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2023年3月10日技術ブログ

社会のDX推進~デジタルツイン共創プログラムのご紹介~

昨今DXが注目を集めるが、実際にはデータの大半が個別の企業や業界の範囲でしか活用されず、その価値は限定的となっている。これからは個別の企業や業界を越え、デジタルツインなどでデータを相互に利活用できるよう社会全体のDXを進めていかなければならない。
目次

NTTデータが目指す社会のデジタルトランスフォーメーション(DX)

昨今、ビジネス上のデータ活用は重要性を増しています。総務省が公開した令和4年版情報白書(※1)によれば、新型コロナ感染症のパンデミック前後にあたる2019年11月から2021年11月の2年間の内に、日本国内のデータ通信量は約2倍にまで増加しました。このペースが続けば2030年は現在の30倍以上、2050年には現在の4,000倍に達するという予測がされており、データ活用が想像以上に加速している状況が見て取れます。
しかしデータ活用が重要となる一方で、収集したデータを扱いきれない事態も同時発生しています。例えば、IoT機器などで独自データを得たものの、その用途がわからないといったジレンマを抱える組織が業界各所で発生しています。
一方でDXが注目を集めていますが、実はその大半が個別の企業や業界の範囲でしかデータを活用していないという調査結果もあります。データの利用も、特定の目的の限られた範囲にとどまっているのが現状です。
このような状況を打破するため、NTTデータは2022年4月から「デジタルツイン共創プログラム」(以下、本プログラム)を展開しています。デジタルツインとは、現実空間を数値化し仮想空間に写像再現することで、未来予測やシミュレーションを可能にする技術です。デジタルツインを使うことにより、これまで活用の目途がなく放置されていたデータや、あるいは特定の目的のみに利用されていたバラバラなデータを、デジタルツイン上にとりまとめて利活用することができるのではないか、という仮説をたてました。その仮説が正しければ、デジタルツインによってさまざまなお客さまや社会の抱える課題を解決し、新しいビジネスチャンスを生み出すことに繋がります。この活動はNTTデータ一社でできるものではなく、さまざまなパートナーの方々との共創やオープンイノベーション活動が必要であると考え、本プログラムを立ち上げました。(図1)

図1:NTTデータが構想する社会DXの実現

図1:NTTデータが構想する社会DXの実現

デジタルツイン共創プログラムの仕組み

本プログラムは、パートナーとNTTデータでの二人三脚での運営を想定しています(案件により、提携するお客さまが複数社となる場合もございます)。その理由は、本プログラムで構築するデジタルツインの基礎的な情報や技術はNTTデータが保有していますが、お客さまが抱える課題を解決するには、お客さま自身のデータを主役にする必要があるためです。
本プログラムのプロセスとして、お客さまが抱える課題のコンサルティングから、ユースケースや仮説の具体化、デジタルツインの試作、シミュレーションの実施、その後のビジネス化の相談までと、幅広く強力にサポートしています。デジタルツインを扱うのが初めてとなる場合も、豊富な経験と実績をもとに安全・安心に支援することが可能です。(図2)

図2:デジタルツイン共創プログラム

図2:デジタルツイン共創プログラム

本プログラム開始後、NTTデータは単年度で十数件に上る共同実験を実施しております。実際にデジタルツインでどのような活用が可能なのか以下に事例の一部を紹介します。

共創プログラム適用例(1):愛・地球博記念公園における自動運転のシミュレーション(※2)

2023年2月、NTTグループを含む各社と実施した自動運転バスと歩行者の接近に関する実証実験を行いました。この事例では自動運転で運行するバスが歩行者に接近した際、車両がどれほどの接近距離・速度で進行すると歩行者が恐怖を覚えるのか観測したものです。実世界の条件下では、走行中の車両の前にスタントマンのように歩行者を飛び出させる!といった実験とそのデータ取得は、倫理的・安全面の課題があり、現実的には実現が不可能です。しかし、デジタルツインならば危険と思われるシチュエーションでも安全に再現できるかもしれないと仮説を立て、実証してみることにしました。この実験ではお客さまの車両情報に対してNTTデータのヒトデジタルツイン関連技術「NeuroAI」(※3)を使用することで、人間が持ちうる「怖いなあ」とか「危ないなあ」といった感情をデジタル空間上で再現し、危険と感じた感情を定量化しています。もし、危険と感じるシチュエーションが特定できれば、歩行者にとっても安全と感じる自動運転が実現できるわけです。本プログラムの適用により、実験の実現と客観的な実験成果を得た例となります。(図3)

図3:デジタルツイン共創プログラム事例(1)

図3:デジタルツイン共創プログラム事例(1)

共創プログラム適用例(2):健康診断データを用いた疾病予測シミュレーション

デジタルヘルスケアを提供するアクシオンリサーチ株式会社(※4)と行っている本取り組みでは、同社が保有する疾病予測サービスとNTTデータが保有する自社社員の健康診断データを組み合わせることで、健康状態の長期シミュレーション構築を目指しています。その時々の健康状態を示す健康診断の結果について、点と点を繋げる時系列的な分析を行うことで将来の健康リスクを算出することが可能となります。各人の健康状態をデジタルツインで時空間的に再現することで、「将来このままの生活をしていると病気になりますよ」というシミュレーションが可能になり、よりパーソナルで的確な行動変容の実現を見込めるほか、地域医療や保険商品など他サービスへデータ活用も実現できると考えています。(図4)

図4:デジタルツイン共創プログラム(2)

図4:デジタルツイン共創プログラム(2)

(※3)

NeuroAI©

今後の展開について

本プログラムはこれまで日本国内の企業を主な対象に展開しておりましたが、今後はグローバルへと適用範囲を広げていく予定です。例えば、海外市場ではスマートファクトリーなど施設をデジタル化する動きが活発となっています。新たなセンサーやIoT機器の登場により、今後もあらゆる事象がデータ化されていく潮流は世界中で広がっていきます。NTTデータは世界各地のグループ企業と連携することで、国内外のデータ活用をより強力に支援し、よりダイナミックな社会変革を生み出すことに挑戦してまいります。
NTTデータではデータ活用に課題を抱えるお客さま、デジタルツインに興味を持つお客さま、ビジネスの共創を目指すお客さまを大手・ベンチャーと大小を問わず常に支援しております。本プログラムの魅力を感じて頂きましたら、ぜひ気兼ねなくお声がけをお待ちしております。

本件に関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
技術革新統括本部
技術開発本部
IOWN推進室
武田、青木、渡辺、佐藤、ラジブ
E-mail:iown@kits.nttdata.co.jp

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