NTTデータの取り組み

Our Approach

適材適所を見極め、高い透明性を活かした用途に注力

注目を浴びるブロックチェーンですが、高い透明性や信頼性をインターネット上で確保できることから、決済取引などの大規模なビジネス用途に加えて、多様な用途への応用が期待されています。

例えば個人や中小企業が作成した著作物に関わる各種権利(利用, 頒布, 複製, 改変など)についての許可をブロックチェーン上で管理することで、著作物使用の認可や課金の仕組みをつくったり、医療分野においてはプライバシーを考慮した上で、治療、 投薬、 検査、リハビリ等の履歴やデータをブロックチェーン上に記録して広く共有したりすることで、個人の完全で一貫した医療記録を元にした効果的な治療が期待できます。また、コストを掛けずに商取引を実現する用途にもブロックチェーンは適用可能です。

さらに、台帳情報の共有による「中央集権型な管理が不要」「強い改ざん耐性」といったブロックチェーンの特徴を活かして、サプライチェーン情報を大勢で共有するトレーサビリティーの仕組みが整備されれば、前述の食品偽装や中古車の事故歴隠しといった事業者側の不正を監視することができ、消費者側に大きなメリットをもたらします。

ブロックチェーン技術の適用が期待されるサービス

  • 決済
  • 為替/送金/貯蓄
  • 証券取引
  • bitcoin取引
  • ソーシャルバンキング
  • 海外送金
  • トレードファイナンス(貿易金融)
  • サプライチェーン
  • マーケットプレイス
  • ストレージ(データ保管など)
  • IoT
  • 市場予測/未来予測
  • 公共(投票など)
  • 医療(医療情報)
  • 認証(デジタルIDなど)
  • 資産管理(土地登記等の公証など)
  • 資金調達(クラウドファンディングなど)
  • 寄付
  • ポイント/リワード
  • シェアリング
  • コミュニケーション(SNSなど)
  • コンテンツ(ゲームなど)

社会実装に向けた貿易コンソーシアム活動

技術力と実行力を活かして、コンソーシアムを推進

貿易業務では、荷主、船会社、物流会社、銀行、保険会社、税関や輸出入監督官庁など、多種多様な組織が国を跨いで複雑に情報連携しています。各組織における個別のシステム化は進んでいますが、組織と組織の間では紙書類の郵送やFAX、メールでの貿易書類の授受などの情報伝達が主流となっており、恒常的なデータ転記による非効率的な事務作業を行っています。また、データの原本性が保証されていないため、書類改ざんリスクなどの課題も抱えています。
最適化・高度化された貿易業務のエコシステム実現するため、貿易業務に携わる日本の各業界のリーディングカンパニーが集まり、2017年8月にブロックチェーン技術を活用した貿易情報連携プラットフォームの実現に向けた貿易コンソーシアムを発足し、引き続き活動を継続しています。

NTTデータでは、試行運用版の貿易情報連携プラットフォーム「TradewWaltz™」を貿易コンソーシアムの参加メンバーに提供し、2019年10月~2020年3月まで実データを用いた検証を行いました。試行運用を通じて、貿易取引関係者間でのドキュメント情報が問題なく連携できることを確認するとともに、参加メンバーから受領した多くのコメントをシステム機能として反映し、2020年度中のサービス開始を目指して準備を進めています。

ブロックチェーン技術を活用した貿易情報連携基盤実現に向けたコンソーシアム参加企業(五十音順)

伊藤忠商事株式会社
OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.
兼松株式会社
川崎汽船株式会社
住友商事株式会社
双日株式会社
損害保険ジャパン株式会社
東京海上日動火災保険株式会社
豊田通商株式会社
日本通運株式会社
日本郵船株式会社
丸紅株式会社
株式会社みずほ銀行
三井住友海上火災保険株式会社
株式会社三井住友銀行
三井物産株式会社
三菱商事株式会社
株式会社三菱UFJ銀行

