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2021.8.30特集

デジタルサプライチェーン推進のポイントとは

現在、かつてないほどの原材料・部品供給不足が起きている。その中でサプライチェーンを構成する企業間協調をデジタル技術で強化する「デジタルサプライチェーン」の必要性が高まっている。本稿ではデジタルサプライチェーンを進めていくためのポイントと具体的な方法を説明する。

目次

1 かつてないサプライチェーン供給危機

米中摩擦の深刻化、COVID-19による世界経済の混乱に加え、カーボンニュートラルへの各国・企業の対応が急加速している中、サプライチェーン供給危機は深刻化しています。特に半導体やレアアース、EV用電池、モーターなど需要が高い原料・部品は業界を超えた奪い合いの様相を呈しており、企業を超えたサプライチェーンコントロールの必要性は日々高まっているといえます。
そのような状況の中、多くの日本企業でもサプライチェーン全体を可視化して意思決定をするデジタルサプライチェーン基盤を導入しようという動きがかつてないほど高まってきています。

昨年、“不確実性の時代におけるデジタルサプライチェーン”というテーマで、デジタルサプライチェーンの必要性(Why)とそれを実現に導くプラットフォームはどのようなものかを紹介しました。
(※1)(※2)

本記事では、その続編として、デジタルサプライチェーンをいかに実現するか(How)について紹介します。

(※1) Withコロナで加速するDXソリューション vol.1 ~不確実性の時代におけるデジタルサプライチェーン~

https://www.nttdata.com/jp/ja/data-insight/2020/092902/

(※2) ビジネスコラボレーションプラットフォーム「iQuattro®
NTTデータでは、「iQuattro®」を核としながら、ステークホルダーの巻き込みも含めたトータルサポートにより、デジタルサプライチェーン基盤構想をサポートしています。

https://enterprise-aiiot.nttdata.com/service/iquattro/

2 デジタルサプライチェーン実現に向けて肝になること

デジタルサプライチェーンの実現は一朝一夕にできるものではありません。進めていく上で特に留意すべきポイントは以下2点です。

  • サプライヤーの巻き込み方
  • デジタルの仕組みの作り方

2.1 サプライヤーの巻き込み方

通常の企業内でのサプライチェーン改革プロジェクトと異なり、企業間でのデジタルサプライチェーンを推進していくためにはサプライヤーと共創することが不可欠です。そこで重要となるのが、サプライヤーごとのアプローチ方針についてきめ細かく作戦を立てることです。

具体的には、取り扱う部品群・需給不足度合いから優先的に取り組むべき部品群のスコープを決定し、サプライヤー巻き込みの順序(ロードマップ)を仮で設定します。ここでは取り組みに参画してくれやすい数社のサプライヤーに協力を依頼して業務・システム両面で検証し、その後に1stゴール、2ndゴールと段階的にサプライヤーの範囲を広げていくアプローチが有効です。
その上で、対象となるサプライヤーをシステムケイパビリティと自社への受注依存度で分類し、それぞれに業務面でのアプローチ方針(インセンティブ方針)とシステム面のアプローチ方針(接続方式)を検討します。

図1:巻き込み順序とアプローチ方針検討のためのサプライヤーの分類

図1:巻き込み順序とアプローチ方針検討のためのサプライヤーの分類

業務面でのアプローチ方針でポイントになるのは、どのようにサプライヤーのメリットを出すかの検討です。具体的には、サプライヤーへの部品発注確定期間を長くする、計画開示期間を長くする等の業務的インセンティブを与えることや、サプライヤーの業務で利用してもらえる販売計画や生産計画ツールをセットで提供することも有効です。もう1つは自社とサプライヤー間での共通課題をセットで解決する方向に持っていくことも効果的です。昨今ではさまざまな環境規制により、原産地証明やCO2排出量などをサプライチェーン全体で収集・管理していく必要性が高まっており、現状はサプライヤーに個別に確認しながら情報を収集しているケースがほとんどであり自社、サプライヤーの双方にとって負荷となっています。デジタルサプライチェーンデータ連携の仕組み導入によりそのような業務改善をセットで解決することを提案することも今後は有効な手段となり得るでしょう。

続いて、システム面のアプローチ方針(接続方式)では以下4種類のアプローチをサプライヤーの状況に合わせて組み合わせて提供します。

  1. (1)API自動連携(サプライヤーのシステムとの自動接続。接続APIを提供)
  2. (2)連携のためのWebアプリツール提供(サプライヤーがシステムに入力)
  3. (3)販売計画、生産計画ツールの提供(サプライヤーが計画した数値が連携)
  4. (4)完全個別対応(サプライヤーの環境に合わせた特別対応)

