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2023年8月24日技術ブログ

Cloud Advisory Frameworkとは?NTT DATAのクラウドコンサルティング手法を紹介

クラウドへの移行やクラウド上でのシステム開発というニーズは依然としてある。一方、より大きなビジネス成果を得るため、クラウド活用へのニーズも高まっている。最適なクラウドの選定やクラウドへの移行、そして活用や運用方法まで、NTT DATAではベストプラクティスを蓄積、活用したクラウドコンサルティングとして支援している。そんなNTT DATAのクラウドコンサルティングを支えるフレームワーク「Cloud Advisory Framework」を紹介する。
目次

1.なぜCloud Advisory(クラウドコンサルティング)が必要か?

クラウドの市場規模は年々大きくなっています。(図1)ITインフラの検討に際し、Amazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloudなどのメガクラウドベンダーのサービスから自社に最適なサービスを選定しようとして、どれを選べば良いのか迷ってしまうことも多いのではないでしょうか?これらのサービスはラインナップも豊富なことに加え、日々進化しているため、このような悩みをよくお客さまからご相談いただきます。
また、パブリッククラウドが、クラウドインフラ市場において年々成長していることは事実ですが、オンプレミスが必要なくなるということはありません。その結果、ますます選択肢が増えてしまっています。

図1:国内ITインフラ市場における売上額の予測(2022年~2027年)(※1)

図1:国内ITインフラ市場における売上額の予測(2022年~2027年)(※1)

このように選択肢が多岐にわたり、かつ環境の変化の激しい時代において、自社に最適な選択肢を選ぶため専門家に助言を求めるのは自然な流れでしょう。

(※1)出典:IDC Japan, 2023年8月「国内ITインフラ市場予測を発表」

https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ51122423

2.Cloud Advisory Frameworkとは?

Cloud Advisory Frameworkは、NTT DATAのクラウドコンサルティング関連のベストプラクティスを集めた集合体です。大きく以下の3つから構成されています(図2)。

A.NuCAF(NTT DATA unified Cloud Adoption Framework)

各種クラウドサービスプロバイダが整備しているCAF(Cloud Adoption Framework)をベースとし、統合した方法論としてNTTデータ独自に定義したもの。詳細は3章でご説明します。

B.個別ガイドライン

クラウドマイグレーションやクラウドネイティブ開発、セキュリティガバナンスやグリーン関連など特定の目的に沿ったガイドライン。コンサルタントの技量に依らないクラウド導入を推進します。

C.Advisory Bank

成功裏に終わった技術コンサルティングのケースをナレッジとして集約したもの。成功事例がすぐに集合知となり横展開できることで、お客さまへの高付加価値なコンサルティングサービス提供を実現します。

図2:Cloud Advisory Frameworkの全体像

図2:Cloud Advisory Frameworkの全体像

3.NuCAF(NTT DATA unified Cloud Adoption Framework)

各種クラウドサービスプロバイダ(AWS、Azure、GCP等)が整備しているCAFをベースとし、統合した方法論としてNTT DATA独自のNuCAF(NTT DATA unified Cloud Adoption Framework)を定義しています。NuCAFはマルチ・ハイブリッドクラウドにおけるクラウド導入を促進するための手順、ツール、ガバナンスなどを含み、コンサルタントの技量に依らないクラウド導入を推進します。NuCAFを構成する6つの領域は以下のとおりです(図3)。

(1)Strategy(Think Cloud)

お客さまのビジネスニーズに適したクラウド戦略を策定します。成熟度に応じて、どのクラウドサービスを使用するか、その管理方法、既存ITシステムとの統合有無などを検討、決定します。

(2)Platform(Build Cloud)

お客さまのニーズや要件に合わせたクラウドベースのITアーキテクチャを構築します。お客さま固有のユースケースに対し、迅速に最適なクラウドプラットフォームを構築できます。

(3)Transition(Leverage Cloud)

お客さまの移行に伴うリスクやシステムの中断を最小限に抑えられるように、既存IT資産(アプリケーション、データ、インフラストラクチャーなど)をクラウドへ移行します。

