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2021年10月27日展望を知る

連載:生活者視点で描く、新しいこれから。#2 グリーンな暮らし

社会全体のDXが加速する今こそ、生活者・企業・行政が信頼しあうことが求められる。グリーンな社会の実現という共通の課題のもと生活者・企業・行政が新しい信頼関係を作ってこそ、生み出せる新しい価値がある。そうした考えのもと、新たなサービスを創り出し、生活者一人ひとりの幸せと豊かな暮らしを実現する近未来を描いたのが、NTTデータが公開した”Smarter Society Vision 2021”である。お客さまとともにめざす5年後のデジタル社会、そして新しいこれからとは。
#2では重点領域の一つである”Sustainable Green Society”をテーマに、未来の暮らしを考える。
目次

待ったなし!今こそグリーン社会の実現を

「グリーン」という単語を、ニュースや記事等で当たり前に見かけるようになりました。みなさんも、毎日の生活の中で「グリーン」を意識することが増えているのではないでしょうか。

国際的にカーボンニュートラルの機運が高まる中で、日本でも2050年カーボンニュートラル宣言やグリーン成長戦略が掲げられました。今や気候変動といった環境課題への対応は、規制やコストではなく成長の機会と捉えられる時代に変革しつつあります。また、SDGsでも「つくる責任、つかう責任」が掲げられているように、企業や行政だけの課題ではありません。生活者一人ひとりが「自分ごと」として捉え、行動に移すことが求められています。今こそ生活者と企業や行政が一体となって、困難な課題の解決に向け変革を遂げるときが来ているのです。

では、グリーンにデジタルを掛け合わせると、どんな未来が想像できるでしょうか。

前回、新しい社会の形として発信したSmarter Society Vision 2021(※1)では、NTTデータがお客さまと新しいしくみや価値をデザインしていきたい6つの「重点領域」を定め、「デジタルムービー」によって実現したい5年後の姿について、具体的なユースケースを用いながら次の3点を紹介しているとお伝えしました。

  • 新しい社会の実現により変わる生活者の暮らしの例
  • 実現するためのデジタル技術
  • 関連する企業や行政がなすべきこと

デジタルムービーの第1弾では、重点領域の一つとしているSustainable Green Societyについて、NTTデータにおける様々な取り組みの中から”生活者・企業・行政が連携して取り組むカーボンニュートラル”をテーマに新しい社会の姿の一例を紹介しています。

デジタルムービー:生活者・企業・行政が連携して取り組むカーボンニュートラル

今回は、この動画で伝えている上の3点について考えていきましょう。

(※1)Smarter Society Vision 2021

https://www.nttdata.com/jp/ja/korekara/socialdesign/

ユースケース(1)生活者・企業・行政が一体となった、近未来の電気の使い方 ‐VPP‐

近年、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーの導入、電気自動車や家庭用燃料電池といった分散型エネルギーの活用など、技術の発展により様々なエネルギー源が登場しています。みなさんの中にも、家庭で太陽光発電や電気自動車を導入している、あるいは検討しているという方もいるのではないでしょうか。
そこで、地域に点在する小規模のエネルギー源をまとめて制御・管理し、需給バランスをコントロールしながらあたかも一つの発電所のように機能させ、安定的な電力供給を実現するしくみとして期待されているのがVPP(バーチャルパワープラント)です。

図1:VPP(バーチャルパワープラント)

図1:VPP(バーチャルパワープラント)

新しい社会の実現により変わる生活者の暮らしの例

例えば、夏場など地域の電力需要がピークに達した際について考えてみましょう。
従来の発電設備では、電力需要のピークにあわせた設計をするため、年間で見るとほんのわずかな時間だとしてもピーク時間の需要を満たせるような維持と管理が必要でした。しかし、VPPが実現するとどうでしょうか。
地域の電力はVPPによって束ねて制御・管理されるため、電力が不足している時には、企業や家庭でつくった電力を地域のインフラとして提供することで、安定的な電力供給に貢献でき対価を得ることも可能です。一方、電気事業者は企業や家庭の協力を得ながら発電設備コストを抑えたまま、「安定した電力供給」や「クリーン電力の効率的活用」、「電力の地産地消」を実現します。
まさに、生活者と企業・行政(地域)がwin-winの関係で結ばれるのです。

実現するためのデジタル技術

VPPの普及を加速させるのは、電力の需給情報のリアルタイム把握とAIによるマネジメントの高度化です。
電力は、貯めるには多大なコストがかかるため、常に需給バランスを安定化させる必要があります。せっかく太陽光発電でつくった電力も、需要がなければ捨てられることになってしまうのです。そのためには、地域全体のエネルギー源をリアルタイムに高速かつ正確に把握しつつ、AIによって需要と供給を予測および調整し、無駄なく最大限に活用することが重要になるのです。

