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AIエージェント時代、企業は業務プロセスから再設計する
生成AIは、人の問いに答えるAIから、目的を理解し、業務を自律的に進めるAIエージェントへ進化しています。これまでの生成AI活用は、文章作成、要約、問い合わせ対応など、人の作業を一部補助する使い方が中心でした。
しかし、AIエージェントは、目的に応じてタスクを分解し、必要なデータやシステムを活用しながら業務を遂行します。企業に求められるのは、既存業務の一部にAIを当てはめることではありません。AIが業務を主導することを前提に、業務プロセス全体を組み直すことです。
図1:AIを前提に業務プロセスを再設計
この変化は、単純な「人からAIへの置き換え」ではありません。AIによって人を定型作業から解放し、人が本来担うべき意思決定やガバナンス上の判断などに集中できるようになることです。AIは人の能力を奪う存在ではなく、人の能力を拡張する存在と捉えることが重要です。
顧客接点は、AIエージェントに選ばれる設計へ変わる
AIエージェントによる変化は、企業内部の業務にとどまりません。企業と顧客の接点も大きく変わります。
今後、顧客一人ひとりが自分専用のパーソナルAIを持つようになると想定されます。顧客はパーソナルAIに依頼や相談をします。パーソナルAIは、その内容に応じて企業の専門AIエージェントと連携し、契約や手続きなどを進めます。
図2:顧客接点はエージェント向けへ変化
エージェント時代では、企業が最適化すべき対象も変わります。これまでは、人に選ばれることに加え、Webサイトやアプリ上で適切に検索・表示されるための情報設計が重要でした。これからは、AIエージェントに理解され、選ばれるための情報設計が必要になります。顧客接点は、人向けからエージェント向けへ広がっていきます。
お客さま事例が示す、AIエージェントによる業務変革の広がり
NTT DATAでは、さまざまな業界のお客さまと生成AIやAIエージェントの活用に取り組んでいます。1~2年前までは、議事録作成やチャットボットなど、日常業務の効率化が中心でした。現在は、基幹業務の変革や、商品やサービスへのAIの組み込みによる新たな価値創出へと広がっています。
川崎重工業様とは、熟練者の暗黙知を若手担当者へ継承する仕組みを構築しました。インタビューエージェントが熟練者から知見を引き出し、チューターエージェントが若手担当者からの質問に根拠付きで回答します。これにより、熟練者の経験に依存していた判断プロセスを、若手担当者も活用できる形で再利用できます。人に依存していた知の継承を仕組み化した事例です。
花王様とは、マーケティングや商品開発における調査業務の高度化に取り組みました。購買情報やソーシャルメディア情報をもとにAI生活者(※1)を作成し、過去の生活者調査と同じ設問で検証しました。その結果、調査の大半をAI生活者で代替できる可能性が示され、調査期間は1.5カ月から0.5日に短縮されました。
図3:AI生活者が調査業務を高度化
大手海外食品メーカー様では、生成AIを活用して新商品コンセプトの企画と検証を支援しました。それぞれ異なる専門知識を持つ複数のAIエージェントが、商品アイデアやコンセプトを生成します。企業固有のデータや過去の意思決定を反映させることで、「その企業らしさ」が表れる新商品コンセプトを立案しました。従来9カ月かかっていた作業を150秒に短縮できた点も大きな成果です。
りそなグループ様とは、生成AI人財育成アカデミーを通じて、AI活用を組織全体へ広げる取り組みを進めています。AI活用を成功させるには、技術だけでは不十分です。AIを業務に適用する人材、現場への浸透を担う人材、そして変革を進める組織を育てることも重要です。
これらの事例に共通するのは、AIを単一作業の効率化に使う段階から、知識継承、調査、商品企画など、企業の中核的な業務プロセスそのものを変える段階へ活用が広がっていることです。
購買情報やソーシャルメディア情報などをもとに生成した仮想的な生活者像。
自ら使い、改善した知見を顧客価値へつなげる
NTT DATA自身も、Client Zero(※2)という考え方でAI活用を進めています。これは、自らを「ゼロ番目の顧客」と位置づけ、まず自社業務でAIを活用し、得られた知見をお客さまへの価値提供につなげる取り組みです。
図4:自社実践で得た知見を顧客価値へ
たとえば審査業務では、すべてを一度にAIへ置き換えるのではなく、リスクの低い審査観点から段階的にAIを適用しています。低リスク領域では、AIエージェントがチェックや軽微な修正を担います。一方、高リスク領域では、AIのチェック結果を参考に人が確認や判断を行います。精度やリスクを確認しながらAIに任せる範囲を少しずつ広げ、安全性を確保しつつ業務変革を進めています。
こうした自社実践で得た知見、NTT DATAの生成AIサービス群にも反映しています。マーケティング業務を支援するLITRON® Marketing、汎用AIエージェントの実行基盤であるLITRON CORE、自然言語でAIエージェントを構築できるLITRON Builderなどを通じて、構想策定から業務適用、定着化までを支援しています。
自社を「ゼロ番目の顧客」と見立て、先に実践して得た知見を顧客支援へ活かす考え方。
AIエージェントを業務に根付かせる、データ、改善、セキュリティ・ガバナンスの設計
AIエージェントを業務に定着させるには、以下の3つの設計が特に重要です。
1つ目は、「AI Ready」なデータ基盤です。AIが必要なデータを見つけ、その意味や文脈を理解し、適切な権限で使える状態に整備する必要があります。対象は構造化データだけではありません。社内文書、画像、音声などの非構造化データも含めて、AIが活用できる形に整備することが重要です。
2つ目は、継続的な改善です。AIエージェントは導入して終わりではありません。業務ルール、参照する知識、利用者のニーズは変化します。品質、利用率、コスト、安全性などを見ながら、継続的に改善する仕組みをつくることが重要です。
3つ目は、セキュリティとガバナンスです。AIエージェントの自律性が高まるほど、機密情報の流出、不適切な判断、権限の不正利用といったリスクが高まります。すべてをAIに任せるのではなく、業務リスクに応じて、人とAIの責任範囲を明確にすることが重要です。
AIエージェント基盤は、小さく始めて段階的に拡張する
AIエージェントを企業システムとして実装するには、モデル、エージェント実行環境、データ、知識、セキュリティ、運用監視などを組み合わせた基盤が必要です。AWS上では、Amazon Bedrock、Amazon Bedrock AgentCore、Amazon SageMakerなどを組み合わせて、AIエージェント基盤を構築できます。
図5:AWSで構成するAIエージェント基盤の例
ただし、最初から完璧な基盤を目指す必要はありません。技術の進化が速く、最適な構成も常に変化します。まずは対象業務を絞って小さく始め、業務の成熟度や技術の進化に合わせて拡張していくことが現実的です。
AIによる変革の中心にあるのは、あくまで人です。AIが処理を担うことで、人は課題設定、意思決定、創造、共創に集中できます。NTT DATAは、Smart AI Agent®を通じて、AIと人が調和しながら前進する企業活動の実現を支援していきます。


花王のマーケティング・商品開発の調査業務でAI生活者の有効性を確認、業務効率化・高度化へについてはこちら:
https://www.nttdata.com/global/ja/news/topics/2026/031900/
「GENIAC-PRIZE」製造業の暗黙知形式知化において「ユーザー変革賞」を受賞についてはこちら:
https://www.nttdata.com/global/ja/news/evaluation/2026/041700/
金融業界最大規模の生成AI人財育成アカデミーをりそなグループに提供についてはこちら:
https://www.nttdata.com/global/ja/news/topics/2025/120300/
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