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2023年3月1日技術ブログ

IoTセンサーの未来トレンド~IoTからIoBへ~

デジタルデバイスの進化やワイヤレス通信の高度化、クラウドやAIの発達に伴いIoTの利活用が様々な産業において期待されている。本稿ではIoTセンサーの概要や未来予測、活用の課題について考察する。
目次

IoTセンサーの概要

IoTセンサーとは、人間には分かりにくい物理量や化学量を人間に分かりやすいデータなど(観測信号)に置き換える装置を指します。
このIoTセンサーは観測信号化した物理・化学量を連携・蓄積・分析し、機器の作動などの価値を実現する最初のステップを担う機器となります。
近年、デジタルツインや自動運転といったビッグテーマの台頭を背景にIoT関連技術の高度化が期待されています。

IoTセンサーの未来トレンド

NTTデータはセンサー未来トレンドの把握のため、特許・グラントを基にした調査(文献量による定量分析と文献内容調査による定性調査)を実施しました。
調査の結果、消費者行動に関わる要素としては、睡眠データや移動、スポーツや身体の運動など、「人の行動や生体の外部・内部」に関わる特許数・グラントの動向を確認しました。将来的にはこの領域の進展が見込まれると予測しています。
今後は小型・非接触型センサーを活用した高度な生体センシングやこれまで可視化が困難であったパーソナルデータの取得・可視化と活用が普及すると考えられます。

人の行動や生体に関わるデータ取得と利活用が一層進むことにより、今後はIoTからIoB(Internet of Body/Behavior)の浸透が考えられます。
IoTが「モノのインターネット化」と定義されている一方、IoBは「行動・身体のインターネット化」と訳されており、購買や興味関心・振る舞い等ヒトの行動と情報が結び付けられ、最適化がなされていく考え方です。

具体的にIoT/IoB技術が進展することにより予想される未来トレンドを見ていきましょう。

(1)センサーのフリクションレス化

生活者がデバイスに触れることなく、活用も意識することなくデータが自然に取得されることが予測されます。
例えば睡眠、トイレ、運動といった日常生活において今まで取得できなかったデータ(表情心拍数、血圧や脳波等)が取得できるようになり、今までは気づけなかった健康状態を把握できるようになる、スマートシューズやスマートウェアを着用することで、デバイスがなくても運動に関するデータが取得できるようになる等が挙げられます。
例えばgoogle社では睡眠モニターからユーザーを検知し、睡眠パターンの把握と改善のためのアドバイスを提供しています。
https://support.google.com/googlenest/answer/10357288?hl=ja&co=GENIE.Platform%3DAndroid

(2)サービス・製品のパーソナライズ化

複数のデータの掛け合わせることで高度な分析が出来るようになります。
例えば顔の微細な表情の変化から感情を分析することで、人間の動作と心との関係性の可視化や、行動データを基に集団行動の行動原理を解析することが可能になると考えられます。
また、生活で取得されたデータを業界や企業が横断的に共有することで、様々な活用が期待できます。
例えば医療機関において事前に収集した生活者の体調状態に関するデータを取得することで、来院時に問診の工程を減らすことができたり、生活者の健康状態に合わせた最適な商品のレコメンドや健康状態に配慮した旅行先の選定等が可能になると予測されます。
NTT端集積デバイス研究所では生体に特定の電磁波を照射し、反射波の情報を解析することでグルコースの数分おきの時間変化を推定し血糖値を測定する、非侵襲での測定技術を研究しています。これまで取得のハードルが高かった血糖値情報を食事や睡眠データと掛け合わせることでより個々人に最適化されたヘルスケアのレコメンドへの応用が期待されます。
https://www.rd.ntt/dtl/technology/sd_product-noninvasive-glucose.html

IoTセンサー活用の課題

次にIoTを活用した生活者の行動変容を考えるにあたり抑えておくべき課題を挙げます。

(1)データ調達・管理

自社だけで必要なデータを取得できない場合にはデータ調達を外部に頼らざるを得ない場合が発生します。その場合は適正価格でデータを購入できるような工夫や、必要量のデータを確保できるサービスを活用することを検討する必要が発生します。またパーソナルデータを扱うIoTサービスを提供する場合には、個人情報保護法を順守しサービス提供をする必要があります。情報漏洩等インシデント発生時の多大なリスクを正しく把握し、発生防止を務めた上でサービス提供をすることが重要です。

(2)医療機器該当性への留意への留意

パーソナルデータを用いたIoTサービスとしてヘルスケアサービスを取り扱う際には、医療機器該当/非該当のいずれの場合も、規制への対応を行っていく必要があります。(例:医療機器該当の場合は医療機器としての承認・運用プロセスの準拠、医療機器非該当の場合は医療機器と誤解されないような広告表現や取扱データの制約など)
医療機器該当/非該当によってサービス運用に必要な対応が異なるため、公的ガイドラインの基準に照らして戦略的にサービスをデザインしていく必要があります。
「厚生労働省ホームページ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000179749_00004.html

最後に

本記事ではIoTセンサーの概要と重要性、未来トレンドならびに消費者行動への影響を洞察しました。
繰り返しになりますが、IoTセンサーデバイス自体の小型・軽量化や非接触型が普及することで、人々がハードやデバイスを意識しない状況下でのデータ取得が可能となり、個人の体験や生活様式を大きく変えていくと予測されます。
個々人がIoTとデータによって最適な行動を取るよう行動が変容されていく時代においてはデータの取得と利活用が企業活動に大きく影響を与えるでしょう。NTTデータでは今後IoBを見据えたIoTサービスの動向の調査やビジネス検討を進めてまいります。今後ビジネスをご検討頂くタイミングあればお声掛け頂けたら幸いです。

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