(4)Operation (Run Cloud)

パフォーマンス、セキュリティ、コンプライアンスを監視することで、クラウドインフラストラクチャーとアプリケーションの管理と維持、リソース利用の最適化を行います。お客さまはクラウドリソースを効果的に管理し、クラウドインフラストラクチャーの利点を最大限に活用できます。

(5)Governance(Oversight Cloud)

アクセス制御、データプライバシー、規制要件への準拠など、クラウドリソースの使用を管理するためのポリシーと手順の定義に関するガイダンスを提供します。お客さま要件に合わせたコンプライアンス基準を満たせます。

(6)Transformation(Rethink Cloud)

既存のプロセス/システムを再評価し、新しいビジネス課題を探り、戦略目標を達成するためのクラウド活用方法を再考します。お客さまがクラウドを最大限に活用する革新的な戦略を、どのように採用できるかを示します。

図3:NuCAFを構成する6つの領域

図3:NuCAFを構成する6つの領域

4.個別ガイドライン~クラウド適用課題に対応したベストプラクティス例~

NuCAF自体は、クラウド導入のための方法論を定義したものです。さらに、クラウドを適用する際に特定の課題に対応したコンサルティング方法論を、ガイドラインとして用意しています。代表的なガイドラインを紹介します。

クラウドマイグレーションガイドライン

本ガイドラインは、オンプレミスで構築された現行システムをクラウドに移行する(クラウドリフト)際の検討プロセスや案件事例などを収集、整理したものです(図4)。本ガイドラインにより、クラウド移行における考慮漏れを防ぎ、リスクを低減することが可能となります。

図4:クラウドリフトの検討プロセス

図4:クラウドリフトの検討プロセス

グリーンクラウドアドバイザリー

クラウド導入前後のCO2排出量に代表されるGreen関連における指標の可視化、ロードマップの提案、施策実行などの方法論を整備したものです(図5)。Green ITの重要性が増している中で、何から始めれば良いか分からないお客さまへ、マーケットトレンドや多様なニーズに応じて、柔軟に組み合わせたコンサルティングが可能となります。

図5:グリーンクラウドアドバイザリー

図5:グリーンクラウドアドバイザリー

5.グリーンクラウドアドバイザリーを活用して、クラウドリフトの際のCO2削減効果を把握

ここで、実際にガイドラインの一つ「グリーンクラウドアドバイザリー」を活用してお客さまの支援をした事例を紹介します。

お客さまの課題

クラウドリフトを実現するにあたり、企業価値向上につながる脱炭素経営に資するグリーンIT観点のCO2削減効果も把握したい

NTT DATAの実施内容

  • GHGプロトコル(※2)に沿って、お客さまの既存IT資産のCO2排出量、およびクラウドリフト後のCO2排出量を分析
  • クラウドリフト前後のCO2排出量を比較することで、CO2排出量削減効果を算出
  • グリーンクラウドアドバイザリーを活用し、Green Ops(※3)を視野に入れたロードマップを提案

効果

  • CO2排出量削減効果の可視化により、企業の脱炭素経営戦略の根拠となる情報を提供
  • 環境に配慮したIT運用を導入するための指針が提示され、持続可能なビジネスモデルへの移行が支援され、企業価値向上が期待される
(※2)

温室効果ガス(Greenhouse Gas)排出量算出に関する国際基準

(※3)

環境負荷を軽減しながら、クラウドを最大限活用する運用モデル

6.今後の展望

今回は現在のCloud Advisory Frameworkについて紹介しました。Cloud Advisory Frameworkは、NuCAF(NTTデータ独自にCAFを統合した方法論)、個別ガイドライン(特定課題に対応した個別のコンサルティング方法論)、Advisory Bank(成功事例のナレッジ集)の3つで構成されています。
今後は個別ガイドラインのラインナップを随時拡充していく予定です。また、ガイドラインの拡充だけにとどまらず、利活用を加速させ、実際のプロジェクトを通じて得られた経験を生かし、さらなる高付加価値なサービスをお客さまへ提供します。

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