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2026.3.25業界トレンド/展望

シリコンバレーに新会社を設立。NTT DATAが描く最新生成AI戦略

NTT DATAの最新グローバルAIレポートによれば、AI活用で十分な成果を創出できている「AIリーダー企業」は15%にとどまる。成功の鍵は、AI活用を個別業務の効率化に留めるのではなく、業務プロセス全体をAI前提で再設計することだ。NTT DATAは、生成AI活用コンセプト「Smart AI Agent®」を掲げ、企業の変革を支援してきた。さらに2025年12月、米国シリコンバレーに新会社「NTT DATA AIVista」を設立し、その推進力をさらに高めようとしている。本稿では、国内の最新事例を交えながらNTT DATAの最新のAI戦略を概観する。
目次

AIの成果を十分に引き出している企業は15%

NTT DATAは毎年、世界のAI活用動向と先進企業の成功要因をまとめた「Global AI Report」を公表している。2025年12月に公開された最新版では、日本を含む35の国と地域、15業界の経営幹部を中心とした2,500名以上を対象に調査を実施した。結果として、明確なAI戦略を持ち、成熟した運用モデルと規律ある実行力でAIを活用する「AIリーダー企業」は全体の約15%にとどまった。こうしたAIリーダー企業は10%以上の売り上げ成長や15%以上の利益率改善の確率が高いという顕著な差が表れており、AI活用と事業成長の相関が明確に証明されている。

こうしたAIリーダー企業に特徴的なのは、チャット型AIで単体のタスクを自動化するのではなく、アプリケーションや業務をAI前提に再設計している点だ。NTT DATAは生成AI活用コンセプト「Smart AI Agent」を掲げ、エージェント型AIが業務プロセスを自律的に実行するという企業活動の未来像を描いている。その実現に向け、すでにグローバルで2,000件以上のSmart AI Agent関連プロジェクトを受注している。

図1:Smart AI Agentがもたらす企業活動の未来

こうした顧客の変革を支援していく上で、パートナーとの連携は欠かせない。NTT DATAはビッグテックやOpenAIをはじめとする主要なAI企業との戦略的パートナーシップを通じてAIエコシステムを拡大している。

図2:Smart AI Agent 構想を推進するための戦略的パートナーシップ

シリコンバレーに新設されたNTT DATA AIVistaの役割

これまではNTT DATA全体のAI戦略をNTTデータグループのGlobal AI Officeが統括し、国内ではNTTデータ、海外ではNTT DATA, Inc.がSmart AI Agentを中核とするAIビジネスを推進してきた。そこへ新たに加わったのが、2025年12月にシリコンバレーに設立された新会社、NTT DATA AIVistaだ。NTT DATA AIVistaのミッションは、グループ全体のAI関連ビジネス拡大のけん引、AIネイティブなビジネスの創発、パートナーエコシステムの強化の3つだ。既存組織と連携しながらAI関連ビジネスを拡大する役割を担う。

NTT DATA AIVista Chief Strategy Officer
本橋 賢二

「AIネイティブな新規ビジネスを次々に生み出したい。そのためにも、シリコンバレーで活躍するAI技術者や業界ごとの専門性を持つ人材の参画も進めていきます。そして、NTTデータやNTT DATA, Inc.と連携しつつ、イノベーティブな成果を創出したいと考えています」とNTT DATA AIVista Chief Strategy Officerの本橋は語る。

NTT DATA AIVista CEO
Bratin Saha

NTT DATA AIVistaのCEOに就任したのは、ブラティン・サハ(Bratin Saha)だ。イェール大学でコンピュータサイエンスの博士号を取得したサハは、NVIDIA、Amazon Web Services、DigitalOceanなどで要職を歴任してきた。NVIDIAではAIやGPU、CUDAを含むソフトウェア基盤づくりを主導。Amazon Web Servicesでは史上最速で成長した事業の一つを立ち上げ、Amazon SageMaker、Amazon Q、Amazon Bedrock などの主要AIサービスを通じて、数十億ドル規模の生成AI事業を構築。直近ではDigitalOceanの最高製品・技術責任者(CPTO)として、製品開発スピードを約5倍に高めることに貢献した。

「NTT DATA AIVistaのグローバル最先端の知見と、NTT DATAの顧客基盤と深い業務理解、コンサルティング力、エンジニアリング力を掛け合わせ、お客さまにAIネイティブな変革を価値提供していきます」(本橋)

基幹業務へと広がる日本国内のAI活用事例

NTTデータ GenAIビジネス推進部長
奥田 良治

国内でも、AIが業務の中核で活用されはじめている。国内の生成AIビジネスを推進するNTTデータ GenAIビジネス推進部長の奥田良治は、「AI活用状況を概観すると、まずバックオフィスの業務効率化から始まり、2025年の中盤以降はCX・マーケティング領域での活用が増えました。最近では、さらなる効率化を求めて基幹業務の抜本的な変革へと展開され、すでに実例も出始めています」と語る。

