない質の高いケアやコミュニケーションに集中できるようになる。これはまさに、人の温かさとデジタルの効率性が融合した新しいケアコミュニケーションの形と言えるだろう。
「声のつながり」が生み出した変化
現場では、すでに“声“によるポジティブな変化が生まれている。
「入居者からは『ボイスタのおかげで退屈しない』『自分で電気をつけ消しできて便利』といった声が寄せられ、生活への主体性が向上。ご家族からは『ビデオ通話で顔が見えて嬉しい』『離れていても様子が伝わって安心』といった安堵の声が届いています。そしてスタッフからは、『ボイスタの画面をきっかけに会話が弾むようになった』『声かけの効果で、ケアにゆとりが生まれた』という報告が上がっています。『どんな声かけが効果的だったか』をスタッフ間で共有する文化も芽生え、施設全体で“声で寄り添う介護”が浸透しつつあります。こうした変化は、HITOWAケアサービスが掲げる「アクティブリビング」の理念にもつながっています。」(丸山氏)
ボイスタは、入居者の自立を支えるパートナーとしてだけでなく、ご家族・スタッフ・そして施設全体をつなぐ“声のプラットフォーム”へと進化している。
これらの変化は経営効果にまで反響しているという。
「施設への入居問い合わせからの見学誘致率(%)が弊社他施設と比較して、11.0~14.0ポイントの向上、また見学からの成約率(%)において、約8.0ポイント向上という効果につながっています。」(丸山氏)
生成AIとデータ活用で描く「ボイスタ!」の未来
ボイスタ!の進化はこれで終わりではない。現在NTTデータでは、生成AIやセンサー、介護記録、日々の対話データを組み合わせ、よりパーソナライズされた介護支援の実現を目指している。
将来的には、入居者との対話を通じてその人の「人生の物語」や願いをAIが理解し、その日の気分や体調に合わせた最適な声かけやケアプランを自動提案する-そんな未来を描いている。
丸山氏は、その先のビジョンをこう語る。
「私たちは“時間”を意識しながら、過去・現在・未来をつなぎ合わせ、その方に向き合うことで質の高いケアが提供できると考えています。ボイスタ!がその橋渡し役となり、家族の絆や、その方だけの人生の物語を表現できるようになる未来がくればいいなと思っています」
こうした進化は、HITOWAケアサービスが目指すプラスワンのサービスを支えるだけでなく、介護現場の負担を減らしながら、入居者一人ひとりに寄り添うケアの質をさらに高めていく。
“声でつながり、データで支える”-そんな新しい介護のかたちが、少しずつ現実になりつつある。
HITOWAケアサービスとNTTデータは、ボイスタの進化を通じて、“過去・現在・未来”をつなぎ、人の記憶や想いを次の世代へ受け継ぐ-“声が紡ぐ介護の未来”を共に描いていく。
そしてその挑戦は、慢性的な人手不足や高齢化といった社会課題に直面する介護業界そのものを変えていく一歩でもある。


ボイスタ!についてはこちら:
https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/voista/
介護業界の対話AI活用のウェビナーについてはこちら:
https://www.nttdata.com/jp/ja/trends/event/archive/2025/041/
HITOWAケアサービスの有料老人ホーム「イリーゼ」についてはこちら:
https://www.irs.jp/