お客様の課題
- クルマ購入の入り口の一つとして重要な「試乗」をしてもらうためのタッチポイントを増やしたい
- 簡単に、かつ気軽に使えるユーザビリティを用意し、新たなカスタマーエクスペリエンスを生み出したい
- 従来統一感に欠けていた社内のデジタルマーケティングやCRM活動を最適化し、顧客の使いやすさを実現したい
導入効果
- 増大するスマートフォンユーザーのアプローチが容易になり、試乗予約の件数も増えている
- お客さま視点かつスピーディーな改善を重ね、利用者からも使いやすさに関して高い評価を得ている
- 本事例の成功を受け他業務・他部門への導入の可能性を実感。すでに導入に向けた取り組みが動き出している
本稿に登場するサービス
AIちゃんと試乗予約
自然対話エンジン
corevo®
ケーススタディ
一気通貫の「日産」実現に向けて かんたん予約システムの検討を始める
日産自動車では、以前からWebサイトを通じた試乗予約サービスを展開していた。しかし車種や日時の選択から個人情報の入力まで、数多くのステップを踏まなければ試乗予約が完了せず、お客さまの使い勝手の面で問題が指摘されていた。
「試乗予約の手間がかかるということは、利用者にとって負の経験となってしまう可能性があります。システムが煩雑であることで、最後の予約完了まで至らず、コンバージョン率が低いことも課題となっていました」と語るのは、同社の日本デジタルカスタマーエクスペリエンス部で部長を務める山口稔彦氏だ。
デジタルマーケティングやCRMに関わる業務を各部門が個別に行っていると、提供するIDがいくつも存在したり、ユーザビリティにも統一感がないといった問題が発生する。広告宣伝から購入検討、試乗予約、実際の購入、さらには購入後のアフターサービスまでのカスタマージャーニーが全て繋がっていなければ、お客さまに戸惑いを与えてしまうのだ。
同社では、その部分をお客さまの立場になって解決し、カスタマーエクスペリエンスをワンストップで享受してもらうことを目指して、2017年4月、同部が発足したという経緯がある。マーケティングにもセールスにも属さない役員直轄の組織として、各ファンクションを横断的に連携させ、一気通貫のサービス提供につなげることが狙いだ。
その視点のうえで同部が目をつけたのが、LINEを用いた試乗予約システムの導入だった。「2000年代前半まで、Webサイトを来訪される方のほとんどはPCからのアクセスでしたが、現在は6割強がスマートフォンからとなっています。そこで、若い世代を中心としたスマートフォンユーザーが簡単、かつ気軽に試乗予約できる環境を目指して、LINEを使ったシステム構築の検討を開始しました」と山口氏は話す。
日本デジタルカスタマーエクスペリエンス部
部長
山口 稔彦 氏
LINEの浸透力とチャットボットの気軽さ 「自然対話エンジン」の優れた日本語解析能力がポイント
クルマ購入へ至る道筋には、検討開始から決断までいくつかのプロセスがある。その中でも、同社製品の良さを知ってもらうために、実車を体感する試乗は重要な要素になっている。従来のWebサイトによる予約は、ユーザーがWebサイトを訪れ、さらに能動的に入力や選択を行うことへのハードルが高かった。この反省をキーに、すでに浸透しているLINEの活用を考案したのは、同部が発足した当初だったと山口氏は話す。
同部の中川晃太氏は、次のように話す。「LINEであれば予約完了までの導線が一目瞭然ですし、何より気楽なイメージを与えることができます。そこで、ただLINEを導入するだけでなく、対話形式で、気がつくと予約まで到達できるようなシステムを考え、AIチャットボットとのコラボレーションに到達しました」。
チャットボットによる対話を実現するAIプラットフォームとして選択したのは、NTTドコモの「自然対話エンジン」である。日産自動車が、この取り組みに不可欠となる自然な対話を実現可能なAIプラットフォームを検討していたところ、プロジェクトに参画するNTTデータが要件に合わせて最適なプラットフォームを選定。数ある中から日本語解析の部分で秀でる対話サービス「自然対話エンジン」を提案し、採用が決まった。

日本デジタルカスタマーエクスペリエンス部
中川 晃太 氏
日本メーカー初の翌日試乗予約を実現 サービス開始後もお客さま視点でスピーディーに改良
他にも、システムの随所に日産自動車のユーザビリティへのこだわりが詰まっており、それらは効果測定をしながら1ヶ月単位でのアジャイル開発により常に進化を続けている。例えば、サービス開始当初は店舗を選ぶ際、「神奈川県横浜市」と入力すると横浜市内にある対応店舗名が五十音順でずらりと表示されていた。しかし横浜市は広く、これでは不便。そこでスマートフォンの位置情報を活用し、最も近い店舗から順に表示するように改良したところ、店舗選択でのコンバージョン率が約15%アップしたという。
「実は、サービス開始時は最後に連絡先入力を求めていたため、4ステップの構成でした。ステップを一つでも減らすため、連絡先入力はLINEのソーシャルログイン機能を利用することとし、結果的に全体のコンバージョン率は毎月過去最高を更新しています」と中川氏は振り返る。
このように、サービス開始後もお客さま視点で改良を重ね、スピーディーに適用していった点が成功の要因だと山口氏は言う。「このプロジェクトは、アジャイル開発により日々進化を続けています。NTTデータのアジャイル開発メンバーがプロジェクトの立ち上げ初期から、当社のチームの一員となり要件整理やこちらの要望に合わせ最適なソリューションの提案を即座、かつフレキシブルに対応してくれているので、大いに助かっています」
AIがお客さまにクルマを提案する時代へ 今後は新たな可能性への挑戦に乗り出す
とはいえ日産自動車としては、これで満足するのではなく、もっと遠いところにターゲットを置いている。
まずは同部発足時の目標であった「日産」が提供するサービスの一気通貫と、それに向けた横展開だ。
「当初の大きな目的は、AIを活用した先進性によるブランディングと、コンバージョン改善でした。コンバージョン改善については順調に進んでいます。今後はブランディングに向けて、さらにAIの可能性を試す取り組みにチャレンジしていきたいですね」と中川氏は話す。
「ホテルや美容室など当日のオンライン予約が可能な業界に比べ、自動車業界はまだまだ遅れています。今後は同様のサービスをWebサイトの試乗予約にも展開するとともに、将来的には試乗予約にとどまらず、もっと上流のクルマ選びや購入後のサポートまでLINEとAIチャットボットを活用することも視野に入れています。AIの専門家であるNTTデータにも、さまざまなAI活用の提案など、さらなるご支援をいただきたいと考えています」
山口氏の展望のその先に、NTTデータとのさらなる進化が期待されている。
お客様プロフィール
- お客様名
- 日産自動車株式会社
- 本社所在地
- 神奈川県横浜市西区高島1-1-1
- 会社設立
- 1933年12月26日
- 事業概要
- 商品開発や技術革新、グローバル化において、常に日本の自動車産業をリードしてきた日産自動車は、現在、「人々の生活を豊かに」というビジョンのもと、日本を含む世界20の国や地域に生産拠点を持ち、160以上の国や地域で商品やサービスを提供する。
- ウェブサイト
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