NTT DATA

DATA INSIGHT

NTT DATAの「知見」と「先見」を社会へ届けるメディア

カテゴリで探す
サービスで探す
業種で探す
トピックで探す
キーワードで探す
カテゴリで探す
サービスで探す
業種で探す
トピックで探す
2026.1.13業界トレンド/展望

連載:テクノロジー×サステナビリティ(5)ホワイトペーパー2025~スマートロボット~

近年、サステナビリティは企業や社会における重要なテーマとして定着しつつある。一方で、携わっている業務や技術がどのようにサステナビリティに結び付くのか、具体的にイメージしづらい方も多い。NTT DATAでは、こうした課題に対し2024年度より「普段活用している技術がサステナビリティにどのように関連するのかを知り、より身近に感じること」を目的にホワイトペーパーを作成している。
2025年度は5つの技術テーマについて発信してきたが、最終回となる今回は「スマートロボット×サステナビリティ2025」と題し、2024年度版の内容をもとに、最新の知見や業界動向を踏まえて情報をアップデートするとともに、スマートロボットの国内外のトレンドや事例を紹介する。
目次

はじめに

近年、サステナビリティは企業や社会における重要なテーマとして定着し、サステナブル投資や脱炭素経営などの取り組みが広がっています。一方で、普段携わっている業務や技術がサステナビリティとどのように結び付くのか、どのように活かしていけるのかを具体的にイメージしづらい方も多いのではないでしょうか。
この連載では、「技術」観点で、テクノロジー×サステナビリティのトレンドや具体事例などを紹介します。2025年度は全5つの技術テーマを取り上げており、最終回となる今回はスマートロボットとサステナビリティとの関連に注目します。

スマートロボットとはAIやセンサーなどを活用して、自律的に最適な動作を行うロボットの総称です。昨今、ロボット技術はAIをはじめとするIT技術との融合によって社会の多様な分野で技術革新を加速させる存在となっており、環境問題や経済・社会的課題に応える技術として注目されています。こうした技術の進展が、より持続的な社会の実現を後押ししています。
一方で、雇用への影響、倫理的な懸念、エネルギー消費など、スマートロボットの普及に伴う課題も指摘されており、こうした側面への配慮も持続可能な技術活用には欠かせません。本記事では、スマートロボットの進化と課題を踏まえ、サステナビリティの観点からその活用方法や運用のあり方をトレンドや事例を取り上げながら紹介します。

スマートロボットのトレンド

ロボット市場は世界規模で拡大を続けています。一般的にロボットは、製造現場での作業を自動化する産業用ロボットと、人や社会にサービスを提供するサービスロボットに分類されます。スマートロボットは産業とサービスの両分野にまたがって活用が進んでおり、スマートロボット市場も拡大傾向にあります。グローバルインフォメーションの調査によると、2025年の市場規模は世界で282億9,000万ドルと見込んでおり、さらには2032年には2,463億4,000万ドルに達すると予測しています(※1)

市場拡大の背景には、技術進化だけでなく社会課題の深刻化があります。日本を含む先進国では労働人口の減少により、インフラ維持や災害対応などに必要な人手が不足しており、ロボット技術が現実的な解決策として注目されています。また、スマートロボットでは、AIによる精密制御を活用することで作業効率の最適化やエネルギー消費の抑制を実現する取り組みが進んでおり、エネルギー効率の向上や温室効果ガス排出量の削減への貢献が期待されています。さらに、廃棄物の分別支援や、除草ロボットによる化学農薬の使用量削減など、環境負荷の低減に貢献する事例も増えています。日本では労働力不足やインフラ維持、環境問題への対応が喫緊の課題となっており、こうした社会課題に対してスマートロボットの役割への期待が高まっています。

各国の政策動向も市場拡大を後押ししています。たとえば、AIとロボットを融合させたフィジカルAI(※2)の研究開発が加速しています。米国では国立科学財団(NSF)をはじめとする公的機関が補助金を通じて基礎研究を支援しており、民間投資も活発に行われています。中国は国家主導でヒューマノイドロボットに巨額投資を行い、国際競争力のあるサプライチェーン構築を目指しています。欧州ではHorizon EuropeやAI規制法を通じて官民連携と法的枠組みの整備を進め、国際標準の確立を図っています。日本でも2025年に人工知能戦略本部が設置され、策定中の「人工知能基本計画」でフィジカルAIが重点分野の一つに位置づけられています。また、政府はロボットフレンドリーな環境整備や地域連携ネットワークを推進し、社会全体への導入を後押ししています。さらにムーンショット目標3では、2050年までに 人と共生する汎用(はんよう)AIロボットの実現を掲げ、革新的技術開発を進めています。

スマートロボットは製造、物流、防災、農業、介護、医療など幅広い分野で活用が進んでいます。製造業では危険作業の自動化による安全性や生産性の向上が期待され、物流ではピッキングや配送の効率化が進んでいます。また、災害対応では被災地の探索や救助に貢献し、農業では持続可能な食糧生産に寄与しています。さらに、介護や医療では身体介助や遠隔診断、手術支援などに役立っています。

一方、スマートロボットの導入にはいくつかの課題や懸念点もあります。特に、雇用への影響、倫理的な懸念、エネルギー消費の3点は、サステナビリティの観点から重要な検討課題となっています。まず、単純作業の自動化が進む中で雇用構造の変化が懸念される一方、ロボットの運用や保守といった新たな職種も生まれており、社会全体で役割分担やスキルの再構築が求められています。また、自律的に判断するロボットは意思決定の透明性や責任の所在、さらには人間の尊厳やプライバシーへの影響など倫理的課題を伴うため、ガバナンス整備が重要です。さらに、製造・運用・廃棄の各段階でエネルギー消費が発生するため、再エネ活用や資源循環設計を含む環境負荷低減も不可欠となっています。スマートロボットの活用が真に持続可能なものとなるためには、こうした側面にも目を向け、技術と社会のあり方を丁寧に見直していくことが求められています。