このように、デジタルムービーでは「新しい社会の実現により変わる生活者の暮らしの例」と「実現するためのデジタル技術」をユースケースに基づいて具体的に紹介しています。「関連する企業や行政がなすべきこと」は最後にまとめて紹介していますので、ここでは先に次のユースケースを覗いてみましょう。

ユースケース(2)新しい価値観で商品を選ぶ。これ、CO2排出量はどのくらい? ‐CO2排出・吸収量の見える化‐

生活者一人ひとりも環境問題を自分ごととして捉える動きが広がっており、商品やサービスを選ぶ際の消費活動にも変化が起こっています。一方、企業は社会的責任を果たすために、企業活動によるCO2排出量をサプライチェーン全体で収集・管理していく必要性が高まっています。
そこで重要な役割を担うのが、ブロックチェーン技術を用いた企業のサプライチェーン管理におけるCO2の見える化です。

新しい社会の実現により変わる生活者の暮らしの例

食品にはカロリーやアレルギーが表示され、洋服のタグには素材や原産国が表示されていますよね。最近ではQRコードを読み取ればスマホやタブレットからより詳細な情報を入手できるようになりました。
では、そこに商品やサービスの原材料の調達から手元に届くまでの過程で排出されたCO2排出量が表示されていたらどうでしょうか。
このCO2排出量はカーボンフットプリントとも呼ばれています。身近なことから「グリーン」に貢献したいと思っている生活者にとって、カーボンフットプリントの表示はその取り組みを大きく後押しします。生活者一人ひとりが、「グリーン」という自分の新しい価値観に合った商品やサービスを選ぶことができるようになるのです。

図2:カーボンフットプリントの表示がもたらす、生活者のグリーンの取り組み

図2:カーボンフットプリントの表示がもたらす、生活者のグリーンの取り組み

また、このような生活者の新しいニーズに対応していくことが、企業にとっても収益を向上させ、サステナブル経営へとつながっていきます。

実現するためのデジタル技術

カーボンフットプリントの表示において重要となるのは、情報の信頼性の担保です。万が一、数値の改ざん等が発覚すると企業の信頼は失墜してしまいます。
そこで、情報の信頼性を担保するために、企業はブロックチェーン技術を活用して調達から廃棄までのサプライチェーンを見える化し、トレーサビリティを確保します。
トレーサビリティとは、ある商品の原材料調達から廃棄までの移動が把握可能な状態を示します。当初食品業界において食品の産地や加工過程における安全性を証明するしくみとして注目を集めましたが、今や医薬品や工業製品など幅広い業界で活用されており、グリーン領域においても正しい排出量を測定するしくみとして活躍が期待されています。
これらのデジタル技術が、カーボンフットプリントといったCO2排出量等の環境負荷を正確に表示することで、生活者は信頼をもって商品選定ができるようになり、企業は新しい価値を提供できるのです。

図3:サプライチェーンにおけるCO2排出量の見える化

図3:サプライチェーンにおけるCO2排出量の見える化

ここまで見てきたのは、排出され大気中に放出されるCO2でしたが、大気中のCO2は森林等によって吸収されるものでもあります。国土の3分の2を占めている森林を、カーボンニュートラルに役立てるためには効率的かつ効果的な育成や整備が必要です。そこで活躍するのが、CO2吸収量の見える化です。
衛星のスキャナと地図データをAIによって分析することで森林資源を高精度に把握し、そのデータを活用することでCO2吸収量の算出を実現します。高精度な測定技術は森林経営をサポートするとともに、詳細なCO2吸収量の見える化はCO2排出量取引の活用に期待できます。

図4:森林状態の高度把握によるCO2吸収量の見える化

図4:森林状態の高度把握によるCO2吸収量の見える化

NTTデータでは、サプライチェーン上の様々なデータを効率的に管理・運用する「iQuattro(※2)」を活用したCO2排出量等の見える化や、人工衛星を使った3D地図技術を用いて森林の状態を把握し、CO2吸収量を割り出す「AW3D(※3)」といったソリューションを提供しており、これらの取り組みを支えます。

(※3)AW3D

https://www.aw3d.jp/

NTTデータが考える、企業や行政が今なすべきこと

5年後の社会の姿に向けては、まだ解決できていない課題もあります。動画の最後には、描いた社会の実現に向け関係する企業や行政がなすべきアクションを示しています。

図5:描いた社会の実現に向け、関係する企業や行政がなすべきアクション

図5:描いた社会の実現に向け、関係する企業や行政がなすべきアクション

カーボンニュートラルの実現という共通の課題をめざすことで、生活者・企業・行政で新しい信頼関係をつくり、新しい価値を生み出す、そんな社会をめざしています。

デジタルムービーは6つの重点領域の中から1領域を選び、毎月1本のペースでの公開を予定しています。今回紹介した内容はほんの一例にすぎません。
NTTデータの描く社会の姿に共感いただいた関係者の皆さまとともに、新しい未来を作っていきたいという願いを込めて今後もお届けしていきます。

- NTTデータは、「これから」を描き、その実現に向け進み続けます -
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