図3:NTT DATAの顧客変革事例(2025年10月末時点)

(1)碧海信用金庫 バックオフィス業務の変革

碧海信用金庫では、AIを活用して店舗からの問い合わせ対応業務を部門横断で効率化している。
「営業店職員から専門部署への照会など、金庫内では1日約4000件にのぼる問い合わせが発生していました。そこで、碧海信用金庫は『LITRON Generative Assistant on finposs』を活用し問い合わせ対応をAIに置き換え、部門横断での業務効率化を目指しています。今後は他の信用金庫や地方銀行にも展開していく予定です」(奥田)

この製品はFISC準拠の高度なセキュリティ基準を満たしており、機密情報をセキュアに活用できる。金融機関に求められる安全性を担保しつつ、日々の問い合わせ対応を効率化する点が特徴だ。

(2)JALカード CX・顧客接点の変革

CX・顧客接点における変革事例として、カード会員のCXを高めるための新たなマーケティングの取り組みを行っているのがジャルカード(以下、JALカード)だ。「LITRON Multi Agent Simulation」を活用して会員の属性・購買データを元に定義したペルソナに対応するAIバーチャル顧客(AIエージェント)を作成。AIバーチャル顧客同士をディスカッションさせてインサイトを抽出し、マーケティング施策にいかすことで購買率が約3%向上するという成果が得られた。

(3)大手メディアサービス会社 基幹業務の抜本的変革

基幹業務でAIを活用している代表例は、大手メディアサービス会社における、校閲業務の変革だ。
「従来、お客さまが外部委託していた校閲業務にAIエージェントを活用し、校閲業務全体を再設計しました。ミスを96%削減したほか、作業時間を約3分の1に短縮。1日当たりの処理量を約5倍に増やすという効果も得られています」(奥田)

図4:大手メディアサービス会社の変革事例

AIの活用を本格化する際の「司令塔」となる「AI CoE(Center of Excellence)」を設置する企業も増えている。
りそなグループでは、NTT DATAの支援のもと、AIの企画・推進組織であるAI CoE(Center of Excellence)を設置し、テクノロジー基盤の整備だけでなく、人材育成やビジネス課題に応じたツール活用支援まで包括的に担う体制を構築した。さらに法人営業改革にも着手し、NTTのIOWN技術を活用した企業情報の調査・分析業務の効率化といったさまざまな取り組みを進めている。

変革を支えるNTT DATAのアセット

さまざまな業界・業種でAIを活用した変革を下支えするのが、NTT DATAが提供する豊富なAIソリューション群「LITRON」だ。例えば営業領域では、商談から提案・受注までの活動を支える「LITRON Sales」、顧客分析や施策立案、コンテンツ生成などマーケティング業務を支援する「LITRON Marketing」、問い合わせ対応や継続利用の促進といった顧客接点を強化する「LITRON Customer Engagement」など、業務に応じて幅広い企業で適用しやすいソリューション群をそろえている。2026年4月に提供を予定するエージェント型AI開発基盤「LITRON Builder」では、自然言語の指示によってエージェント型AIや業務プロセスを構築できる環境を提供。AI活用を「点」で終わらせず、展開可能な「型」として蓄積し、再利用することができる。

図5:LITRONをはじめとする生成AIソリューション群

また、企業競争力の源泉は、自社ならではのデータをどれだけ活用できるかにある。だがその多くは企業・行政機関の内部に眠る機密情報であり、従来の枠組みのままでは活用しにくい。そこで鍵となるのが、セキュリティとデータ主権(ソブリンティ)を担保した閉域環境だ。
「現在のLLMが学習するデータは世の中に存在するデータの2~3割程度といわれています。残りの膨大なデータは企業や行政機関の内部環境に置かれており、その多くは機密扱いで未活用の状態です。これらのデータを活用することでAIはさらに進化するでしょう。そのためには、セキュリティとソブリンティを担保した環境が必要です」(奥田)

図6:ソブリンティへの対応

NTT DATAは、世界でも有数のデータセンター事業者でもあり、フルスタックでAI活用基盤を提供できる点も強みだ。クラウド基盤「OpenCanvas」上で閉域の実行環境を提供し、NTTの国産LLMであるtsuzumi 2を核に、企業固有のデータを用いたセキュアなプライベートAI活用も後押しする。

おわりに

AIで成果を生み出す企業はまだ少数だが、確実に現れ始めている。差を分けるのは、AI活用を個別業務の効率化にとどめるか、業務プロセス全体をAI前提で再設計できるかだ。
NTT DATAは、米国シリコンバレーに設立したNTT DATA AIVistaを新たな推進力とし、企業の成果創出に変革パートナーとして伴走していく。

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