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2026.5.11業界トレンド/展望

NTT DATAが全社を挙げて取り組むAIとサステナビリティのこれから

ITでの長年の経験をバックボーンに‟AI Driven Company”を掲げるNTT DATAでは、従来から推進してきたサステナビリティ経営をさらに強化するため、2025年7月にサステナビリティ経営推進部をサステナビリティ経営推進本部に格上げするなど、サステナビリティを経営の中核に据えた取り組みに注力している。世界有数のITサービス企業であり、企業や社会に対して大きな影響力を持つ同社だけに、その取り組みが注目される。どのような方針の下で、どのような戦略が展開されているのだろうか。
目次

3つの戦略的な枠組みで事業機会と社会価値の両立を

ITの進化はビジネスの拡大につながるが、持続可能性という観点では大きな課題も投げかける。それが電力消費の増大であり、それに伴うCO2排出量の増加だ。NTTデータグループの山根 知樹は、次のように指摘する。「電力消費はこれまでも微増してきましたが、近年の生成AI(人工知能)の活用によって、その伸びは一段と加速しています」

NTTデータグループ サステナビリティ経営推進本部 Sustainability Business Office 室長
山根 知樹

「情報技術で、新しい『しくみ』や『価値』を創造し、より豊かで調和のとれた社会の実現に貢献する」というMissionを掲げ、世界有数のITサービス企業であり、データセンター事業者として世界第3位(※)の規模で事業を展開するNTT DATAにとって、ITを活用した持続可能な社会の実現は大きな意味を持つ。

「ITが社会に不可欠なインフラとなった今、40年以上ITビジネスをリードしてきた当社には社会的な責任があります。ITやAIが持つネガティブな側面を抑制しつつ、ポジティブな価値創出を追求していかなければなりません」と山根は話す。

サステナビリティ経営の戦略的枠組みとして同社が掲げるのが「Quality Growth with 3 Positives」だ。質を伴った成長を目指すという「Quality Growth」を進める中で、環境のPlanet、経済のProsperity、社会のPeopleの3つのPositiveを同時に実現していく考え方である。

3 Positivesとは

「サステナビリティの観点を事業と切り離さずに一体のものとして捉え、3つのポジティブを事業機会として、トレードオンの形で実現していくことを目指しています。特に重要なのは、ネガティブな側面(トレードオフ)が出ることがある環境(Planet)・社会(People)に対しても注力することです」と山根は説明する。

データセンター事業者でもある同社は、主体性を持って取り組むだけのケイパビリティがあることも大きな要素だ。ソフトウエア・サーバー・クラウドからデータセンター・ネットワークに至るまでフルスタックのケイパビリティがある。その全てにサステナビリティを加えることで、全体として大きな効果を生み出せる。

「社会インフラを支える事業者としての総力を挙げてサステナビリティを推進することで、お客さまへの価値を最大化し、ひいては社会全体の持続的な成長につなげていけます」(山根)

(※)

Structure Research2024/7に基づき、NTTデータが作成 中国事業者を含まず、一部NTT保有資産を含む

AIによる課題解決とAIの環境負荷の低減を

特に昨今注目を集めている生成AIに関する施策は、サステナビリティの中でも重要な位置を占める。山根は「Quality Growth with 3 Positivesの実現において、AIは中核的な役割を担います」と語る。AIで価値を生み出し、生産性を向上させるだけではなく、環境へのネガティブな影響を抑え、倫理的な側面からAIガバナンスを確立することが求められる。

そこで同社では2つの枠組みからSustAInability(=AI×サステナビリティ)に取り組むことを掲げる。AI活用によってもたらされる環境負荷を低減する「Sustainability of AI」と、社会課題の解決や持続性の向上のためにAIを活用する「AI for Sustainability」だ。グリーンイノベーションのためのITの位置付けの発展形として捉えることもできる。

NTT DATAのAIへのアプローチ

「今のままでは電力消費量は幾何級数的に増えていきます。AI自身の電力消費を抑え、AIで省エネルギー化を図ることは急務です。少子高齢化で労働力が不足し、熟練人材が減っていく日本ではなおさら重要です」と山根は指摘する。当然、グローバルという観点からのアプローチも必要になる。

NTTグループが開発したIOWN(アイオン)という光技術によるイノベーションは、既に一部で成果を上げているものの、本格的な社会実装や効果創出にはなお時間を要すると考えられる。そのため、中長期のイノベーションを追求しながら、短期的に効果を発揮できる施策を同時に展開していくことが必要だ。「できるところとできないところを整理して、夢と現実の両面から対応していきます」(山根)

