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2026.3.5事例

【NTTドコモ×NTT DATA】ローコードと生成AIで実現するシステム開発改革

顧客ニーズおよび市場変化が激しい通信業界において、「スピード」と「安心・品質」の両立をモットーに、顧客へデジタルサービスを提供し続けるNTTドコモ(以下、ドコモ)。大規模な会員基盤を持ち、非機能要求が高いdポイント会員さま向けのアンケートシステムなどを、NTT DATAと共創し、ローコードプラットフォーム(LCP)「OutSystems」(※1)を活用して短期間で構築した。その結果、年間コスト50%以上を削減する大きな成果を上げたという。また、生成AI活用にもLCPを使うことで、短期間でのリリースや改善を可能にする効果を上げている。

本稿では、ドコモにおいてLCPを導入した経緯や成果を聞きながら、エンタープライズにおける生成AI×LCP活用のヒントを探っていく。

目次

1.市場変化に対応するための開発スピードの重要性

--ドコモでは、システム開発の際にどのような点に注力しているのか教えてください。

ドコモ:竹内 氏
私たちが注力している金融、エンターテインメント、ライフスタイルサービスは、お客さまのニーズや競争環境の変化が激しい領域です。つねに市場変化にアンテナを張って迅速に対応することはもちろん、品質と安全性も担保しなければなりません。

そのためには「新しいアイデアや施策をいかに早くお客さまに届けるか」、「提供したサービスを安心・安全かつ高品質に運用し続けられるか」をつねに考え、改善していくのがドコモのシステム開発の特徴です。

NTTデータ:平見
ドコモはアジャイル開発をうまく取り入れており、トライアル&エラーを理解しながら非常に高い成果を上げています。アジャイル開発のベストプラクティスに沿って、ドコモ独自のルールやアーキテクチャーなどが整備されているところが強みです。

システム開発では、ドコモとNTT DATAが一体となり、お互いにアイデアを出し合いながら進めることで、ユーザー目線に立ったサービスの提供をめざしています。

(※1)OutSystems

https://www.outsystems.com/ja-jp/

2.開発スピードと品質を両立するためのシステム開発改革

--OutSystemsを導入したのは、どのようなきっかけがあったのでしょうか。

ドコモ:佐々木 氏
従来はビジネス部門がシステム要件を決定後、その要件をシステム部門が具現化していくという流れが一般的でした。しかし、それでは開発のリードタイムが長くなり、ビジネスのスピードが落ちてしまいます。そこで、私たちが注目したのが「OutSystems」です。アジリティを重視した開発を可能にする点が、ドコモのニーズと合致しました。

とはいえ、いきなりtoC(コンシューマ)システムを構築するのは難しいと考え、部内のシステムで活用することにしたのです。その結果、従来開発比5倍の生産性とカスタマイズ性の高さ、高い非機能要件に耐えうるインフラが提供されていると確認できたため、toCシステムにも活用できると確信し、採用が決定しました。

導入後は、ビジネス部門のみに仕様を任せるのではなく、システム部門も企画の段階から加わり、相互補完しながらナレッジ共有を徹底し、今までにないサービスをお客さまに提供しようと奮闘中です。

NTTデータ:大石
LCPは非常にすばやく画面が変更できるので、打ち合わせの場で生まれたアイデアをその場で反映し、変更した画面を見ながら議論を進められます。判断スピードを早められるだけでなく、協力が得やすかったという相乗効果があります。

これらはドコモのシステム開発と非常に相性が良いと考えていました。また、導入検討当時からNTT DATAではグローバルでOutSystemsに取り組んでおり、さまざまなナレッジが蓄積されていました。

3.システム開発改革がもたらした成果

--社内システムで生産性が向上できるという結果を受けて、toCシステムにOutSystemsを採用したそうですね。どのようなシステムに活用したのですか。

NTTデータ:平見
1億人の会員基盤があり、高い非機能要求が求められるアンケートシステムを構築しました。ビジネス部門の要望をアジャイル開発で具現化し、成果物を都度確認してもらうなど、密にコミュニケーションを図ったことで約5カ月という短期間でリリースすることができました。

ドコモ:佐々木 氏
当初、アンケートシステムはSaaS(Software as a Service)を利用していましたが、カスタマイズに限りがあり、お客さまに対して実施したいアンケートを実現できないケースがありました。さらに、データ活用もSaaSの仕様に合わせなければならないため、分析に時間がかかり、費用面も課題となっていたのです。
こうした課題を踏まえ、OutSystemsではPaaS(Platform as a Service)版を利用することにしました。アプリケーションを自由にカスタマイズしながらインフラを任せることができたため、データ分析の高度化および50%以上のコスト削減、生成AIを組み込んだデータ分析などが可能となり、改善の高速化を実現しました。

ドコモ:髙橋 氏
セキュリティ対応やメンテナンスをOutSystemsに任せられることも、大きなポイントです。昨今、DDoS攻撃(Distributed Denial of Service attack)などへの対策の重要性が高まる中、AWS(Amazon Web Services)とOutSystemsの両社でもしっかり対応してもらえる点もメリットだと思います。