(※1)グローバルインフォメーション:スマートロボット市場 2025-2032年の世界予想

https://www.gii.co.jp/report/ires1850520-smart-robots-market-by-type-application-end-user.html

(※2)物理的な身体を持つロボットが実際の環境と関わりながら、経験を通じて学習・適応する技術。ヒューマノイドロボットがその代表格。

NTT DATAのスマートロボットにおける取り組み

2024年のホワイトペーパーでは、NTT DATAと三菱ケミカルグループ株式会社が犬型ロボットを用いて工場設備点検を検証した取り組みを紹介しました。その後、この取り組みを発展させ、NTTドコモソリューションズ株式会社、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社を加えた4社共同で遠隔操作型ロボットによる設備点検を検証しました。検証では、遠隔操作したロボットから高解像度の映像を取得し、AI解析によってパイプの亀裂や振動をリアルタイムに検知し、設定していた目標値を達成しました。IOWN APNとAIを活用することで、遠隔環境での実用化水準に到達した点が大きな進展です。詳細についてはこちらの記事(※3)をご覧ください。

さらにNTT DATAは三菱ケミカルの製造現場で、音の方向推定と異常音検知のPoCを実施し、正常音・異常音の識別や音源方向の推定で高い精度を確認しました。これにより、人間の耳では判別が難しい音の違いを捉えられることを示し、従来人の経験や五感に依存していた点検作業を高精度かつ安全に代替できる可能性を確認しています。詳細についてはこちらの記事(※4)をご覧ください。
今後は複数ロボットやデバイスによる環境情報の同時取得、マルチモーダルAI(※5)解析を進め、遠隔工場の様相を精密に把握できる世界の実現を目指します。これにより、点検作業における作業員の負担を大幅に軽減できる他、危険を伴う高所作業での安全性向上など、製造事業者が抱える課題の解決へとつながります。

また、NTT DATAは、気候変動による自然災害の増加に対応するため、総合防災ブランド「D-Resilio」を通じて災害予防から復旧までを支援するデジタルソリューションを提供しています。その一環として、スマートロボット技術を活用したドローンによる災害対応を展開しています。自動監視システムでは複数ドローンの広域監視とリアルタイム映像伝送を組み合わせ、AI解析による異常検出やレポート生成を行い、迅速な状況把握と対応判断を支援します。

事例として、国土交通省北海道開発局との河川巡視の取り組みにおいては、VTOL(※6)と回転翼ドローンを用いた広域・詳細調査を実施し、長距離自律飛行や画像による災害状況把握、パトロール時間の大幅短縮といった効果、さらには異なる機種の同時自律飛行管理の有効性を確認しました。詳細についてはこちらの記事(※7)をご覧ください。

愛媛県の原子力発電所巡回システムでは、避難経路計画支援のため23台のドローンを配備し、約120kmを1時間以内に巡回可能としました。従来の車両によるパトロールと比較すると、20%の時間と労力を削減でき、住民の安全な避難を支援する効果が期待されています。これらの取り組みは災害対応の迅速化と安全性向上に貢献し、また、気候変動に起因する自然災害へのレジリエンス向上にも寄与しています。

(※3)IOWN APNを活用した遠隔操作型ロボットによる工場設備点検を検証

https://www.nttdata.com/global/ja/news/release/2024/122000/

(※4)ロボットを活用した工場での異音検知技術の現在地

https://www.nttdata.com/jp/ja/trends/data-insight/2025/1031/

(※5)実現したい内容に応じて、さまざまな種類の入力情報を利用して統合的に判断ができるAI
(※6)ヘリコプターのように垂直離着陸ができ、かつ固定翼機のような高速巡航も可能な航空機
(※7)ドローン2機の同時自律航行に成功、河川巡視・点検における広域調査を実現

https://www.nttdata.com/global/ja/news/topics/2023/102401/

おわりに

「テクノロジー×サステナビリティ2025」と題して、連載の第5回では、スマートロボットとサステナビリティの関係を解説しました。スマートロボットは多様な分野で活用が進んでおり、労働力不足や災害対応といった現代社会が抱える複雑な課題に対しても、柔軟かつ持続可能な解決策を提供する存在として注目されています。近年では、AI技術などの進化に伴い、ロボットはより高い自律性と協調性を備えるようになっています。

一方で、スマートロボットの活用には、導入段階での制度整備やコスト面の課題に加え、雇用、倫理、環境負荷といった社会的課題への対応も求められます。
NTT DATAでは技術革新とこうした社会的課題への配慮を両立させながら、スマートロボットの社会実装を推進し、持続可能で安心・安全な社会の実現に貢献していきます。
ホワイトペーパーでは本記事で紹介した内容の詳細に加え、スマートロボットの他社での導入事例の詳細についてもまとめています(※8)

図:ホワイトペーパーの構成

NTT DATAでは、2024年度に引き続き、「普段活用している技術がサステナビリティにどのように関連するのかを知り、より身近に感じること」を目的として、2025年度は全5つの技術テーマについてホワイトペーパーを公開しました。
これまで公開してきたホワイトペーパーが、身近な技術とサステナビリティの関係性をより深く理解する一助となり、今後の生活や業務においてその視点を活かしていただく契機となれば幸いです。

(※8)スマートロボット×サステナビリティ ホワイトペーパー 2025

スマートロボット×サステナビリティレポート2025

記事の内容に関するご依頼やご相談は、こちらからお問い合わせください。

お問い合わせ

お問い合わせ

記事の内容に関するご依頼やご相談は、
こちらからお問い合わせください。

お問い合わせ