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2026.1.29業界トレンド/展望

産業データが世界を変える
NTT DATAが提言する、業界横断データ連携による社会変革

日本企業が蓄積してきた豊富な産業データとプロセス知見は、世界の社会課題解決の鍵となる可能性を秘めている。NTT DATAは、気候変動や地政学リスク、労働力人口減少など、一企業だけでは解決困難な課題に対して、企業・官民の枠を超えたデータ連携による変革アプローチを提言している。デジタル・AI(人工知能)技術の成熟により社会全体での活用素地が整った今こそ、日本企業の強みを世界に展開する好機だ。NTT DATAは長年培ったエコシステム構築のDNAとデータスペース技術を武器に、個社レベルを超えた社会全体への価値提供を推進している。
目次

企業を超えた連携で社会課題に挑む

企業を取り巻く競争環境は激しく変化している。気候変動や地政学リスクの増大、AIガバナンスといったグローバルな課題に加え、労働力人口減少など日本特有の課題にも対応しなければならない。いずれも企業にとって極めて大きな課題だ。

梅原稔氏

NTTデータグループ 執行役員 コーポレート戦略本部長 兼 コンサルティング&ビジネスアクセラレーション本部長
梅原 稔

「例えば、サプライチェーンの効率化は、カーボンニュートラルを目指す社会において大きな課題ですが、これを1社だけで解決することはできません」と語るのは、NTT DATAの執行役員でコーポレート戦略本部長兼コンサルティング&ビジネスアクセラレーション本部長を務める梅原稔だ。
「同じように、あらゆる企業が自社だけでは解決できない多様な課題に直面しています。解決には、官民と企業間の連携、業界横断での取り組みが不可欠です」

官民の壁、企業間の壁を乗り越えて、社会全体でビジョンを共有し変革を目指す。そんなアプローチが必要とされるテーマは少なくない。感染症対策やセキュリティー分野でも社会全体での取り組みが求められ、国際標準や法規制などの観点も重要になる。

官民・企業間連携、業界横断で難問に立ち向かう際の有効な手段として注目を集めているのがデータスペースである。

データスペースとは、データ管理者の権利を確保した上で、組織間で安全にデータをやり取りできる環境、すなわちデータ流通プラットフォームのことだ。現状、組織間でのデータ連携には多くの制約がある。企業にとって重要なデータは外部に出したくない、あるいは本当に信用できる相手としか共有したくないと考えるのは自然なことだ。

データスペースはこうした制約を解消し、組織間のデータ連携を促進する。それにより、さまざまなプロセスの効率化や新たな価値の創出が可能になり、社会全体のコスト最適化やサステナビリティの向上にもつながる。ただし、こうした連携を実現するためには、技術面での対応だけでなく、データガバナンスやプライバシー保護など制度面での整備も不可欠となる。

図1:データスペースの社会実装に向けたNTT DATAの活動

データスペース時代の到来と日本の取り組み

データスペースが実現する可能性は大きい。梅原は具体例を挙げて説明する。
「サプライチェーンでリアルタイムのデータ共有が実現すれば、個別最適により生じていた無駄がなくなり、社会全体の効率が高まります。また、製品ライフサイクルでのデータの真正性が確保できれば、信頼できる使用履歴が入手でき、リユースやリサイクルが促進されるでしょう」
さらに、データの秘匿性確保という観点でも大きな意味を持つ。「医療やゲノムなどの情報については、従来は共有が困難と考えられていました。データスペースを活用すれば、データの秘匿性を確保しつつ、研究機関などの第三者による二次利用が可能になります」(梅原)
一方で、その効用を実現するためには大きく2つの課題を克服する必要がある。合意形成と技術的な課題だ。
「データスペースというプラットフォームの共有に向けて、利害の異なるプレーヤーをいかにまとめるか。まず競争領域と協調領域を適切に見極める必要があります。各組織の納得と合意を得るには、大きなエネルギーを要するでしょう」と梅原は指摘する。
技術面では、データの秘匿性の制御が課題となる。「例えば、『A社に対してはこのデータだけ共有する』『B社に対してはデータ共有の範囲をここからここまでとする』といった柔軟な制御が求められます」(梅原)