業界特有の商習慣を維持しつつ、業務を大幅に効率化

さらに、国内で初めてとなる「貿易金融」をテーマにブロックチェーン適用に関する実証実験を複数の金融機関などと共同で実施しました。貿易取引においては、企業間が地理的に離れていて貨物の輸送に時間を要するため、商品の引き渡しと代金決済のタイムラグによるリスクが生じます。これを回避する目的で、取引相手が資金を有していることを金融機関が保証する「信用状(L/C)」を郵送や電子メールでやりとりをする独自の商習慣があり、手続き処理が煩雑で時間を要することが課題となっています。

そこでブロックチェーンの特長の一つ、「共通台帳を分散管理する」機能を活用すれば、取引関係者が情報を同時に共有することが可能になります。これまで信用状の手続き処理に最短でも数日程度を要していたのに対し、ブロックチェーンで共有することで情報閲覧が数分で可能となるなど、大幅な時間短縮が図れ、信用状に修正手続きが生じた際にも作業の迅速化が図れることが確認できました。
NTTデータでは、貿易金融におけるさらなる活用を目指して検討を行っています。

ブロックチェーンを活用した貿易取引での信用状(L/C)処理の流れ

高い耐改ざん性と透明性で消費者に信頼を提供

ブロックチェーンの適用は金融業界以外にも拡がってきており、特に、サプライチェーン・マネジメント(以下 SCM)はブロックチェーンの活用が期待されている領域の一つです。

従来のSCMのソリューションでは、製品の原材料や製造工程に関する情報は管理者によって管理されていました。

そのため、消費者は与えられるままの情報を信用しなければならず、企業が誤った情報を発信しても消費者がそれに気付くことは非常に困難でした。

そこで、ブロックチェーンの耐改ざん性と透明性の特長を活かし、製品の調達、製造、運搬などのイベントをブロックチェーン上で管理することで、消費者は製品の確かな原材料や製造過程を確認することができます。

これにより消費者は安心・信頼して製品を購入できるようになり、企業にとっても積極的な導入・発信により自社のブランド力の向上につげることができます。

このようなブロックチェーン活用方法は、イタリア、ドイツ、日本など、世界各国で検討・推進されています。

これに加えてSDGs(持続可能な開発目標)と関連し、企業はフェアな原料、フェアな工場での製造などの情報を第三者に開示していく動きが拡がっており、SCMへのブロックチェーン適用がより加速していくことが期待されます。

NTTデータの考えるブロックチェーンの可能性

既存の情報システムの形を大きく変えるとされる「ブロックチェーン」。
ビジネスにもたらすインパクトや実用化への課題、NTTデータの取り組みや最新動向を紹介します。

レポート&コラム

久保 賢治 氏

先進技術でビジネスはどう変わるのか―グローバル最新事例紹介―

NTT DATAは、2022年8月にイノベーションセンタを設立。2024年1月時点で10拠点と規模を拡大し、少し先の未来に主流となると思われる先進技術を見極めながら、お客さまとの共創R&Dを通じて、新たなビジネス創出に取り組んできた。本稿では、設立から約1年半の活動の中で生まれた事例や今後グローバルビジネスとしての展開が期待できるユースケースを紹介する。

ブロックチェーン 量子コンピュータ・イジングマシン デジタルツイン 金融 製造 Foresight Day

山本 英生

ステーブルコインの現状と、これからの可能性(後編)

金融業界で注目を集めているステーブルコインについて、前編・後編の2回にわたって解説。後編となる本記事では、国内外での取り組みや制度対応、現状の課題などステーブルコインに関する動向を紹介し、今後の活用可能性について述べる。

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金融業界で注目を集めているステーブルコインについて、前編・後編の2回にわたって解説。前編となる本記事では、CBDCや暗号資産との違い、ステーブルコインの意義など、ステーブルコインに関する基礎知識を紹介する。

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