2021.1.15技術ブログ

連載:The Future of Food 2030(5)
~徹底討論!食のパーソナライズを実現する技術と課題~

2030年の食関連ビジネスでは、動画の『Netflix』や音楽の『Spotify』のように個別最適化したサービスが実現される『食のパーソナライズ化』が見込まれる。
2020年11月に開催された『日経フードテックカンファレンス』の分科会では、食のパーソナライズ化に取り組む先進企業4社と、食と健康データのプラットフォーム構築に取り組むNTTデータが集まりパネルディスカッションを行い、『食のパーソナライゼーション』の実現に向けた課題とその解決策、そして2030年の『食のパーソナライゼーション』ではどんなテクノロジーが活用されるようになるか議論した。

2020年11月に、『日経フードテックカンファレンス』が開催されました。前半の特別講演では、早稲田大学の入山章栄氏とNTTデータの佐々木裕より、食領域でのパーソナライゼーションがトレンド化していることについて言及されました。その流れを受けて、後半の分科会では、食領域でのパーソナライゼーションが抱える課題について議論が行われました。本稿では、分科会の内容を要約してお伝えします。

テーマ(1)『食のパーソナライゼーション』をビジネス化する上での課題とその解決策は?
-「面倒くさい」の無意識化と信頼関係の構築が重要-

NTTデータ 三竹『食のパーソナライゼーション』がグローバルでキーワードになってきています。私自身、様々な会社様で実際に取り組まれている方と会話させていただくのですが、その際よく伺うのが、『食のパーソナライゼーション』はマネタイズするのが難しいという話です。まずは、この『食のパーソナライゼーション』をマネタイズする上での課題とその解決策について議論できればと思います。

キリンHD 小泉氏一言で言うとお客様にとって“面倒くさい”ことが課題であると考えています。食というソリューションの場合、お客様に食品や飲料の消費を自主的に継続していただくことが必要ですが、お客様の声を拾っていくと、やはり継続は面倒くさい、エネルギーが非常にかかると思われています。

ニチレイ 関屋氏そうした“面倒くさい”を解決するには、“面倒くさい”を意識させない状態に持っていくことが重要になると考えています。我々としては、お客様が一番重要視されているであろう自分(お客様)の生活がどう良くなるのかを伝えることで、お客様に面倒だと意識させずにサービスを利用いただけると考えています。そうした考えから、献立提案アプリ『conomeal kitchen(このみるきっちん)』では、家庭で料理する人にとって長年の悩みであった献立作りに頭を悩ます必要がなくなるというメリットを提供しています。

FiNC Technologies 島田氏食ではないですが、美容の例ですと、メイクが大好きな人はお肌のお手入れも大好きで、面倒くさいなんて思いません。食のパーソナライゼーションでも同様に、お客様にとっての“面倒くさい”を解決する上で、健康になることが楽しいとお客様に思ってもらうことが重要になってくるのだろうと思っています。そのために効果をきちんと感じてもらえる導線作りもできると良いのかなと思っております。

ドリコス 竹氏信頼関係の構築も課題であると考えています。パーソナルサプリメントサーバー『healthServer』のような機械を信じてくれといきなりお客様に言っても、すぐには難しい。信頼関係を構築していくには、自分のことを本当に理解してくれているとお客様に感じさせる体験作りが鍵になってきます。そこで我々は、食は医薬品でないので人によって得られる効果が変わり得るという前提の下、お客様が良いと感じることに寄せてサプリメントのリコメンドを行うことで、信頼獲得を目指しています。

テーマ(2)2030年の『食のパーソナライゼーション』ではどんなテクノロジーがどう活用されている?
-データ取得から行動変容に至るまでフリクションレスが浸透-

NTTデータ 三竹テクノロジーの進化を俯瞰してみると、リアルとバーチャルが本当の意味で一体になっていく世界観が実現していくのだと思います。今までの10年を遥かに上回るほどの物凄いテクノロジーの進化が、今後、とくにデジタル領域で起きてくるでしょう。今から10年後の2030年、我々はどんなテクノロジーをどう活用しているのでしょうか。

FiNC Technologies 島田氏おそらく10年後は、気づけばデータが取得されている世界になっていると思います。弊社はある企業様と共同で、歩くときの姿勢や負荷を自動で取得できる靴のインソールを開発しましたが、これからはそうしたフリクションレステクノロジーが、寝具など多様な領域にも広がっていくとのではないかと思っています。

ドリコス 竹氏島田さんに同意です。目に見えない形であらゆるところにセンサーがばらまかれて、知らない間にデータが取られるようになると考えています。さらに我々としては、集まったデータをフィードバックし、行動変容させるところまで無意識のうちにさせるべきだと考えています。ここでもフリクションレステクノロジーが重要になってくると思っています。

ニチレイ 関屋氏そうした新しいテクノロジーについて、食のパーソナライゼーションという文脈での活用シーンを考えると、美味しさなど食そのものについてというよりは、その人の食まわりのライフスタイル、例えば献立を立てた後の行動を個々人の状況に合わせて効率的にしていくとか、食を届けるといったところになるのだろうと考えています。

キリンHD 小泉氏ただしテクノロジーを活用していく上で、食の場合、面倒くささを楽しむといった人間臭い部分が求められることには注意すべきだと思っています。その意味で、企業が『食のパーソナライゼーション』を進めるにあたって、テクノロジーが進んだ情報社会と食の人間臭さの部分をどう繋げるのかも重要なテーマなっていくのだろうと思っています。

最後に

モデレーターを務めた三竹から聴講された方に向けて「みんな悩んでいるのだということが分かれば、それだけでも皆さんのビジネス、また前向きに取り組んでいただけるきっかけになったのかなと思います。ありがとうございました。」とメッセージが送られ、本分科会は閉会しました。

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