
NTT DATA Technology Foresight 2022 ITとビジネスの今と未来を示す羅針盤
NTT DATA Technology Foresightとは
NTT DATA Technology Foresightは、徹底した調査から情報技術が主導する現状を整理し、その向かう先をトレンドで示す羅針盤です。「導入編」ではITが世界にもたらす変化を今一度見直しつつ将来を概観し、「最新動向編」ではその変化を技術要素ごとに深掘りしながら未来の予見と共に提示します。ITを自ら活用していく挑戦が、事業領域の深掘りや拡大につながります。皆様のビジネスの一助にこのツールをご活用ください。

Case Study
技術が生み出すこれからの将来変化を予見し、具体的な取り組みを進めています

新手法SCIが実現するグリーンなソフトウェアやサービスの提供
NTTデータがSteering Memberとして参画しているGreen Software Foundationは、ソフトウェアの炭素排出量を評価する手法「Software Carbon Intensity」(以下、SCI)のα版を策定しました。NTTデータは、SCIを活用した技術開発を通して、よりグリーンなソフトウェアやサービスの提供を目指し、社会のカーボンニュートラル化に貢献していきます。
近年、カーボンニュートラル実現に向け、世界的に炭素排出量の削減の動きが活発化しており、ITの分野においても、「2030年までに温室効果ガス排出量を45%削減」が呼びかけられております。ソフトウェアの開発や運用においても炭素排出量削減の検討が始まっており、削減努力が適切に反映される評価手法が求められています。そこで、ソフトウェア利用時の炭素排出を構成する電力利用、ハードウェア利用、利用する電力の炭素強度をもとに炭素排出量をスコアとして評価するSCIを策定しました。本手法を活用することで、同じ機能を持つソフトウェア同士の運用における環境負荷を比較できるほか、ソフトウェアに加えた改修が炭素排出に与える影響を把握することを可能にします。また、これらの示唆は環境負荷の少ないソフトウェア選定への活用、炭素排出の少ないソフトウェア開発・運用技術の開発に役立てることができます。
こうした活動から、NTTデータはより環境負荷の少ないソフトウェア開発・運用の技術や方法論を確立し、社会インフラへの適用を通して社会全体に価値を還元していきます。

ABSが拓く最適化された社会
エネルギー利用や物流など社会全体の最適化に向けて、NTTデータと広島大学は、「アダプティブ・バルク・サーチ(以下、ABS)」を開発しました。ABSは、膨大なデータ・選択肢に基づいて、定量的な意思決定をするために、汎用的で高速な計算を実現します。
AIや機械学習などの手法を用いてコンピューティングパワーを人間の意思決定の代替や補助に活用する取り組みが活発化しています。その中でも、膨大な組合せの中から様々なトレードオフの中で最も適切な選択肢を導き出す数理最適化が注目されています。しかし、最適化問題を高速かつ精度よく解くには、問題ごとに適切なソフトウェアやハードウェアを選定する必要があります。また、非常に高難度の最適化問題を効率的に解くには、高価なソリューションが必要な場合もあります。それに対して、ABSは様々な業界の問題を共通のフォーマットで投入することができ、問題による得手不得手ができる限り発生しないような工夫が施されているため、より幅広い問題を解くことができます。また、ABSは、汎用のGPU製品を活用しているため、GPUの数や性能に比例し、計算速度を向上させることを可能にします。これらの特長により、汎用性と高速性を兼ね備えた計算が可能となり、取り扱える問題の範囲を拡げることができます。
NTTデータは、幅広い計算技術の課題と可能性とを明らかにしていき、新しいコンピューティングの仕組みによる社会の発展と課題の解決を目指します。