ドコモ:竹内 氏
正直なところ、お客さまが日常的にアクセスする大規模な会員基盤を持つシステムだったため、OutSystemsを使用するのは大きなチャレンジでした。プロジェクトメンバーやNTT DATAのOutSystemsの有識者と何度も議論を重ね、アクセス集中時のパフォーマンスやスケーラビリティなどが担保できるとわかり、導入を決定しました。

ドコモ:杉山 氏
2025年9月30日と10月1日、リスボンで開催されたグローバル全体の年次イベント「OutSystems ONE Conference 2025」で、アンケートシステムの成果をNTT DATAとともに世界各国の方々に向けてプレゼンテーションを行いました。

およそ100人の聴衆が集まり、大きな反響をいただきました。これだけ注目を集めたのは、大規模な会員基盤を持つアンケートシステムを約5カ月という短期間でリリースできたこと、またコスト削減を実現した点が大きかったのだと捉えています。

NTTデータグループ:小澤
今回アンケートシステムを作り替えたことによって、生成AIを使ったデータ分析機能についても、わずか2カ月ほどの追加開発で実現しており、SaaSではカスタマイズが難しかったデータ分析の高度化が実現されています。このようなアジリティの高さは、生成AIを活用するアプリケーション開発にも生かされています。

図:柔軟なアンケート作成が可能になった画面

4.アジリティを生かしたAI活用へのアプローチ

--ほかにも、生成AIを活用した設計書復元を行うシステムや、アプリケーションの開発見積もりを生成するシステムをOutSystemsで開発しているとお聞きしました。どのような効果を実感していますか。

ドコモ:杉山 氏
生成AIを活用したアプリケーションは、モデルが加速度的に進化していくだけでなく、応答の一貫性も十分ではありません。また、新しい言語に対応しなければならないケースも出てきます。こうした課題もOutSystemsを使えば、改善の要望をすぐに取り込めるうえにプロンプトの追加も容易になります。世の中ではまだ活用が進んでいなかった2023年度に、商用環境で使われるアプリケーションのリリースが実現しました。
リリース以降も、OutSystemsでブラッシュアップしています。利用者の反応を見ながら、改善を進められる効果は大きいと実感しています。

ドコモ:佐々木 氏
生成AIでソースコードから設計書を復元するアプリケーションは引き合いが多く、いろいろな方から注目されています。生成AIはまだまだ試行錯誤が必要ですが、LCPであればアジリティ高く開発できるため、アプリケーション開発との相性が非常に良いと感じています。特にOutSystemsは、ワンクリックでアプリケーションの検証、デプロイの実施などが行えるため、何百回もトライアル&エラーを繰り返し、改善を重ねることが可能です。企業の課題になっているレガシーシステムをはじめ、これからも多くのシステムに適用していきたいと考えています。

NTTデータグループ:加藤
現在、NTT DATAは生産性向上をめざした取り組みや、レガシーシステムのモダナイズを進めています。そうはいっても現場には設計書がなかったり、Excelでまとめたものしかなかったりするのが現状です。

このような課題も、今回ドコモとともに開発したソースコードから設計書を復元するシステムを活用することで、解決につながる可能性があると思います。

5.NTTドコモとNTT DATAが描く、これからのシステム開発について

--最後に、今後の展望をお聞かせください。

ドコモ:竹内 氏
生成AIをはじめとした新しい技術の動向をつねに注視し、最適なプラットフォームを臨機応変に選択していくことが重要だと考えています。現在はLCPをはじめ、システム開発を高速化するためのさまざまなプラットフォームを活用中です。しかし、新たな生成AIの登場によって、使い分けの構図が変わる可能性もあるでしょう。その際、どのプラットフォームを活用すべきか議論する必要があると思っています。

NTTデータグループ:小澤
生成AIを活用したさまざまなプロダクトがリリースされており、さまざまなプロダクトを比較しながら活用ユースケースを検証しています。OutSystemsでもAIエージェントを開発する機能、およびAIを活用して開発を効率化する機能がリリースされました。特定ユースケースにおいては、活用するメリットが明確になってきています。NTT DATAはこうした機能を早期に検証しています。今後も活用できる領域を見極めながら、ドコモと協力し、積極的に生成AIを開発に取り入れていきたいと思っています。

NTTデータグループ:加藤
LCPは、プラットフォームにDevOps(※2)の仕組みが搭載されているからこそ、Time to Market(※3)が短くなると考えています。AIがシステムやアプリケーションを開発することによって、生成されるコードは急激に増加すると思いますが、生成AIが作ったものは必ずチェックが必要です。AIに開発を進めさせつつ、人間がLCPのGUI(Graphical User Interface)をレビューするという手法も考えられるのではないかと思っています。LCPや生成AIの活用によるITコスト低減、生産性向上は企業の成長に不可欠であり、ドコモとともに考えていく課題だと捉えています。

(※2)DevOps

開発(Dev)と運用(Ops)を組み合わせて開発を進めるシステム開発の手法

(※3)Time to Market

製品を市場に投入するまでの時間のこと。仕様策定からリリースまでの期間。

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