第1章:大企業だけのテーマから、自分たちにも向き合うテーマへ
エーアイネット・テクノロジでは、以前から消費電力を測定し、オフィスのどこで多くの電力を使用しているのかを確認するなど、身近なところから環境負荷の把握に取り組んできました。こうした取り組みを進める中で、近年は取引先からサステナビリティへの対応を求められる機会も増え、環境への取り組みをより具体的に進めるようになっています。
大きなきっかけとなったのが、NTTデータからGHG排出量の算定を求められたことです。当初、GHG排出量の算定については「大企業が取り組むもの」という印象がありましたが、サプライチェーンの一員として自社にも対応が求められていることを知り、身近なテーマとして捉えるようになりました。その後、他の取引先からも環境への取り組みについて確認される機会が増えています。
その中で大切にしているのが、自社の規模や事業の特性を踏まえながら、取り組めることから進めていくことです。現在、具体的な取り組みとして考えているのが電力消費の削減です。また、グリーン調達なども選択肢として捉えながら、取引先から求められる内容や水準も踏まえ、自社に合った対応を進めていく考えです。
こうした取り組みは、社外との接点にもつながっています。当社は横浜市が実施する脱炭素取組宣言に登録しており、神奈川県情報サービス産業協会での交流の中で、当社の取り組みを紹介する機会も生まれています。また、取り組んだ経験を踏まえ、他社に脱炭素取組宣言への参加を紹介することもあります。
第2章:専任担当者がいなくても、まず算定から始める
GHG排出量の算定に取り組むことになった当初、エーアイネット・テクノロジがまず感じたのは、「どのように進めればよいのか」という戸惑いでした。サプライチェーンの一員として対応が必要だと認識したものの、何から手を付ければよいのか分からない状況の中、無償提供の(※1)C-Turtleの案内を受けたことが、具体的な一歩を踏み出すきっかけとなりました。
当社は社員数200人弱で、サステナビリティだけを担当する専任者を配置しているわけではありません。現在もコーポレートマネジメント部門の担当者が中心となり、他の業務と並行しながらGHG排出量の算定を進めています。電気料金など必要な情報を社内で受け取り、データを加工した上で入力を依頼するなど、既存の業務体制の中で運用できる方法を整えてきました。
算定を進める中で、特に理解が必要だったのがScope3です。Scope1・2については、もともと電力使用量を把握していたこともあり比較的スムーズに進めることができましたが、Scope3では「どこまでを算定対象にするのか」「どのデータを含めるのか」といった判断が必要になります。そこで、C-Turtleの活用に加えて算定に関するコンサルティング支援も受けながら、自社に必要な算定範囲や方法を整理していきました。
こうして一度算定方法や必要なデータを整理したことで、その後は毎年・毎月の運用へとつなげています。現在では、算定作業そのものに一定の手間はあるものの、「どうやればよいのか分からない」という段階は越え、C-Turtleを活用しながら継続的に取り組めるようになっています。
専任の担当者や大きな体制を設けるのではなく、既存の業務の中に算定を組み込み、継続できる形を整えていく。当社の規模に合った方法でGHG排出量を継続的に把握できる体制を整えています。
第3章:見える化を、これからの選択につなげる
GHG排出量を継続的に算定できるようになったことで、エーアイネット・テクノロジでは、次に「どのように削減していくか」を考える段階へと進んでいます。算定結果については経営層とも共有し、どこに改善の余地があるのかを検討しています。
その中で見えてきたのが、現在のオフィス環境において、自社で選択できることと、建物全体の設備や契約に関わることがあるという点です。当社はテナントとして入居しているため、照照明設備のLED化や電力契約のグリーン電力化を、自社の判断だけで進めることが難しい状況です。 空調についても自由にコントロールできる範囲は限られていますが、サーバー室には個別空調を導入するなど、現在の環境で対応できることを進めています。
一方、排出量を把握するようになったことで、将来の設備やオフィスを選ぶ際の視点にも変化が生まれています。現在のオフィスには15年以上入居しており、すぐに移転する予定はありませんが、将来移転する際には、電力や設備など環境面への対応も考慮してオフィスを選びたいと考えています。