現実的な対応としては2つの領域に注力するという。「Next-Gen Infrastructure」と「AI-empowered New Value & Productivity」だ。前者はデータセンターのサービスプロバイダーとしてネットワーク技術やクラウド技術を掛け合わせ、NTTデータグループの総合力を生かした次世代インフラサービスを提供することであり、後者はAIを活用し、お客さまの業務プロセスを再設計することで、新たな価値創出と生産性の飛躍的な向上を実現することだ。Quality Growth with 3 Positivesを実現するために、この2つの注力領域にサステナビリティの観点を取り込んでいく。

「フルスタックのケイパビリティを生かし、インフラ全体を横断して最適化できる点が当社の強みです。設備効率の向上だけでなく、再生可能エネルギーの活用やワークロードの地理的・時間的シフトを通じて、環境負荷を抑えます」と山根は力を込める。再生可能エネルギーが利用できる地域にコンテナ型のデータセンターを設置することで、地方分散の実現を目指す施策も進めている。

「Next-Gen Infrastructure」の取り組み

現状、AIの活用は個別業務や部分的な効率化にとどまり、十分なビジネス成果の創出には至っていない。そこで同社は、AIを前提に既存の業務プロセスそのものを再構築し、生産性の抜本的な変革と新たな価値創出を図る。

「当社は長年培ってきた業界・業務理解を基に最適なAIを選定し、実装まで責任を持って担います。そこで得られた知見を業界への提言へとつなげ、その成果を再びお客さまや社会に還元していきます」と山根は話す。

「AI-empowered New Value & Productivity」の取り組み

グリーンソフトウエアで責任あるイノベーションを

一方、ソフトウエアを起点にIT業界のグリーン化を推進する団体として2021年5月に設立されたのがGreen Software Foundation(GSF:グリーンソフトウェア財団)だ。NTTデータグループでは設立時から参加し、2025年1月にはNTT DATA UKのGadhu Sundaramがチェアパーソン(運営の代表メンバー)に就任している。Gadhuは32年間ソフトウエア業界に従事し、そのうち26年間はNTT DATAで働いている。ここ5年はテクノロジーと持続可能性の関係性についての研究に取り組んできた。

「私たちは自社のビジネスだけではなく、お客さまや業界全体のために、ソフトウエア開発の分野で持続可能なプラクティスをリードしていきたいと考え、グリーンソフトウエアを推進してきました」とGadhuは語る。最近では環境的見地からAIに対する懸念についてのホワイトペーパー「Sustainable AI for a greener tomorrow」の作成にも参加した。「IT業界はAIを活用して多くのサービスを生み出していますが、責任あるイノベーションという使命に則って社会への影響を抑える必要があります。このホワイトペーパーでは、環境への影響を抑えるために何が必要かを説き、多くの方から賛同を得ました」(Gadhu)

NTT DATA UK アプリケーションサービス担当バイスプレジデントGadhu Sundaramと「Sustainable AI for a greener tomorrow」の表紙

さらに、GSFのCO2排出量評価基準は、英国政府の調達基準への組み込みが現在検討されている。

「現在パブリックコンサルテーション中であるソフトウエア向けThe Government Buying Standards(GBS)では、調達対象となるソフトウエアサービスのエネルギー消費量を測定するために、Software Carbon Intensity標準の活用を推奨しています。これらの基準は、今後の調達判断を行う際の判断の基礎になると期待されています」とGadhuは説明する。

CO2排出量の問題がクローズアップされる中、持続可能性を高めるためにグリーンソフトウエアの調達基準を採用する動きは、欧州を中心に広がっていくと予想されるが、NTT DATA自身もカーボンニュートラルに対して極めて挑戦的な目標を掲げている。

その1つが2040年までにスコープ3を含むネットゼロを達成するという「ネットゼロビジョン」だ。一般的な目標である2050年より10年早い。山根は「社会インフラだからこそ一足早く達成することが必要なのです」とその背景を語る。その過程として2030年までには最も環境負荷が大きいデータセンター事業の実質ゼロをマイルストーンとして設定している。まさに事業成長と環境への配慮をトレードオンで実現しようというものだ。

NTT DATAは、インフラからソフトウエアまでフルスタックで提供できる総合力をサステナビリティの観点で活かすことで、顧客やその先の社会全体に大きなインパクトを生み出していこうとしている。

サステナブルITは喫緊の課題 ITで新しい仕組みや価値を創造についてはこちら:
https://special.nikkeibp.co.jp/atclh/ONB/25/nttdata0306/

サステナビリティについてはこちら:
https://www.nttdata.com/global/ja/about-us/sustainability/

Sustainable AI for a greener tomorrowについてはこちら:
https://us.nttdata.com/en/engage/sustainable-ai-for-a-greener-tomorrow

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