梅原稔氏

データの競争性を維持しつつ、活用の利便性や柔軟性を備えたデータスペースづくりは難易度の高いチャレンジだ。
しかし、高いハードルを乗り越えて動き始めたデータスペースもある。NTT DATAが2024年5月にサービス提供を開始した「バッテリートレーサビリティプラットフォーム」は、日本におけるデータスペースの先駆けといえる取り組みだ。
このプラットフォームは、経済産業省主導の「ウラノス・エコシステム」に基づいて構築され、車載バッテリー製造プロセスのカーボンフットプリント情報を共有する。EUの規制による情報開示要求への対応とサーキュラーエコノミーの実現を両立させている。
データスペース構築において先行するのは欧州だ。エネルギーやモビリティー、スマートシティなど約20分野で190のデータスペース構築が進められており、日本も官民連携によるキャッチアップが求められている。

エコシステム構築のDNAが生きる時代

NTT DATAは業界横断や社会インフラレベルのエコシステムにおいて、長年にわたって実績を積み重ねてきた。その代表例が、クレジットカード決済やQRコード決済などに対応するキャッシュレス決済総合プラットフォーム「CAFIS」だ。金融機関が共同利用するシステムについては、クラウドコンピューティングという言葉がない時代から構築・運営している。

図2:キャッシュレス決済総合プラットフォーム「CAFIS」の接続イメージ

「業界全体で活用する、あるいは業界を横断するエコシステムを当社は支え続けてきました。それは私たちのDNAであり、企業文化の一部です。そして、今もさまざまな分野で新たなエコシステムづくりを進めています」と梅原は語る。

こうした企業文化の下で培った経験は、多くのプレーヤーの利害を調整し、合理的な方向性を見いだす上でも重要な資産となっている。
最近構築したエコシステムの一例が、イオン銀行とともに構築したサプライチェーン・ファイナンスシステムである。

「多種多様なサプライチェーンに多くの企業が参加していますが、支払いサイトの長さに苦労している中小企業は少なくありません。そこで、イオン銀行様と連携してサプライチェーン上の商流データを一元管理し、発注書を基にサプライヤーに融資する仕組みを構築しました。支払いサイトの短縮と借入金金利の低減を実現し、エコシステム全体の効率を高めています。今後、サービスメニューはさらに拡充される予定です」

そのほかにも、現在NTT DATAはさまざまな分野で業界横断のエコシステムやデータスペースの構築を進めている。ウラノス・エコシステムに基づく化学物質情報のトレーサビリティ管理システムの開発、半導体サプライチェーンの可視化を通じた強じん化を目指すデータ流通基盤の構築など、その取り組み分野は拡大している。

「生成AIをはじめとする技術進化により、多くの企業・業界が変革を迫られています。技術だけでなく、法規制や地政学要因などの環境変化も見逃せません」と梅原は現状を分析する。

「当社にはデータセンターやネットワークのレイヤーからIT構築・運用、コンサルティングまでフルスタックの能力、そしてグローバルな知見と経験があります。これらの強みを生かし、個社と業界、社会をよりよく、より強くするために、ロングタームの変革パートナーとしてお客さまに伴走していきたいと考えています」

業界や社会のエコシステム、データスペースは世界各地で立ち上がりつつあり、それらはやがて互いに連携していくだろう。そうした時代において、長年エコシステム構築・運営に携わってきたNTT DATAの強みが発揮される場面は、ますます拡大していくと考えられる。

関連記事「変革の提言から実装、成果創出までを一貫サポート」では、NTT DATAが推進する経営アジェンダアプローチと「提言・実装・成果」モデルによる真の変革パートナーとしての取り組みを詳しく紹介する。

※本記事は日経電子版に掲載した内容を、許諾を取って掲載しています。

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