今すぐ実行できる施策だけでなく、設備更新や移転などの機会を捉え、環境への対応を将来の選択肢に組み込んでいく。GHG排出量の見える化は、当社の現在地を知るとともに、これからの選択を考えるための材料にもなっています。
第4章:企業成長と排出量削減を、どう両立するか
オフィスにおける削減とは別に、エーアイネット・テクノロジが向き合っているのが、事業の成長とGHG排出量削減をどのように両立するかというテーマです。当社では採用を継続しており、社員数も増加しています。社員が増えれば業務で使用するパソコンなども増えていきます。サーバーの仮想化やテレワークを取り入れる一方、事業を成長させながら排出量をどのように抑えていくかという新たな課題も見えてきています。
Scope3カテゴリー1についても、事業成長との関係があります。事業が拡大すれば、開発を支える外部のパートナー企業との取引も増えていきます。事業に必要な外部との協力関係を維持しながら、どのように排出量削減につなげていくのかは、IT企業として考えていくテーマの一つです。
こうした課題への向き合い方を考える上で、一つの気付きとなったのがC-Turtleのユーザー会でした。同業他社との意見交換を通じて、企業規模は異なっていても、Scope3カテゴリー1などについて同じような悩みを抱えていることが分かりました。「自社だけの課題ではない」と知ったことが大きな収穫となり、同じ課題に向き合う企業の考え方や状況を知る機会にもなっています。
また、サプライチェーン全体での削減を考える際には、パートナー企業の状況にも目を向けています。当社自身も200人弱の規模で専任担当者を置くことが難しい中、パートナー企業には20~30人規模の企業も多くあります。自社で算定に取り組んできた経験があるからこそ、より小規模な企業に排出量の算定を求めることの難しさも認識しています。
企業として成長を続けながら、環境負荷をどのように抑えていくのか。そして、自社だけでなく事業をともに支える企業とどのように取り組んでいくのか。当社では、同じ課題を抱える企業の存在も踏まえながら、IT企業としての脱炭素のあり方を考えています。
第5章:AI・クラウド時代、IT企業の環境負荷をどう捉えるか
GHG排出量の算定を続ける中で、エーアイネット・テクノロジでは、自社の排出量だけでは捉えきれない新たな問いも生まれています。その一つが、クラウド化による環境負荷をどのように考えるかというテーマです。自社で保有する設備をクラウドへ移行すれば、オフィスで使用する電力は減る可能性があります。一方、クラウドを支えるデータセンターなども含めたときに、社会全体のCO₂排出量はどう変化するのか。自社の排出量だけではなく、より広い視点で環境負荷を捉える必要性を感じています。
AIについても、同じような問いがあります。当社でもAIを活用した開発を進めようとしていますが、AIの利用が広がれば、それを支えるための電力消費も増えていくことが考えられます。テクノロジーによって業務や社会が変化していく中で、その進化と環境負荷をどのように捉えていくのかは、これからのIT企業にとって考えていくべきテーマの一つです。
こうした問題意識の背景には、IT業界そのものの変化があります。当社ではかつて、ITは比較的環境負荷の小さい業界だと捉えていました。しかし、クラウドやAIなどの活用が広がり、それを支えるための電力需要も変化する中で、ITと環境との関係を改めて考えるようになっています。
GHG排出量の算定を始めたことで、自社がどれだけ排出しているのかが見えるようになり、そこから「どう減らすのか」「事業成長とどう両立するのか」、さらに「ITが社会全体に与える環境負荷をどう捉えるのか」へと視点が広がってきました。当社では、変化を続けるIT業界の中で、わたしたちにできることを考えながら、脱炭素への取り組みを進めていきます。
企業紹介
株式会社エーアイネット・テクノロジ
横浜に本社を構える社員数200名ほどの独立系ソフトハウスです。1991年の創業時よりNTTグループ各社と取引させていただいております。航空管制、自動車位置情報、証券等幅広い社会基盤のシステム開発を行っております。2017年より広島にも拠点を置き、西日本の案件にも対応できるようになりました。ISO9001、27001を取得しており、「品質」と「情報セキュリティ」は全社員のマインドに浸透しております。近年は、CSR、ESG経営にも取り組んでおります。
【C-Turtle®】の概要資料は、こちらからダウンロードください。


https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/c-turtle/