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2023年10月13日技術ブログ

システム運用を変える「グローバル運用標準モデル」

「システム運用の標準化」―これは、現代の複雑化するIT環境において、企業が求められる新たなステップである。特に、オンプレミスとパブリッククラウドの組み合わせ、あるいは複数のパブリッククラウドを組み合わせるハイブリッドクラウドの増加に伴い、運用の統合的な実施が難しくなっている。NTTデータグループ社は、この課題を解決するための「グローバル運用標準モデル」を導入し、マネージドサービスとの連携を強化。この記事では、その背景、目的、そして具体的な取り組みについて詳しく解説する。
目次

NTTデータグループ社が目指す方向性

NTTデータグループ社では、全体の売り上げの6割を占める海外事業を展開しており、各リージョンで顧客・地域の特性に応じたシステムインテグレーションやマネージドサービスを提供しています。一方で、中期経営計画でも示されているように、NTTデータグループ社として「アセットベースのビジネスモデルへの進化」を重視しています。このビジョンの実現のためには、従来のお客さまごとに一からシステムをカスタマイズベースで構築するビジネスモデルからの転換が必要です。特にクラウドなどのシステム共通部品に対する汎用的なデザインパターン・維持管理手法は、クロスリージョンで統一して効率化・合理化を進めることが求められ、グローバル運用標準モデルはこの転換を実現するための重要なステップの一つです。

グローバル運用標準モデルとは?

グローバル運用標準モデルは、NTTデータグループ社が進める「アセットベースのビジネスモデル」の中核をなす「アセット」の一つで、システムの運用面に焦点を当てたものです。このモデルは運用におけるさまざまな設計方針や基準をドキュメント化したもので、お客さまのシステム開発やマネージドサービスはそれをベースに運用設計および運用を行います。これにより、各プロジェクトで運用に必要な項目を一から考える手間が省かれ、システム提供のスピードアップが実現されます。またそれに加えて、プロジェクト横断的にシステム運用の底上げが実現され、どのリージョンにおいても高いレベルの運用を提供できます。

図1:グローバル運用標準モデルの効果

図1:グローバル運用標準モデルの効果

このグローバル運用標準モデルの導入が、NTTデータグループ社の「アセットベースのビジネスモデル」の実現を加速するために果たす役割を理解するためには、マネージドサービスの役割とその意義を知ることが不可欠です。

マネージドサービスとは?

マネージドサービスとは、企業がIT運用の一部または全部をNTTデータグループ社のような専門業者に委託するITOサービスです。このサービスは、企業のITリソースを効率的に利用し、運用の効率化やセキュリティの強化を実現するものです。
特に、オンプレミスとパブリッククラウドの組み合わせや、複数のパブリッククラウドを組み合わせるハイブリッドクラウドが増えてきた現代において、運用を統合的に実施するのが難しくなっています。従前は、各企業において運用基盤・体制・プロセスを整えて、さまざまな規模のシステムを集約することで運用コストの最適化を測ってきました。一方、クラウド・サイバーセキュリティ・AIなどの技術およびビジネスニーズが激しく変化していく時代において、各企業で抱える運用体制で追従し続けることが非現実的になりつつあります。そのため、専門家を抱えて、常に時流に沿ってアップデートしつづけるマネージドサービスは、これらの課題を解決するための有効な手段となります。

図2:NTTデータグループ社におけるマネージドサービスのイメージ

図2:NTTデータグループ社におけるマネージドサービスのイメージ

グローバル運用標準モデル×マネージドサービス

NTTデータグループ社は、お客さまが運用の手間を減らし、本質的なビジネス活動に専念できるマネージドサービスを提供しています。特に、NTT Ltd.社(※1)の「ACE(Adaptive Cloud to Edge)」は注目のサービスです。このサービスは、システムに依存しない画一的な機能、例えば共通の運用機能やインフラデザインパターンを持ち、オフショア人材をグローバルの賃金格差を利用して活用することができます。全てのシステムにReady-Made&フルマネージドで展開が可能で、インフレレイヤの運用負荷からお客さまを解放し、コアビジネスに注力できる枠組みを提供します。ACEは、現在ヨーロッパリージョンを中心に展開しており、1000以上のシステムが既に利用しています。

図3:NTT Ltd.社が提供するマネージドサービス:ACE(Adaptive-Cloud to Edge)

図3:NTT Ltd.社が提供するマネージドサービス:ACE(Adaptive-Cloud to Edge)

マネージドサービスは、地域ごとの要件の差を超えて、画一的なサービスを提供することが理念です。しかし、これがグローバル展開の障壁ともなっています。例えば、日本のお客さまは運用サービスの品質について深く理解し、具体的な設計や方針についての説明を求めることが多いです。一方でヨーロッパリージョンのお客さまは、契約に書かれている内容、例えばSLA(※2)が守られること、それが守られなかった時の補償が正しく履行されることを重視し、マネージドサービスの中でどのような運用が実際に行われているかを知ろうとしない傾向にあります。

この地域ごとのニーズの違いを解決するために、「グローバル運用標準モデル」が開発されました。このモデルにより、運用の設計や指針がドキュメント化され、各地域のお客さまも納得できる形でサービスを受けることができます。これにより、ACEのようなマネージドサービスが、各地域のニーズに応じつつ、グローバルに展開しやすくなります。

「グローバル運用標準モデル」の導入により、NTTデータグループ社は、マネージドサービスの特徴を維持しつつ、グローバル展開する方法を模索し、お客さまのビジネスを加速化するための新たなステップを踏み出そうとしています。

(※1)

NTTデータの海外グループ会社の一つ。

(※2)

SLA:Service Level Agreement - サービスの提供事業者と利用者の間で結ばれるサービスの品質についての合意。

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