運用高度化とは
運用高度化とは、IT運用の生産性向上を目的として、対応の質を高めるとともに、予測的かつ継続的な改善を可能にする運用体制への進化を指します。従来の属人的で反応的な運用から脱却し、AIやナレッジを活用することで、障害の予兆を早期に察知し、自動で対応することが可能となります。
特に、マニュアル化が難しい非定型での複雑な作業や、有識者の判断を必要とする高度な対応については、AIやナレッジを活用した自動化・簡略化が有効です。これにより、作業量の削減だけでなく、運用品質と業務効率を両立しながら生産性を高めることができます。これこそが、運用高度化の本質的な価値と言えるでしょう。
このような運用高度化を支える有力な手段の一つが、AIOps(Artificial Intelligence for IT Operations)です。AIOpsは、AI技術を活用してIT運用の課題を体系的に解決する仕組みであり、近年注目を集めている運用手法の一つです。膨大なデータを分析して異常を検知し、対応を自動化することで、安定した運用品質を保ちながら、運用全体の生産性の向上を実現します。
図1:運用高度化とは
運用現場で顕在化する主な課題
AIOpsの導入を検討するにあたり、運用高度化を成功させるためには、まず現場の課題を明確にすることが第一歩となります。IT運用の現場では、クラウドやマイクロサービス(機能単位で分割された小規模なサービス群)の普及に伴い、システムの分散化・動的化が進んでいます。その結果、従来の手法では対応しきれない課題が顕在化しています。
サービスの可用性やパフォーマンスに対する要求が高まる一方で、運用チームは限られた人員と時間の中、膨大なアラート対応や障害分析に日々追われています。
以下に、代表的な課題を整理します。
表1:運用現場で顕在化する課題
AIOpsの6機能
AIOps(Artificial Intelligence for IT Operations)は、IT運用における主な課題に対して、6つの機能(1.異常検知と根本原因分析、2.予兆検知、3.プロアクティブな監視とアラート、4.AIによるタスク自動化、5.AIによるナレッジの検索、分析の支援、6.生成AIによる文章作成のアシスト)で包括的にアプローチします。これらの機能は、例えば障害発生時の迅速な原因特定や、過去の対応履歴をもとにした自動応答の生成、定型業務の自動化による人的負荷の軽減など、現場の運用課題に対して直接的な効果を発揮します。従来の属人的で反応的な運用から脱却し、より安定的かつ効率的、そして高い生産性を備えた運用体制へと進化させるIT運用の高度化が可能となります。
図2:IT運用の課題に対するAIOps6機能のマッピング
このように、AIOpsは、IT運用の課題を体系的に解決する“運用変革のエンジン”として、今後の運用高度化を牽引する存在です。
NTT DATAでは、IT運用の高度化を支援するため、AIOpsの導入から定着までを段階的かつ体系的にサポートしています。お客さまが抱える「どこから始めればよいか分からない」「導入効果をどう測定すればよいか」といった課題に対しては、導入初期のPoC(Proof of Concept:概念実証)から、運用現場への展開、定着後の効果測定や改善まで、各フェーズに応じた支援メニューを提供し、企業規模や業種を問わず柔軟に対応しています。
また、複数業界での実践を通じて、AIOpsの効果を検証・蓄積し、現場の業務効率化と運用品質の安定化に貢献してきました。今後は、生成AIや予測分析のさらなる高度化により、より高度な運用支援が可能になると期待されています。NTT DATAはこうした技術進化にも柔軟に対応し、常に最適な運用環境の提供を目指します。
これらの知見を活かしながら、NTT DATAは今後も、AIOpsをはじめとした運用高度化の推進と価値創出に取り組み、お客さまのIT運用における持続的な成長と競争力強化を支援してまいります。


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https://www.nttdata.com/jp/ja/services/generative-ai/
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