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2026.4.3事例

在庫1割減、品切れ5割減、物流効率1割改善――ライオンのSCM改革への道

~NTTデータとの共創で実現、部分最適から全体最適へ~

ライオンの好業績を下支えしているのが、SCM(サプライチェーンマネジメント)高度化への取り組みである。同社は2018年からSCMの研究と戦略策定を定め、2024年にはNTTデータが経営課題起点でSCM高度化を提言し、両社のプロジェクトが始動した。このプロジェクトにより、在庫を約1割削減、品切れを約5割削減、物流効率を約1割改善する成果をあげている。「品切れを防ぐには在庫を増やすしかない」――多くの企業が抱えるこのジレンマに対し、SCMのプロセス改革によって在庫削減と品切れ防止を両立させ、利益を生み出すことができることを、今回のプロジェクトは証明した。SCM高度化プロジェクトのキーパーソン3人が、その挑戦と成功要因について語った。

※本記事は日経電子版に掲載した内容を、許諾を取って掲載しています。

『在庫1割減、品切れ5割減、物流効率1割改善 ―― ライオンのSCM改革への道』
記事の全文はこちらからダウンロードいただけます。

品切れと在庫過多が同時に起きる理由

消費財メーカーのライオンでSCM高度化を推進してきたのが、SCM戦略部デマンドサプライ統括室長の望月 則孝 氏だ。

ライオン株式会社 SCM戦略部 デマンドサプライ統括室長 シニアSCMデザインストラテジスト
望月 則孝 氏

「当社がSCMの研究を本格的にスタートさせたのは2018年ごろです。大学との共同研究などを通じてSCMの理論を学び、データサイエンティストの採用など専門人材も強化しました。2020年から21年にかけてSCM戦略を練り上げ、2024年に本格的な改革に着手しました。相応の時間をかけて準備してきたプロジェクトです」

実は2022年、ライオンは基幹システムを刷新している。この新システムを基盤として、SCMをさらに高度化する機会と捉え、2024年にSCM高度化プロジェクトが本格始動した。

従来、同社のサプライチェーンは部分最適の傾向が強かったという。

「ある部門にとって好ましいことが、周囲の別部門の負荷を増大させ、トータルではマイナスになる。あるいは足元のプラスが中期的にはマイナスに働く。以前はこうしたケースが少なくありませんでした。また、担当者の属人的なノウハウに頼る部分も目立ちました」と望月 氏は振り返る。

おそらく、多くの製造業に共通する課題だろう。しかも、年々SCMの難易度は高まっている。

「20年ほど前の大量生産・大量消費の時代はアイテム数が少なく、過剰在庫や品切れといった課題はあまり顕在化しませんでした。今は消費者ニーズの多様化などにより、多くのラインナップをそろえることが求められる一方で、適正な在庫水準を保ちながら品切れなく提供することが求められます。生産から在庫、販売に至るプロセス全体の管理は複雑で難しいものになっています」と同本部SCMデザインストラテジストの原 昌史 氏は説明する。

ライオン株式会社 国内ビジネスユニット SCM戦略部デマンドサプライ統括室 戦略チームリーダー シニアSCMデザインストラテジスト
原 昌史 氏

さらに、柔軟剤の香り違いや容量違いなど、同じ商品カテゴリーの中でもSKU(最小管理単位)が細分化され、需要予測の難易度は一層増している。「ある香りは過剰在庫になり、別の香りは品切れする。品切れと在庫過多が同時に発生してしまう状況でした」と原 氏。

こうした経営課題に対し、ライオンは変革パートナーとしてNTTデータを選んだ。NTTデータはグローバルで製造・流通・サービスなど多業種のSCM高度化を支援してきた知見とアセットを持っており、製造業界全体の研究を通じて、「SCMの改善で収益性を上げることが業界共通の課題」という仮説を持っていた。ライオンと全社デジタル戦略について対話する中で、この知見をもとに経営課題の観点からSCM高度化を提言。ライオンとNTTデータは、SCM高度化の目指すべき姿を共有し合意した上で議論を重ねる中、NTTデータが業務改革視点と実務視点の双方から着実に取り組みを推進する存在であるという期待がライオン側で高まっていった。開発のしやすさではなく、業務インパクトやKPIへの効果を最優先に据えて共に推進できると判断したライオンはNTTデータの提言と知見を評価。こうしてプロジェクトが始動した。

『在庫1割減、品切れ5割減、物流効率1割改善 ―― ライオンのSCM改革への道』
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