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2023年9月26日技術ブログ

継続的な自己成長を促すDX人材育成のしくみ

DX時代のビジネス環境では、一人ひとりの絶え間ない学習による成長が不可欠である。個人のスキルアップ促進のために組織ができることは何か。「学習プラットフォーム」、「DX人材育成研修」、「DX人材認定制度」を組合わせることにより、社員一人ひとりが自律的にスキルアップを継続し、成長できるしくみを提供しているNTT DATAの実例を紹介する。
目次

継続的な自己成長を促すDX人材育成のしくみ

人材育成に関してよく引用されるのが「ロミンガーの法則」です。「70:20:10」の法則とも呼ばれるもので、米国の調査機関ロミンガー社が経営者を対象に、リーダーとしての成長に何が寄与したのかを調査した結果、「経験(日々の業務)」が70%、「薫陶(他者からのフィードバック)」が20%、「研修」が10%であったというものです。単純にこの結果だけをみると、日々の業務経験が重要で研修はあまり重要ではないと思うかもしれません。しかし、ただ闇雲に、または漫然と仕事をしていても成長ができないこと(成長させることができないこと)は、皆さんも感じているところではないでしょうか。とりわけDXが盛んに叫ばれ、技術動向の変化が激しいいま、一人ひとりの絶え間ないスキルアップが不可欠です。
では、一人ひとりの絶え間ないスキルアップを促すため、組織は何をすればよいでしょうか。今回は一事例として、NTT DATAの実例を紹介します。

NTT DATAでは組織の実態を踏まえながら「学習プラットフォーム」、「DX人材育成研修」、「DX人材認定制度」を作り、この3つを活用することで継続的な自己成長の実現を試みています。
具体的な内容は図1の通りです。

図1:継続的な自己成長を促すDX人材育成のしくみの全体像

図1:継続的な自己成長を促すDX人材育成のしくみの全体像

「学習プラットフォーム」を使い自分のペースで学びつつ、さらに深堀したい知識やスキルを「DX人材育成研修」で習得し、「DX人材認定制度」で実践力を客観的に証明する。こうしたしくみによって、個人としての自律的なスキルアップを支援しています。
具体的には、業務に必要な基礎知識やスキルを学習プラットフォーム上のコンテンツや研修で身に付け、OJTで実践。OJTで得られた知識と経験を、技量としていつでも発揮できることの証明としてDX人材認定制度による認定を受け、自分の能力レベルを客観的に把握します。また、OJTでの経験を通じてさらに細かく業務に必要な知識やスキルについて理解し、自分にとって不足している知識やスキルを把握。その不足分を学習プラットフォーム上のコンテンツや研修で学習し、再度OJTで実践します。このしくみによって、業務に必要な知識やスキルを、目指すべき人材像に沿った形で学んでいくことができるのです。

各サービスの概要

1.学習プラットフォーム

ここには、目指すべきDX人材像と、その人材像に向けた育成パスが示され、技術情報やツール情報、導入事例の他、推奨する研修や社外コンテンツが最適な学習順に並んでいます。学習単位が小さな粒度になっており、社員は自分のペースで段階的に学習を進めることができます。

図2:学習プラットフォーム

図2:学習プラットフォーム

2.DX人材育成研修

学習プラットフォームの育成パスに従い、各段階に適切な研修プログラムが用意されています。基本的な知識から専門的な知識まで、能力レベル毎に求められる知識を獲得するための育成コンテンツとして各種研修が提供されています。自分の目指す人材の種類と能力レベルに合わせた研修を受講することで、着実に知識を獲得していくことが可能です。

図3:Agile・DX研修

図3:Agile・DX研修

3.DX人材認定制度

社員の成長を客観的に可視化するために、認定制度を導入しています。目指すべき人材像の定義である「デジタル技術人材定義」をもとに、能力レベルごとに必要とされる知識と経験を認定審査基準として明文化することにより、認定結果に客観性を持たせています。
(認定制度の詳細は、別記事「DX人財認定制度による、組織ケイパビリティ向上への挑戦」をご参照ください。)

DX人材育成のしくみ構築の4ステップ

DX人材を育成するための効果的なしくみを構築するには、大きく4つのステップが必要です。以下のステップを進めることで、継続的な自己成長を促すDX人材育成のしくみを構築でき、持続的にDX人材を育成していくことができます。

1.人材の種類、能力レベルを定義する

組織の目標、事業計画に合致する人材像の定義が最初のステップです。人材の種類と各人材に必要な知識、スキル、および、育成の方向性・ステップを示す能力レベルを明確にします。これにより、育成の方向性を明確にし、目指すべき人材像を指し示します。

2.育成パスを定義する

次に、目指す人材像に必要な知識やスキルを習得するためのパスの定義が必要です。必要な知識やスキルを段階的に習得する構造を提供します。同一人材像でのレベルアップのための育成パスだけでなく、既存の人材を活かすためのリスキルやロールチェンジの観点を踏まえた育成パスを定義する必要があります。

3.育成コンテンツを用意する

基礎~専門的な知識、スキルの習得に焦点を当てた育成コンテンツを開発します。座学だけではなく、実践型の演習やワークショップにより、知識、スキルの効率的な定着を図ることが重要です。

4.学習環境を整える

社員が自分のペースで学習を継続できる環境を構築します。操作しやすいUI/UXや進捗状況の確認機能、他者とのコミュニケーションのしくみ等を提供し、継続して学習を進められる環境を整えます。

4つのステップで組織としてDX人材育成の仕組みを整えることで、実務での経験との相乗効果により、理論と実践の両面から効果的な人材育成が実現できるのです。

まとめ

明確な人材定義と育成パスの策定により、一人ひとりの目標に合わせたスキルアップのためのステップが明確になります。基礎~専門的な育成コンテンツとOJTの組合せにより、知識と実践の両面から成長を支援します。学習プラットフォームで柔軟な学習環境を提供し、自己成長を促します。結果として、個人の成長が組織の成果へと繋がります。
ここで紹介したステップを活用して、皆さまの組織でも自己成長へとつながるDX人材育成の仕組みを導入してみてはいかがでしょうか。

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