当然ながら、高いレベルでの業務オペレーションを考えると(1)が最も望ましいですが、上記のサプライヤー分類でシステムケイパビリティの低いBやDの領域のサプライヤーには(2)、(3)をセットで提供することもオプションとして有効です。

図2:インセンティブ検討とシステム連携アプローチ方針

図2:インセンティブ検討とシステム連携アプローチ方針

サプライヤーの状況はまちまちであり、全社一律のアプローチで進めていってもうまくいきません。逆にあまり個別対応をしすぎると収拾がつかなくなってしまいます。自社のサプライヤーの状況をしっかりと分析し、ある程度の分類をした上で、数種類の作戦を組み立てながらサプライヤー巻き込みのロードマップを描き、進めていくことがポイントです。

2.2 デジタルの仕組みの作り方

次に重要なポイントは、デジタルサプライチェーンを実現に導くデータ基盤をいかに構築するかです。サプライチェーンのデータ基盤の変遷を振り返ってみると、かつては1.0(統合型)が主流でした。これはERPをはじめとしたパッケージを導入し、そこにはまらない部分はアドオン開発もしくはExcel業務での対応というやり方です。その後、各領域(需要予測、需給計画、調達計画、在庫計画など)ごとに最良のパッケージを導入しながら、必要に応じて各領域をつなぎ合わせるという2.0(分散・連携型)にシフトしていきます。現在も、多くの企業がこの1.0もしくは2.0の状態かと思います。
ただし、この状態では企業間を跨いだ情報の流通・管理は難しいといえます。この状態のまま連携先を広げていき、サプライヤー連携用の仕組みを個別に作っていくとデータおよびシステムのさらなるサイロ化を生み出しかねないからです。また、社外のデータを常時つないで活用できる状態を作っていくためには認証・認可、セキュリティなど社内データだけを扱う場合とは一段高いレベルのPF機能が求められます。

図3:サプライチェーン領域のデータ基盤の変遷

図3:サプライチェーン領域のデータ基盤の変遷

これからのサプライチェーン基盤は3.0(データレイク&コラボレーション型)が主流になっていきます。具体的には、ERPや工場、社外のデータをセキュリティ高く一か所に集約し、それを予測・計画・可視化・意思決定といったさまざまなサプライチェーン業務に活用する部分(SoI:System of Insight)と、適切な権限制御の基でそれらのデータを活用しつつさまざまなステークホルダーとコミュニケーションをとる部分(SoE:System of Engagement)が疎結合にサービスとして組み合わさったアーキテクチャです。

そして、2.0から3.0への移行の進め方を示したのが図4です。
まず初めにすべきことは、自社サプライチェーンのSCMモデルやデジタル基盤で実現したいことを基にしたToBeアーキテクチャの検討です。ここではデータ活用層、データ蓄積層、データ連携層、コミュニケーション層の各層ごとにそれぞれ検討していきます。具体的には、扱うデータの種類、量、データ連携頻度、連携社数、セキュリティ要件、意思決定したい内容、コミュニケーション内容などから機能要件・非機能要件を整理し、SoEとSoIのそれぞれでどのような機能を用意すべきかを決定していきます。
その後、既存のアーキテクチャの状況を踏まえ、最初に構築するToBeアーキテクチャのスコープやToBeアーキテクチャへの移行計画を策定していきます。ここでは、まず最低限の仕組みでクイックにToBeアーキテクチャを構築し、既存アプリの更改計画などを考慮して移行もしくはデータ連携先の更新を図って、徐々にToBeアーキテクチャを拡張していく進め方が重要です。

図4:デジタルサプライチェーン基盤への移行の進め方

図4:デジタルサプライチェーン基盤への移行の進め方

3 デジタルサプライチェーンで変化に柔軟な供給管理を

デジタルサプライチェーン実現に向けて肝になることとして、”サプライヤーの巻き込み方”、”デジタルの仕組みの作り方”を紹介しました。ニューノーマルの業務が定着しつつある中で、Excelやミーティングベースの意思決定から、変化に柔軟な供給管理への移行を検討する企業は増えており、その必要性を十分に理解されている企業も多いですが、実際取り組みを進めていく中で壁に当たってしまうケースも少なくありません。取り組みを進めていく際には、是非本日紹介した点を参考にして頂ければ幸いです。

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